=== 原発への対応と将来の展望 3 (o) ===

福島・双葉の避難指示一部解除 住民に期待と不安

東京電力福島第 1 原子力発電所事故で全町避難が唯一続く福島県双葉町で 4 日、帰還困難区域など一部地域の避難指示が解除された。 放射線量が高い同区域の解除は初めて。 駅周辺への出入りが自由になり、14 日には JR 常磐線が全線開通する。 「復興が一歩前進する」と期待が膨らむ一方、住民が帰還できるのはまだ先。 9 年の立ち入り制限で町は荒れ、不安も大きい。 双葉町など同県浜通り地域を南北に貫く国道 6 号。 4 日午前 0 時、国の原子力災害現地対策本部の職員らが常磐線の双葉駅につながる道を塞ぐバリケードを開き、通行止めの看板撤去を始めた。

双葉町は同日午前、双葉駅前に役場の連絡所を開設し、約 9 年ぶりに地元で一部業務を再開。 伊沢史朗町長は「避難指示解除は復興のスタートラインにすぎず、今後も着実に進めていく」とあいさつした。 今回、避難指示が解除されたのは常磐線の不通区間にある双葉駅とその周囲の区域と、隣接する町北東部の避難指示解除準備区域の計 240 ヘクタール。 町全体の 4.7% に相当する。 これまで同駅を含む町内の大半の地域は帰還困難区域に指定されており、同区域での避難指示解除は県内 7 市町村で初めてとなる。

これとは別に駅の周辺は居住はできないものの、自由に立ち入りができる「規制緩和区域(約 560 ヘクタール)」となった。 このエリアは特定復興再生拠点区域として、除染やインフラ整備が集中して進められる。 駅では営業再開の準備が進む。 駅舎や踏切は真新しく塗り替えられ、駅前ロータリーも舗装された。 5 日に大熊町の大野駅周辺で、10 日に富岡町の夜ノ森駅周辺でも避難指示が解除され、常磐線富岡 - 浪江間(約 20.8 キロ)の運行が 14 日から 9 年ぶりに再開する。

しかし駅前の地域でさえ、商店や建物のガラスは割れ、庭木などは荒れたままだ。 「駅前はきれいになっても、住める状態になるのはまだまだ先だ。」 4 日、車で訪れた町民の渡部勝以さん (70) はこう話した。 自宅はイノシシに屋内まで踏み荒らされた。兄夫婦が営んでいた駅前の雑貨店も、床一面に商品のダルマが散乱している。 周辺の解体も進み、変わり果てた姿にため息をついた。

震災後、関東の親類宅や仮設住宅を転々とし、「少しでも双葉町に近い場所で暮らしたい」と 2018 年から福島県いわき市の復興公営住宅で一人暮らしを始めた。 将来の古里への帰還も考えたが、「先のことを考えると不安で眠れなくなるから、今はもう考えたくない」と話す。 今回の解除は住民の帰還を伴うものではなく、住宅整備などを進めるための「先行解除」の位置づけだ。 双葉町の担当者は「駅から人の流れをつくり出せれば、復興の加速につながるはず」と期待を寄せる。 同町の避難者は約 6,800 人で、22 年春ごろから帰還を始め、27 年までに約 2 千人の居住を目標としている。

隣接する大熊町の渡部千恵子さん (68) も同町や双葉町の避難指示解除を「小さな一歩」と前向きに受け止めている。 長年住み慣れた自宅や畑など、約 3 ヘクタールの土地は汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設予定地に入っている。 実家も帰還困難区域のままだが、「少しでも町が復興するきっかけになれば。」 常磐線は就職や進学で地元を離れる先輩らを見送り、自身も東京の専門学校に進んだ 50 年前に見送られた鉄道だ。 「原発事故前は特に意識もしなかったけど、今はとても懐かしい。」 全線開通当日の 14 日は友人らと「待ってたよ」と書いた文字を掲げ、一番列車の通過を見届けるつもりだ。 (nikkei = 3-4-20)

◇ ◇ ◇

福島県双葉町の避難指示、一部解除へ 帰還困難区域で初

政府の原子力災害現地対策本部は 26 日、東京電力福島第一原発の事故で唯一、全町避難が続く福島県双葉町に出された避難指示の一部を来年 3 月 4 日に解除する方針を町に伝え、町も合意した。 放射線量が比較的高く、立ち入りが厳しく制限される「帰還困難区域」としても初の解除となる。 本部長の松本洋平・経済産業副大臣が 26 日、避難先のいわき市にある町役場を訪問。 伊沢史朗・双葉町長は「原発事故後 9 年でようやく一歩を踏み出せる。 住民が戻りたいと思える新しい町をつくりたい。」と話した。

