=== 原発への対応と将来の展望 3 (m) ===

避難判断に使わず = 放射能予測、防災指針改定 - 規制委

原子力規制委員会は 22 日、原発事故が起きた場合の住民避難の在り方を定めた原子力災害対策指針(防災指針)の改定を正式決定した。 東京電力福島第 1 原発事故で活用できなかった緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム (SPEEDI) は避難の判断に使わない。

規制委は 3 月 5 日から 4 月 3 日まで、防災指針の改定案について一般から意見を募集。 806 件が寄せられ、うち半数以上が SPEEDI の活用を求めるものだった。 SPEEDI は福島原発事故で避難の際の情報として使われなかったことから批判されたが、規制委は放射性物質の放出量などが分からないと予測は難しいと判断。 参考情報としても扱わないことを決めた。 (jiji = 4-22-15)

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汚染土、初の搬入作業開始 福島の中間貯蔵施設に

東京電力福島第一原発事故による福島県内の除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設計画で、環境省は 13 日午前、初めての搬入に向けた作業を同県大熊町で始めた。 仮置き場にある汚染土の袋を敷地内に運び込む。

作業員らはこの日朝から、積み上げられた汚染土の袋を重機で移動させたり、袋につけて位置を把握するためのタグを確認したりした。 昼過ぎから、10 トントラックに汚染土の袋を載せ、飛散防止のシートをかけた上で出発。 14.5 キロの道のりを運び、中間貯蔵施設の敷地内となる大熊東工業団地に整備した保管場に下ろす予定だ。 環境省によると、双葉町の仮置き場や保管場でも同時に始めるとしてきたが、町内の調整がつかず、地元側からの要請により 25 日に延期することになったという。

同省は、今回始める搬入を約 1 年間続ける「試験輸送」と位置づける。 福島県内 43 市町村から約 1 千立方メートルずつ保管場へ運び、安全性や交通への影響がないか調べる。 最終的には、東京ドーム18杯分に相当する約 2,200 万立方メートルを最長 30 年間にわたって保管する。 搬入が始まることについて、望月義夫環境相は記者会見で「福島の復興の推進にとって大切な一歩。 気を引き締めて施設の整備や地元への説明を尽くしていきたい。」と述べた。(奥村輝、asahi = 3-13-15)

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「地下 50 メートル処分」 1.4 万立方 = 原発運転・廃炉のごみ - 電事連試算

廃炉作業中や建設中を含む国内の原発 59 基などから出る低レベル放射性廃棄物のうち、放射能濃度が比較的高く、地下 50 メートル以下に埋める必要があるごみは 1 万 4,331 立方メートルに上るとの試算を、電力会社でつくる電気事業連合会がまとめたことが 9 日分かった。 電事連が原子力規制委員会に提出した資料で判明した。 通常のドラム缶に換算すると 7 万 1,600 本以上に相当する。 ごみの 7 割は運転によって発生する交換部品などで、原発や再処理工場を動かすほど増加する。

地下 50 メートル以下は「余裕深度」と呼ばれ、ごみの管理期間などの基準がない。 規制委は策定に向け検討を始めたが、基準ができても実際に大量のごみを処分できる場所を確保できるかは不透明だ。 試算の対象は、▽ 全国の原発 48 基、▽ 建設中の J パワー(電源開発)大間原発(青森県)、中国電力島根原発 3 号機(松江市)、▽ 廃炉中の東京電力福島第 1 原発 1 - 6 号機、日本原子力発電東海原発(茨城県)、中部電力浜岡原発 1、2 号機(静岡県)、▽ 日本原燃の六ケ所再処理工場(青森県)、MOX 燃料加工工場(同)。

廃炉中の浜岡 1、2 号機と東海原発を除く 56 基は運転期間 60 年、再処理工場と MOX 燃料加工工場は同 40 年と仮定。 福島第 1 原発 1 - 3 号機は解体廃棄物の発生量の見積もりが困難として除外するなどした。 運転に伴い発生する廃棄物は約 1 万 100 立方メートル、解体によって発生する分は約 4,200 立方メートルだった。 (jiji = 2-9-15)