解除の対象となるのは、帰還困難区域に指定され、来年 3 月 14 日に全線再開予定の JR 常磐線の双葉駅(第一原発から北西に約 4 キロ)と駅前、町北東部の避難指示解除準備区域の浜野・両竹地区(約 200 ヘクタール)など町面積の 4%。 住民の居住再開は 2022 年春を目指す。 今年 4 月に一部で避難指示が解除された大熊町について、政府は新たに大野駅周辺など計 28 ヘクタールの避難指示を 3 月 5 日に解除する方針を示し、町も合意した。 (古庄暢、江川慎太郎、asahi = 12-26-19)

◇ ◇ ◇

「福島第一原発は津波が来る前に壊れていた」 元東電社員 "炉心専門家" が決意の実名告発

事故検証結果は「津波が原因」。 しかし、それは間違っていた …。

福島第一原発事故から 8 年。 大事故を受けて、一時は「稼働中の原発はゼロ」という状態にもなったが、新しい安全基準(「新規制基準」)が定められ、現在、国内で 7 基の原発が稼働中だ(玄海原発 4 号機、川内原発 1・2 号機、大飯原発 4 号機、高浜原発 3・4 号機、伊方原発 3 号機)。 2013 年に定められた「新規制基準」について、電気事業連合会はこう説明している。

「東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故では地震の後に襲来した津波の影響により、非常用ディーゼル発電機・配電盤・バッテリーなど重要な設備が被害を受け、非常用を含めたすべての電源が使用できなくなり、原子炉を冷却する機能を喪失しました。 この結果、炉心溶融とそれに続く水素爆発による原子炉建屋の破損などにつながり、環境への重大な放射性物質の放出に至りました。 こうした事故の検証を通じて得られた教訓が、新規制基準に反映されています。」

元東電社員が突き止めた本当の事故原因

要するに、「津波で電源を喪失し、冷却機能を失ってメルトダウンが起こり、重大事故が発生した」ということだ。 この点に関して、津波の規模が「予見可能だったか、想定外だったか」という議論がなされてきた。 しかし双方とも「津波が事故原因」という点では一致し、多くの国民もそう理解している。 ところが、「津波が原因」ではなかったのだ。 福島第一原発は、津波の襲来前に、地震動で壊れたのであって、事故原因は「津波」ではなく「地震」だった - - "執念" とも言える莫大な労力を費やして、そのことを明らかにしたのは、元東電「炉心専門家」の木村俊雄氏 (55) だ。

木村氏は、東電学園高校を卒業後、1983 年に東電に入社、最初の配属先が福島第一原発だった。 新潟原子力建設所、柏崎刈羽原発を経て、1989 年から再び福島第一原発へ。 2000 年に退社するまで、燃料管理班として原子炉の設計・管理業務を担当してきた "炉心屋" である。 東電社内でも数少ない炉心のエキスパートだった木村氏は、東電に未公開だった「炉心流量(炉心内の水の流れ)」に関するデータの開示を求め、膨大な関連データや資料を読み込み、事故原因は「津波」ではなく「地震」だったことを突き止めた。

「津波が来る前から、福島第一原発は危機的状況に陥っていた。」

「事故を受けて、『国会事故調』、『政府事故調』、『民間事故調』、『東電事故調』と 4 つもの事故調査委員会が設置され、それぞれ報告書を出しましたが、いずれも『事故原因の究明』として不十分なものでした。 メルトダウンのような事故を検証するには、『炉心の状態』を示すデータが不可欠となるのに、4 つの事故調は、いずれもこうしたデータにもとづいた検証を行っていないのです。

ただ、それもそのはず。そもそも東電が調査委員会に、そうしたデータを開示していなかったからです。 そこで私は東電にデータの開示を求めました。 これを分析して、驚きました。 実は『津波』が来る前からすでに、『地震動』により福島第一原発の原子炉は危機的状況に陥っていたことが分かったのです。」 7 基もの原発が稼働中の現在、このことは重大な意味をもつ。 「津波が原因」なら、「津波対策を施せば、安全に再稼働できる」ことになるが、そうではないのだ。 (「文藝春秋」記事案内 = 8-13-19)


テロ対策施設、未完成なら原発停止 再稼働原発の停止も

原発のテロ対策施設の建設が遅れている問題で、原子力規制委員会は 24 日、再稼働に向けた審査後 5 年以内とされた設置期限の延長を認めないことを決めた。 これまでに再稼働した関西、四国、九州の 3 電力の原発 9 基は、設置期限に間に合わなければ、期限を迎える 2020 年以降に順次、運転停止することになる。 テロ対策施設をめぐっては、電力 3 社が 17 日、6 原発 12 基で設置期限を超える見通しを示した上で、規制委に期限の延期などを求めた。 九電川内(鹿児島県)や玄海(佐賀県)、関電高浜、大飯、美浜(いずれも福井県)、四電伊方(愛媛県)が期限を 1 年 - 2 年半ほど超える見通しという。

テロ対策施設は、大型航空機の衝突を受けた際などに原子炉を遠隔で冷却する緊急時制御室などを備える。 大がかりな工事が必要で、これまでに設置できた原発はない。 再稼働に向けた原発本体の工事計画の審査を終えてから 5 年以内に設置できなければ、規制委は運転の停止などの命令ができる。 原発をもつ電力各社は、ほかの原発でも工事の長期化を見込む。 すでに日本原子力発電東海第二原発(茨城県)は昨年 10 月に工事計画の審査を終え、期限まで 4 年半を切っている。 具体的な設計を検討している段階で、再稼働の時期などに影響する可能性がある。

テロ対策施設の設置期限は、当初は新基準の施行から 5 年の 2018 年 7 月だった。 規制委は 15 年、原発本体の審査が長引いていたことをふまえ、工事計画の審査終了後 5 年に先延ばしを決めた経緯がある。 (川田俊男、asahi = 4-24-19)

◇ ◇ ◇

浜岡原発 1・2 号機、進む廃炉作業 終了は 18 年後

中部電力が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市) 1、2 号機の廃炉を発表してから来月で 10 年。 原子炉の周辺領域で設備を解体、撤去する作業が進んでいる。 28 日に報道公開された建屋に入った。

東海道新幹線の掛川駅から車で 40 分。 遠州灘に面した国道を走らせると、原発の見学施設が見えてくる。 何重ものゲートをくぐって原発の中へ。 下着 1 枚でつなぎに着替え、手袋や線量計を身につけた。 「中に入ります。」 合図で放射線管理区域に入った。 タービン建屋の 3 階。 体育館のような広い空間で、数人の作業員が特殊なのこぎりで発電機などを切断していた。 低い振動音がわずかに聞こえ、部品の切断物が積み上げられていた。 原子炉建屋の 1 階では、原子炉の圧力容器を化学除染する装置が据え付けられていた。 (山本知弘、asahi = 11-29-18)

◇ ◇ ◇

膨らむ原発安全対策費、4.4 兆円に テロ対策費かさむ

原発の稼働をめぐり、電力 11 社が見込む安全対策費の合計が、少なくとも約 4 兆 4 千億円に上ることが朝日新聞の調べでわかった。 再稼働に必要な認可を得てから 5 年以内に設置するテロ対策施設の建設費などがかさみ、前年より約 5,800 億円増えた。 再稼働する原発が増えれば、総額がさらに膨らむのは確実だ。

原発を持つ電力 10 社と、大間原発(青森県)を建設中の J パワー(電源開発)に費用の見通しを聞いた。 安全対策費は、新規制基準で義務づけられた地震や津波、火災対策などに見込む費用で、電力会社が見積額を適宜、更新している。 今年 7 月時点の総額は計 4 兆 4,100 億円に達し、前年比で 5,820 億円増えた。原子力規制委員会による審査で、電力会社の計画を上回る対策を求められるケースが相次いでいることが影響している。 (川田俊男、小川裕介、asahi = 8-23-18)

◇ ◇ ◇

原発再稼働の方針を明記 エネルギー基本計画を閣議決定

政府は 3 日、中長期のエネルギー政策の方向性を示す「第 5 次エネルギー基本計画」を閣議決定した。 原発を「重要なベースロード電源」として再稼働させる方針を明記。 核燃料サイクルを維持し、原発輸出も進めるなど、原発を推進する従来の方針を踏襲した。 計画は法律で約 3 年に 1 度見直すことになっており、今回は民主党政権の「2030 年代原発ゼロ」方針からの転換を決めた 14 年の改定に続き、現政権として 2 度目となる。

計画は、15 年に決めた 30 年度時点での電源構成比率(原発 20 - 22%、再生エネ 22 - 24%、石炭火力 26% など)の目標を変えず、「まずは確実な実現に全力を挙げる」と明記した。 「20 - 22%」を満たすには 30 基程度の再稼働が必要とされるが、この間、再稼働はあまり進まず、現実とのずれは大きい。 また、原発に慎重な世論に配慮し、前回計画に続いて原発の新増設の必要性には触れなかった。

原発で出た使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを再利用する核燃料サイクル政策は「推進」と改めて明記した。 サイクルの中核と位置づけた高速増殖原型炉「もんじゅ(福井県)」の廃炉が 16 年に決まり、プルトニウムをふつうの原発で燃やすプルサーマル発電も進まない中、プルトニウムは原爆 6 千発分に相当する約 47 トンまで増えた。 米国から削減を求められていることもあり、計画には「保有量の削減に取り組む」と盛り込んだ。 (関根慎一、asahi = 7-3-18)

◇ ◇ ◇

環境変化に応じ原発推進 = プルトニウム削減訴え - 原子力白書

政府の原子力委員会がまとめる 2017 年度版の原子力白書案の全容が 15 日、明らかになった。 国内で高まる原子力への不信・不安や、中国などの開発力向上といった「国内外の環境変化」に対応しながら原発を推進する必要性を強調。 核兵器に転用可能なプルトニウムに関しては、平和利用に向け、適切な管理・削減に取り組むべきだと訴えた。 原子力委は 7 月上旬に白書案を正式決定する予定。