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原発近く、防護服で作業 = 中間貯蔵施設の現場公開 - 環境省

環境省は 3 日、東京電力福島第 1 原発事故の汚染土を保管する中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)の建設予定地で、保管場 2 カ所の整備工事を報道陣に公開した。 いずれも原発に近く、放射線量が比較的高い帰還困難区域にある。 白い防護服に身を包んだ作業員が、現場の表土をはぎ取り、除染を進めていた。

本格貯蔵まで仮置きするための保管場は、同日午前に着工。 両町の工業団地内に設け、土地の広さは管理事務所なども含め計 6 ヘクタールある。 同省は 3 月 11 日までに汚染土搬入を始めたい考えで、県と協議を進める方針だ。

大熊町の保管場は、原発から約 1 キロの距離にある工業団地内の更地に設ける。 現場では、作業員約 60 人がショベルカーなどで土をはぎ取る除染を実施。 除染後、搬入に向けた周辺道路の補修や汚染土から放射性物質が流れ出ないようシートで覆うなど、工事を本格化させる。 双葉町の工業団地でも、駐車場だったスペースで工事が始まった。 (jiji = 2-3-15)

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東電、推奨より 10 倍希釈 福島第一、粉じん飛散防止剤

福島第一原発のがれき撤去作業中に、放射性物質を含んだ粉じんが飛ばないようにする飛散防止剤をメーカーの推奨する濃度より 10 倍以上に薄め、散布回数も大幅に減らすよう東京電力が指示していたことが分かった。 指示は 2013 年夏まで約 1 年間続いた。 原子力規制庁は「この結果、飛散防止効果が落ち、昨夏に放射性物質の飛散が起きたとみられる。 安全な使い方をしなければならない。」などとして東電に行政指導した。

問題となっているのは 2013 年夏のがれき撤去作業。 飛散防止剤のメーカーによると、防止剤は数時間が経過すると固化するアルカリ性の液体で、主にアスベスト飛散防止に用いられている。 除去作業中は原液か、水で 10 倍まで希釈したものを毎日散布し続けることを推奨しており、大気汚染防止法でも、アスベストの除去の際には薬剤で湿らせながら作業するよう定められている。

だが、東電によると、当初は防止剤を 4 号機の作業で原液や 10 倍希釈で作業前日と直前に使っていたが、12 年 8 月からの 3 号機の作業では 100 倍に希釈し、回数を数日から数週間ごとに減らすよう指示した。 飛散問題が起きた 13 年夏当時は 3 号機には 6 月中旬と 8 月 13 日の計 2 回、散布しただけだった。 メーカーの担当者は「100 倍希釈では水と同程度の効果しかない。 さらに、粉じんを防止剤で湿らせている間に作業するのが原則なのに、数日以上も放置すれば飛散するのは当然だ」としている。 (青木美希、asahi = 12-31-14)

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福島第一原発避難 4 町住民、移住が倍増 帰還希望は低調

復興庁は 14 日、東京電力福島第一原発事故で避難している双葉、大熊両町の避難世帯に対する住民意向調査の結果を発表した。 避難指示区域の外で持ち家を構えて暮らす世帯の割合は、昨年の前回調査の 2 倍を超えた。 町への立ち入りが長期間制限されると見越し、「移住」が加速していると見られる。 復興庁は、世帯主を対象に避難先の状況や帰還の意思などを定期的に調べている。 今年度の公表は、10 月の富岡、浪江両町と合わせ計 4 町になり、調査期間は原発事故から約 3 年半たった 8 - 10 月。

避難世帯が暮らす住居は、応急仮設住宅や借り上げ住宅が4町とも前回より減った。 代わりに、避難先で購入するなどした持ち家の割合が前回の 2.1 - 2.6 倍に達し、双葉は 27.3%、大熊は 24.1%、富岡は 19.3%、浪江は 16.2% だった。 この割合は、放射線量が高い帰還困難区域を多く抱える町ほど高くなる傾向が表れた。 同区域の世帯は、東電から新居を買える損害賠償も受けられ、移住を後押ししていると見られる。 反対に「元の町に戻りたい」と答えたのは双葉が 12.3%、大熊が 13.3%、富岡が 11.9%、浪江が 17.6% と低調だった。 (編集委員・大月規義、asahi = 11-14-14)