白書は、11 年 3 月の東京電力福島第 1 原発事故後に発行を中止したが、昨年、7 年ぶりに復活。 17 年度版は原発事故を受けた安全強化への取り組みのほか、温室効果ガス排出抑制のため原発を活用する視点などを盛り込んだ。 原子力については改めて「ゼロリスクはあり得ない」と明記。 その上で、電力会社など原発事業者が「リスクをいかに小さく抑え、顕在化させないか」との認識を持つことが必要だとし、リスク情報の活用に向け、メーカーとの連携を促した。

海外情勢では、英仏などに「低炭素電源としての原発の重要性が再認識される動き」があると指摘。 また、原発開発・利用で中国やインドなど新興国が台頭していることにも言及し、日本の原発事業者やメーカーに「競争的、国際的な視点」を持つよう求め、海外原発の受注に期待を示した。 日本のプルトニウムの管理・利用体制をめぐっては、米国などから懸念の声が上がっている。 白書は、削減目標の達成に加え、「(平和)利用の原則を改めて明確に定義し発信していくことが重要」と記し、信頼確保への対応を求めた。 (jiji = 6-15-18)

◇ ◇ ◇

「原発安いのか」変更要求 経産相「誤解与えかねない」

高校でエネルギー問題を講演した講師に対し、北海道経済産業局の幹部が事前に原子力発電に関する説明の変更を求めた問題で、世耕弘成経済産業相は 6 日の閣議後会見で「誤解を与えかねない面があった」と述べた。 講演は経済産業省資源エネルギー庁の事業の一環で行われており、今後は運営方法を見直すという。

講演は昨年 10 月、北海道大大学院の助教が北海道ニセコ町立ニセコ高校で行った。 事前に講演資料を入手した経産局資源エネルギー環境部の部長らは、「原発は本当に安いのか」とした部分について「別の見方があるのではないか」などと伝えた。 会見で世耕氏は「エネルギー源のメリットデメリットを公平に伝える観点から指摘を行った」と説明する一方、「原子力の論点だけに言及したことは誤解を与えかねない面があった」と話した。 (asahi = 4-6-18)

◇ ◇ ◇

講演での原発短所指摘、経産局が変更要求 高校で開催

エネルギー問題に関する講演の際、北海道大学大学院の助教が原子力発電所の短所を指摘しようとした部分について、経済産業省北海道経済産業局の幹部が事前に講演資料を入手し、助教に変更を求めていたことが分かった。

講演は昨年 10 月 16 日、北大大学院工学研究院の山形定(さだむ)助教(環境工学)が「ニセコでエネルギーと環境を考える」と題し、北海道ニセコ町立ニセコ高校で行い、生徒や町民が参加した。 山形助教が同 11 日、学校に講演資料を送ったところ、翌日夜、経産局資源エネルギー環境部の八木雅浩部長と課長が研究室に来た。 福島第一原発事故の写真を「印象操作ではないか」と指摘、「原発は本当に安いのか」とした部分は「別の見方があるのではないか」などと話したという。

山形助教は講演の日、原発事故の写真はそのまま使用、コストについても予定通り話したが、自然エネルギー(風力発電)の事故の写真も資料に加えた。 山形助教は「事前に資料を入手して修正のため動いた時点で問題なのではないか」と話す。

今回の講演は、経済産業省資源エネルギー庁が主催する「エネルギー教育モデル校」事業の一環。 エネルギーに関する公開授業などを行うもので、委託を受けた日本科学技術振興財団が実施している。 経産局によると、原発の短所が強調されていたことなどから指摘したという。 八木部長は「各エネルギーの長所と短所を紹介するという事業の趣旨にのっとった内容にしてほしいとお願いをした。 圧力をかけて内容を変えてほしいという意図はなかった。」と話した。 (asahi = 4-5-18)

◇ ◇ ◇

野党 4 党、原発ゼロ法案を提出「5 年以内の全原発廃炉」

立憲民主、共産、自由、社民の野党 4 党は 9 日、原発ゼロ基本法案を衆院に共同提出した。 稼働中の原発の速やかな停止を求め、法施行後 5 年以内の全原発の廃炉を掲げた。 「これまでの原子力政策が誤りだったと認める」と明記し、安倍政権との対立軸を示した。

法案は「原発の新増設、建て替えの禁止」、「政府に原発廃止の推進本部を設置」などが柱で、2030 年までに電力供給量に占める再生可能エネルギーの割合を 4 割以上にする目標を盛り込んだ。 立憲は全国 18 カ所で説明会を実施。 計約 2 千人が参加し、そこでの意見を生かして法案をまとめた。 日本維新の会を除く野党 5 党に共同提出を呼びかけたが、民進党は「方向性は同じだが若干の差がある(大塚耕平代表)」、希望の党は「まず自分たちの考えをまとめる(玉木雄一郎代表)」として応じなかった。 (別宮潤一、asahi = 3-9-18)