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火山学会、原子力規制委に審査基準見直しを提言

日本火山学会の委員会は 2 日、原子力発電所への影響が懸念される巨大噴火について、国の原子力規制委員会の審査基準を見直すよう求める提言をまとめた。 「審査では、限界や曖昧さが残る噴火予測の特性を十分に考慮すべきだ」と規制委に注文を付けた。 提言は、再稼働を控える九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の周辺火山で懸念される巨大噴火への対応として、同学会の原子力問題対応委員会がまとめた。 同委員会の石原和弘委員長(京都大名誉教授)は、福岡市で開いた会合後、報道陣に「(規制委は)審査の手引を見直すべきだ」と批判した。

提言では、巨大噴火の予測に向けて国の関係省庁が観測体制の強化を協議するよう求めた。 規制委だけによる巨大噴火対策では不十分との考えを示したものだ。 九電は川内原発の運転期間中に、巨大噴火の起きる可能性は低いとみており、規制委もこの見解を妥当だと結論づけている。 巨大噴火対策については、九電は将来的に観測体制を強化して早期に兆候を捉え、火山学者ら外部有識者の助言を得て運転停止するという手順を検討している。 (yomiuri = 11-3-14)

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原発の重大事故訓練 首相ら初動対応確認

原子力発電所の重大事故を想定した国の原子力総合防災訓練が行われ、総理大臣官邸では、安倍総理大臣や関係閣僚が現地の災害対策本部とテレビ会議システムを使い、政府と地元自治体との連携の在り方など緊急時の初動対応を確認しました。 この訓練は、15 年前に茨城県東海村で起きた臨界事故を受けて毎年行われており、ことしは震度 6 強の地震で石川県にある志賀原発 2 号機の外部電源が失われ、原子炉の冷却ができなくなったという想定で行われました。

総理大臣官邸には安倍総理大臣や関係閣僚が集まり、安倍総理大臣は被害状況の報告を受けて「原子力緊急事態宣言」を行い、福島第一原発の事故のあとに見直された防災指針に基づき、原発から半径 5 キロ圏内の住民に避難指示を出しました。 そして、総理大臣官邸と現地の災害対策本部や石川県庁などをテレビ会議システムで結んで「原子力災害対策本部」の会議が開かれ、石川県の谷本知事が国に、住民の避難や放射線量の情報提供などでの支援を要請しました。

これを受けて安倍総理大臣は、「発電所の状況とともに、周辺地域の放射線モニタリングのデータを速やかに提供し、全面的にバックアップする」と述べ、政府と地元自治体との連携の在り方など、緊急時の初動対応を確認しました。 (NHK = 11-2-14)

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福岡で玄海原発事故避難訓練 放射性物質到達を想定

九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の事故に備えた避難訓練が 20 日、福岡市であった。 原発から約 40 キロと市内で最も近い西区の住民や福祉施設の入所者、消防関係者ら約 300 人が参加。 避難経路や被曝(ひばく)調査(スクリーニング)の手順などを確認した。 訓練は昨年に続き 2 回目。 福岡、佐賀、長崎の 3 県が 4 月に住民の避難シミュレーションを公表してからは初となる。 今回は博多湾沖の玄界島の住民ら約 20 人も参加し、初めて船を使って避難した。

玄海原発で事故が起き、放射性物質が福岡市に到達したと想定。 国が同市西区の一部住民に 1 週間以内の避難を求めたとして実施した。 この日朝から公民館などの集合場所に集まった住民たちは、バスで約 10 キロ離れた同市中央区の旧簀子(すのこ)小学校へ移動した。 玄界島の住民らは午前 10 時 20 分ごろ、市所有の船で博多港に着いた。 バスに乗り換えてスクリーニング場に向かい、体に放射性物質が付いていないか調べた後、避難所に移動した。