◇ ◇ ◇

放射性物質に不安、66% 「感じる」 福島県民世論調査

東京電力福島第一原発事故から 7 年になるのを前に、朝日新聞社と福島放送は、福島県民を対象に世論調査(電話)をした。 事故による放射性物質が自身や家族に与える影響への不安について聞くと、「大いに」 21%、「ある程度」 45% を合わせて 66% が「感じている」と答えた。 調査は 2 月 24、25 日に実施した。 事故の半年後、1 年後、2 年後と行っており、今回が 8 回目。

放射性物質への不安を「感じていない」との回答は「あまり」、「全く」を合わせて 33% だった。 「感じている」は減少傾向にあったが、昨年の 63% から今回は 66% に少し増えた。 復興への道筋は「大いに」 3%、「ある程度」 42% を合わせて半数近くが「ついた」と答えた。 「ついていない」は、「あまり」、「全く」合わせて 52% だった。

一方、福島県全体で、元のような暮らしができるのは、どのくらい先かを聞くと、「20 年より先」が 54% と最も多く、「20 年ぐらい」 19%、「10 年ぐらい」 16%、「5 年ぐらい」 4%。 復興への道筋が「ついた」層でも、47% が「20 年より先」と答えた。 年代別では 40 代が特に悲観的で、67% が「20 年より先」だった。 原発再稼働への賛否は、賛成 11%、反対 75% だった。 2 月の全国調査では賛成 27%、反対 61% で、福島の方が反対が多かった。 原発事故が「風化しつつある」と思う人は 78% にのぼり、「そうは思わない」 18% を大きく上回った。

処理水を薄めて海に流すことに「反対」 67%

福島第一原発の構内には、放射性物質を含んだ処理水をためたタンクが増え続けている。 今回の福島県民への世論調査で、処理水を薄めて海に流すことへの賛否を聞くと、反対が 67% で、賛成 19% を上回った。 処理水に含まれる放射性物質トリチウムは除去が難しく、原子力規制委員会も海洋放出を勧めている。 放出で海が汚染される不安は、「大いに」、「ある程度」を合わせて 87% が「感じる」。風評被害に対する不安は、52% が「大いに感じる」と答え、「ある程度」と合わせると 91% が「感じる」と答えた。 一方、事故に対するこれまでの東京電力の対応には「評価しない」が 64% で、「評価する」 17% だった。

福島県が、すべての県産米の放射性物質を調べる検査を見直し、サンプル(抽出)検査に切り替えることには、賛成 49%、反対 44% で賛成がやや多かった。 ただ、2 月の全国調査で同じ質問をした際の賛成 54%、反対 35% と比べると、切り替えに慎重な姿勢を示した。 全量全袋検査が消費者の安心に「つながっている」と思う人は「大いに」と「ある程度」合わせて計 86% に達し、全量全袋検査に対する県民の評価がうかがえる。

2020 年東京オリンピック・パラリンピックへの期待も聞いた。 政府が「復興五輪」と位置づけたことが、被災地復興に「役に立つ」との回答は「大いに」、「ある程度」合わせて 43% にとどまった。 「役に立たない」は、「あまり」と「全く」合わせて 57% だった。 (asahi = 3-3-18)

調査方法 2 月 24、25 の両日、コンピューターで無作為に作成した固定電話番号に調査員が電話をかける RDD 方式で、福島県内の有権者を対象に調査した(一部地域を除く)。有権者がいる世帯と判明した番号は 1,888 件、有効回答は 1,004 人。回答率は 53%。

◇ ◇ ◇

140 人、福島から飛び立つ ふたば未来 1 期生が卒業

東京電力福島第一原発事故の 4 年後、福島県の被災地に開校した県立ふたば未来学園高校(広野町)で 1 日、初めての卒業式があった。 7 割が避難生活を経験している 1 期生 140 人はそれぞれの未来へ一歩、踏み出した。 2015 年 4 月、第一原発から 24 キロ離れた中学校の校舎を間借りして開校した。 住民の避難が続く双葉郡では昨春、生徒の減少で五つの高校が休校。 ふたば未来学園は地域の教育拠点としての役割を担う。 式では卒業生の名前が1人ずつ呼ばれ、丹野純一校長から各クラスの代表に卒業証書が手渡された。 (柳沼広幸、,asahi = 3-1-18)

◇ ◇ ◇

小泉元首相らが「原発ゼロ法案」発表 立憲と連携の考え

小泉純一郎、細川護熙両元首相らは 10 日、国会内で記者会見を開き、国内すべての原発を直ちに停止する「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表した。 小泉氏は、原発ゼロ基本法案の提出を目指す立憲民主党などと連携していく考えを強調した。

法案は、両氏が顧問を務める民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(会長 = 吉原毅・元城南信用金庫理事長)」が作成。 原発を即時に停止し、再稼働や新増設を禁止することや 2050 年までに電力を再生可能エネルギーで賄うことが柱で、核燃料サイクル事業からの撤退や原発輸出の中止も盛り込んだ。