西区上山門の主婦 (60) は「訓練だとわかっているからいいが、バスも検査も 10 分、15 分待ち。 本当の事故ならイライラしそうだ。 小さな子供がいる家庭は大変だと思う」と話した。 住民の飼い犬の避難や、屋外の線量を調べる訓練もあった。 避難所では、参加者たちが訓練の反省点を振り返ったり、東日本大震災の被災者を交えて対話したりした。 (東山正宜、asahi = 9-20-14)

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汚染土中間貯蔵、2 町が受け入れ 地域支援に 3 千億円

東京電力福島第一原発事故で出た汚染土を保管するため、政府が福島県内で建設を目指す中間貯蔵施設をめぐり、建設候補地の大熊町と双葉町は 26 日、それぞれの町議会の意向を受け、政府が地権者を対象として開く説明会の受け入れを決めた。 事実上の建設受け入れ了承にあたり、用地を売るかどうかの判断を個別の地権者にゆだねる。

この日開かれた 2 町議会の全員協議会で、石原伸晃環境相が住民の生活支援や地域活性化などに総額 3,010 億円の交付金を用意したことなどを説明し、建設受け入れを求めた。 3,010 億円のうち、850 億円を直接 2 町に交付することを初めて明かした。 また、支援策をまとめた資料を 2 町の全住民に配布するほか、問い合わせを受ける専用の電話を新たに設ける。

政府と地元の受け入れ交渉の焦点だった土地の買い取り価格は、福島県が原発事故で価値が下がった分を負担する独自案をすでに示している。 2 町議会が政府と県の示したこれらの条件を評価したことを受け、2 町は政府による地権者への直接説明を認めた。 今後、県が建設計画の受け入れを正式に表明した後、早ければ 9 月中にも地権者との交渉が始まる見通しだ。 石原環境相はこの日、2 町の議会への説明後、取材陣に対し「かなり理解が深まったと思う」と語った。(伊藤嘉孝、asahi = 8-26-14)

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福島、汚染土の中間貯蔵容認へ 用地買収の差額負担方針

東京電力福島第一原発事故で出た福島県内の汚染土などを保管する中間貯蔵施設をめぐり、福島県は 22 日、建設計画を受け入れる方向で最終調整に入った。 建設候補地の大熊・双葉両町の地権者が不満を持っていた土地の買い取り額について、県は事故後の下落分を負担する方針だ。 難航してきた政府と地元の交渉が決着する見通しとなった。 復興の大きな課題となっていた除染廃棄物の中間貯蔵は、政府が目指す来年 1 月の施設への搬入開始に向け、大きく動き出す。 (asahi = 8-22-14)

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政府、福島に総額 3 千億円提示へ 焦点の中間貯蔵交付金

東電福島第1原発事故に伴う除染廃棄物を保管する国の中間貯蔵施設建設をめぐり、石原伸晃環境相と根本匠復興相は 8 日、福島県郡山市で佐藤雄平知事や候補地の双葉、大熊両町長と会談し、施設使用の 30 年間で総額 3,010 億円の交付金を拠出する方針を提示した。

中間貯蔵施設の交付金額は政府と福島側の交渉で最大の焦点。 政府はこれまで水面下で示してきた金額を 3 倍に増やし大幅に譲歩、難航する交渉が進展する可能性が出てきた。 同知事は交付金の内容について「今後、精査していく」と述べた。 大熊町の渡辺利綱町長と双葉町の伊沢史朗町長は「具体的な数字が示されたのは前進」などと語った。 (kyodo = 8-8-14)

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小泉進次郎氏、原発再稼働に疑義 「事故から学んだか」

小泉進次郎復興政務官は 4 日、福島県会津若松市で講演し、安倍政権が進める原発の再稼働について「2 回、事故を起こしたらおしまいだ。 はたしてもう一度、同じような事故を起こさないと自信を持って言えるか。」と疑義を呈した。 安倍政権は再稼働を審査する原子力規制委員会の基準を「世界最高水準」とし、基準に「合格」した原発の再稼働を認める方針だ。 小泉氏は、こうした政権の進め方について、「本当にあの事故から学んでいるかと思うことがいっぱいある」と指摘した。