小泉氏は会見で「安倍政権で原発ゼロを進めるのは難しいが、近い将来必ず、原発ゼロは国民多数の支持を得て実現する。 国会で議論が始まれば国民が目覚める」と訴えた。 推進連盟は会見終了後、立憲と意見交換会を開催。 立憲が準備している法案では石油がまったく入ってこないような異常事態の原発再稼働を例外的に容認しているが、連盟側は「即時ゼロが第一の肝だ(幹事長の河合弘之弁護士)」と再考を促した。 連盟は 12 日に希望の党と意見交換を行う予定だ。(南彰、asahi = 1-10-18)

◇ ◇ ◇

経産省が核ごみ地図説明会、東京 「自治体の理解」呼び掛け

経済産業省は 19 日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場候補地の絞り込みに向け、都道府県の担当者を主な対象とした説明会を東京都内で開いた。 最終処分場の候補地となり得る地域を塗り分けた日本地図を 7 月に公表して以来、初めての開催。 経産省の担当者は「自治体の理解は不可欠だ。 意見を寄せてほしい。」と呼び掛けた。 来月から開く市民らを対象とした意見交換会を前に、きめ細かな説明を通じて市民の理解を得る姿勢を強調した。 出席者からは「意見交換会での住民の意見に興味があるが、提供してもらえるのか」などの声が上がった。 (kyodo = 9-19-17)

◇ ◇ ◇

帰還困難区域の双葉町に復興拠点 政府が初認定

政府は 15 日、東京電力福島第一原発事故で高い放射線量を示した帰還困難区域のうち、福島県双葉町の一部を「特定復興再生拠点」に認定した。 拠点の認定は初めてで、除染やインフラ整備を集中的に行い、2022 年春には拠点内の避難指示を解除する。 事故から 6 年半が過ぎ、ようやく町の再生が始まる。

復興拠点は JR 双葉駅の周辺で、かつての町の中心地域。 面積は町の約 1 割にあたる約 560 ヘクタールにのぼり、町内にできる汚染土などの中間貯蔵施設の敷地面積とほぼ同じだ。 表面上は、施設の建設に町が協力する代わりに、国が復興拠点を整備する形になる。 認定に伴い、政府は拠点内の除染を本格化させ、19 年度末には双葉駅周辺の避難指示を解除して通行や滞在などを自由にする。 22 年春までに全面解除し、その 5 年後には、帰還する住民が 1,400 人、原発作業員といった町外からの居住者ら 600 人が暮らす町をめざす。 (編集委員・大月規義、asahi = 9-15-17)

◇ ◇ ◇

小泉純一郎元首相「どうかしている。 発想がわからない。」 安倍晋三政権の原発輸出政策を批判

小泉純一郎元首相は 8 日付でインターネット上に配信された情報サイト「AbemaTV」のインタビューで、安倍晋三政権が成長戦略の柱に掲げる原発輸出について「どうかしてる」などと批判した。 小泉氏はインタビューで「原発に頼らないで太陽、風、地熱、水力、潮力、さまざまな自然エネルギーを使って経済発展させるほうがはるかに安全でいい国になる」と述べ、原発ゼロの持論を展開。 その上で、原発輸出について「どうかしてるよ。 安全でもないのに。 その発想がわからない。」と非難した。

安倍首相が原発政策を変更する可能性について「もうここまで行っちゃってるんだから無理だろう」と指摘。 首相に原発政策の転換を促したと明かした上で「(安倍首相は)苦笑してるだけだった。 反論はしてこない。 安倍さんも信じちゃってる。」などと述べた。 一方、自民党の半数程度が内心では小泉氏の持論に賛成しているとした上で「首相が『やる』といえばできる。 国民だって支持する。 (小泉氏が断行した)郵政民営化よりも原発ゼロの方が簡単だ。 郵政民営化は全政党反対だったんだから。」と主張した。 (sankei = 3-10-17)

◇ ◇ ◇

川内原発の防災訓練、住民ら 4 千人参加 過酷事故を想定

九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)での過酷事故を想定した防災訓練を 28 日、鹿児島県と原発周辺 9 市町が実施した。 昨年 4 月の熊本地震を踏まえ、住宅が壊れた場合の住民避難の手順を確認する新たな取り組みも行ったが、計画通りに避難できるか、実効性になお課題が残った。 訓練は原発沖で震度 6 強の地震が発生し、放射性物質が大量に放出されたとの想定。 住民や自衛隊、海上保安庁など 180 機関、計約 4,200 人が参加した。 大規模な訓練は 2015 年の再稼働後 2 回目。

原発の 5 - 30 キロ圏の住民はまず自宅など屋内に退避し、放射線量の実測値に応じて避難することになっているが、震度 7 が続発した熊本地震では多くの家屋が倒壊し、屋内にとどまるのが難しかった。 訓練では住民が自宅の代わりに近くの公共施設に退避する手順を確認した。 だが、参加した同県いちき串木野市の主婦 (70) は「いざ事故になったら、車で我先に逃げる人が多いのでは」と話した。

九電が福祉車両を出して山間部の住民の避難を支援したほか、県独自のシステムを使って 10 - 30 キロ圏にある福祉施設の入所者らを実際に 30 キロ圏外の鹿児島市などへ避難させる訓練も実施した。 三反園訓(みたぞのさとし)知事は「様々な反省点、改善点が出てくると思う。 国や市町とも連携して、避難計画の見直すべき点があれば見直したい。」と述べた。 川内原発は、1 号機は定期検査を経て昨年 12 月に運転再開した。 2 号機は現在、定期検査のために運転を停止している。 (中島健、asahi = 1-28-17)

◇ ◇ ◇

伊方 1 号機、廃炉に 40 年 四国電計画、費用 407 億円

四国電力は 26 日午前、廃炉を決めている伊方原発 1 号機(愛媛県伊方町、出力 56 万 6 千キロワット)について、廃炉計画を愛媛県に示した。 今後約 40 年間で廃炉を終える計画で、費用は約 407 億円と想定している。 四電は同日、原子力規制委員会に廃炉計画の認可を申請した。

四電によると、廃炉作業の工程は 4 段階で、解体準備に約 10 年、原子炉周辺設備の解体撤去に約 15 年、原子炉本体の解体撤去に約 8 年、建物の解体撤去に約 7 年と見込んでいる。 他原発の廃炉計画は約 30 年間が多いが、四電は 10 年長い約 40 年間とした。 作業の安全性を高め、作業員の被曝量を減らすためという。 解体で出る低レベル放射性廃棄物は約 3,060 トンと推定している。

伊方 1 号機の使用済み燃料 237 本は、稼働中の伊方 3 号機の貯蔵プールに移して保管・冷却する。 ただ、最短で 2024 年ごろには貯蔵能力が限界になる可能性があるため、四電は今後、空気の自然対流で燃料を冷やす「乾式貯蔵」施設を伊方原発敷地内に設置する方向で検討を進める。 伊方 1 号機は 1977 年に運転を始め、来年で運転開始から 40 年となる。 四電は、例外的に認められている最長 20 年の運転延長を 1 号機がしたとしても、多額の安全対策費に見合う収益が見込めないとして、今年 3 月に廃炉を決定した。 (宮田裕介、前田智、asahi = 12-26-16)

◇ ◇ ◇

ついえた夢の原子炉 もんじゅ廃炉決定 核燃サイクル綱渡り

高速増殖炉原型炉「もんじゅ(福井県)」の廃炉が決まり、原子力発電所から出る使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル政策は大きな転機を迎える。 政府は後継となる高速炉開発を国際協力で進める方針だが、実現への道筋は見えない。 もんじゅをはじめ中核施設は誤算続きで、半世紀以上推進してきた国策は綱渡りが続く。

使用済み核燃料には、まだ使えるプルトニウムやウランが残っている。 これを再処理して取り出し、再び燃料に加工して再利用するのが「核燃料サイクル政策」だ。 原子力による発電が始まった 20 世紀半ばから国策として続けてきた。 サイクル政策には 2 つの方式があり、日本ではもんじゅのような高速炉を使う方式の実現を柱として進めてきた。 高速炉は原子炉の冷却材として通常、ナトリウムを使う。 空気や水に触れると燃えるため、通常の原発で使う水と異なり、取り扱いが難しい。 ドイツや英国などは撤退した。

もんじゅも「当初期待された成果が出なかった(菅義偉官房長官)」が、政府は高速炉の開発を続ける方針だ。 日仏共同で開発する実証炉「ASTRID (アストリッド)」などで必要な技術や知識を得るとした。 しかし、自国に施設がなければ資金を提供するだけで終わる懸念も残る。 高速炉がなくても核燃料サイクルを進める方法はある。 使用済み核燃料の再処理で取り出したプルトニウムとウランを混ぜて加工したウラン・プルトニウム混合酸化物 (MOX) 燃料を原発で燃やす「プルサーマル」だ。

電力各社はこれまで英国とフランスに使用済み核燃料の再処理を委託し、全国の 16 - 18 基の原発で導入する計画を掲げていた。 だが福島事故などの影響で、プルサーマル発電をしているのは 8 月に再稼働した四国電力の伊方 3 号機(愛媛県)の 1 基にとどまる。 MOX 燃料用に最適な設計をしたのが建設中の J パワー大間原発(青森県)だが、世界に例がなく、原子力規制委員会の許認可に時間がかかっている。

核燃料サイクル政策には課題がまだある。 青森県で建設中の使用済み核燃料の再処理工場は完成が遅れている。 当初 1997 年の完成を目指したが、延期を繰り返している。 核燃料を再処理した後に残る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場も、政府が有望な地域を今後提示するなど、ようやく動き出すところだ。

日本は日米原子力協定により、核兵器を持たない国の中で唯一、再処理を認められている。 「使用目的のないプルトニウムは保有しない」と約束するが現在、国内外に原爆約 6,000 発に相当するプルトニウム約 48 トンを保有する。 協定の期限は 2018 年で、トランプ次期米大統領の出方によっては従来路線の変更を迫られる可能性もある。

もんじゅの廃炉にもハードルは多い。 日本原子力研究開発機構は立地する福井県や敦賀市と安全に関する協定を結んでおり、廃炉には事前に了解が必要だ。 政府は一体となって原子力機構の指導・監督にあたり、技術的な評価や助言をする第三者組織を立ち上げるとしている。 反発する地元の理解が得られなければ、来年 4 月に開始予定の廃炉作業に支障が出ることになる。 (nikkei = 12-22-16)

◇ ◇ ◇

もんじゅ廃炉費 3,750 億円 政府試算 地元に方針説明

高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)について政府は 19 日、文部科学省で地元・福井県との協議会を開き、再運転せず廃炉にする方針を西川一誠知事に伝えた。 また、協議会に先立ち開かれた政府の高速炉開発会議で、廃炉には 30 年で最低 3,750 億円の費用がかかるとの試算が公表された。 2017 年から 5 年半で使用済み燃料を取り出し、作業開始から 30 年後の 47 年に終える工程という。

福井県との協議会には、西川知事と松野博一文科相、世耕弘成経済産業相が出席。 松野文科相は、もんじゅについて「再稼働することなく廃止措置に移行する」と明言。 その上で、高速炉開発を継続することや、現在のもんじゅ周辺に別の研究炉を設置し、研究拠点にすることなどを説明し、知事に理解を求めた。 政府は、20 日以降に開催する原子力関係閣僚会議で廃炉を正式決定する。

廃炉費用の内訳は、解体完了までの維持管理費に 2,250 億円、施設解体費などに 1,350 億円、燃料の取り出し準備費用に 150 億円など。 ただし、使用済み燃料プールの耐震対策など新規制基準対応などで費用がさらに増える可能性もあるという。 (asahi = 12-19-16)

◇ ◇ ◇

除染に数千億円の税金投入 来年度から復興予算使う方針

政府は、東京電力福島第一原発の事故費のうち、帰還困難区域の除染に国費を使う方針を固めた。 帰還希望者のため「復興を加速させる」狙いだ。 東電が負担すべき事故関連費に税金を直接使うのは初めて。 この費用は東電に求めない。 来年度予算に計上し始め、総額は数千億円になる見通しだ。 当面、所得増税などで集めた復興予算(計 32 兆円)を使う。 これまで除染は国が立て替え、最終的に国が持つ東電株の売却益で充てる前提だった。 方針は 14 日、自民党内でおおむね了承され、20 日にも閣議決定される。

東電救済色濃く

東京電力が負担すべき汚染地域の除染に、国費が投入される。 そんな政府の指針が 20 日にも閣議決定される。 福島第一原発の廃炉などに 21.5 兆円もかかるため、経済産業省が「計画外」の費用としてひねり出した。 東電救済色が濃く、賛否は分かれそうだ。 (編集委員・大月規義、asahi = 12-15-16)

◇ ◇ ◇

福島原発事故の賠償・廃炉に 20 兆円超 政府試算明らかに

福島第 1 原発事故の賠償や、廃炉などにかかる費用が、20 兆円を超えるとの、政府の試算が明らかになった。 経済産業省が内部でまとめた試算では、賠償は、対象が増えたことで、これまでの 5 兆 4,000 億円から 8 兆円に、除染は、作業の長期化により、2 兆 5,000 億円から、4 - 5 兆円に費用が膨らむ。

廃炉も、原発内部の状況が明らかになるにつれ、数兆円単位で増えることが確実視され、総額は、これまでの 11 兆円の倍となる、20 兆円を超えるとしている。 東京電力は、この試算をもとに、新たな経営再建計画を年明けにも示す見通しだが、巨額の費用を、東電が全て負担することは困難で、費用の国民負担も議論の焦点となる。 (FNN = 11-28-16)

◇ ◇ ◇

中間貯蔵施設が本格着工へ 2 年半遅れ、用地取得 11%

環境省は 15 日、東京電力福島第一原発事故の除染作業で出た汚染土などを最長で 30 年間保管する、中間貯蔵施設を本格着工する。 福島県内で出る、最大 2,200 万立方メートルの汚染土などを保管する。 施設での保管開始は来年秋以降を見込んでおり、当初の計画より 2 年半以上遅れている。

着工するのは、汚染土を受け入れて分別し、保管する施設。 用地取得が済んだ、福島県双葉町と大熊町の二つの工区で作業を始める。 早ければ 17 年 1 月に受け入れ・分別施設の試運転を始め、汚染土の保管は同年秋ごろに始める見込み。 環境省が 11 年 10 月に公表した工程表では、14 年夏ごろには施設本体の工事を始め、15 年 1 月に搬入を始めるとしていた。 予定地取得に手間取り、1,600 ヘクタールのうち取得したのは今年 10 月末で約 11% にとどまる。 (小坪遊、池田拓哉、杉村和将、asahi = 11-15-16)

inserted by FC2 system