小泉氏は講演後、記者団に、政権が原発問題に「もっともっと強い危機感と、日本の最重要課題という認識で取り組む必要がある」と述べ、具体例として福島第一原発の汚染水問題などを挙げた。 小泉氏は「事故を起こして、多くの方が人生を変えざるを得ない様々な決断を強いられ、犠牲を強いられた。 それだけの重みと危機感を持って、2011 年後の時代を本当に進んでいるのか。」とも語った。 (asahi = 8-4-14)

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作業員の被曝線量の上限、見直し検討 原子力規制委

原子力規制委員会は 30 日、原子力発電所で事故が起きた際の作業員の被曝(ひばく)線量について、現行の上限 100 ミリシーベルトを引き上げる必要があるかどうか検討することを決めた。 事故が起きれば、この値を超えるおそれがあることから、前もって検討して混乱を避ける狙いがある。

この日の定例会で田中俊一委員長が提案した。 2011 年 3 月の東京電力福島第一原発事故時には、線量上限値 100 ミリシーベルトのままでは事故対応が困難として急きょ 250 ミリシーベルトまで一時的に引き上げた。 当時の野田政権が出した「冷温停止」宣言に伴い、同年 12 月に事故前の値に戻した。 (川原千夏子、asahi = 7-30-14)

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川内原発再稼働「反対」 59% 朝日新聞社世論調査

朝日新聞社が 26、27 日に実施した全国世論調査(電話)で、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の運転再開について尋ねたところ、「賛成」は 23% で、「反対」の 59% が大きく上回った。 有効回答は 1,590 人。 回答率は 45% だった。

安倍内閣の支持率は 42% で、第 2 次安倍内閣発足以来、最低。 不支持率は 36% で、こちらも第 2 次内閣発足来、最高を更新した。 安倍内閣の支持率は 5 月は 49% だったが、集団的自衛権をめぐる議論が本格化した 6 月の調査時点でこれまでで最低の 43% を記録。 7 月 4、5 日の緊急調査では 44% だった。 不支持率は特定秘密保護法成立後の昨年 12 月の 34% がこれまでの最高で、今年 6 月、7 月上旬の調査ではともに 33% だった。

川内原発については、原子力規制委員会が 7 月 16 日に新たな規制基準を満たすと認めており、九電が地元の同意などを得れば、10 月にも再稼働が可能になるが、世論は「反対」が多数を占めた。

調査では、現在停止している原発を再稼働しないと経済に悪い影響が出るかどうかも聞いたところ、「悪い影響が出る」は 42%、「そうは思わない」は 43% と、意見が割れた。 しかし、原発について「技術と管理次第では安全なものにできる」と答えた人は 25% にとどまり、「人の手に負えない危険性がある」と回答した人は 63% にのぼった。 首相の原発政策についても、福島第一原発事故の教訓が「生かされている」は 19% で、「生かされていない」の 61% が圧倒した。

コンビニエンスストアやファストフード向けにチキンナゲットをつくっていた中国の食品会社が使用期限の切れた鶏肉を使っていた問題についても質問した。 まず、コンビニやファストフードの食品の安全性を普段、気にしているかどうか聞いたところ、「気にしている」は、「大いに」 22% と「ある程度」 43% を合わせて計 65% だった。 「気にしていない」は、「あまり」 26% と「まったく」 6% を合わせて計 32% だった。 今回の事件を受けて、コンビニやファストフードで調理された食品を「買うのを控える」は 64%。 「それほどでもない」は 23% だった。 (asahi = 7-28-14)

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原発 30 キロの病院、避難計画作成 1 割 遅れる弱者対策

再稼働の審査が先行している 6 原発の半径 30 キロ圏内にある全 52 市町村の避難計画のうち、病院で個別の避難計画を作っていたのは全 217 施設中 18 施設 (8%) にとどまることがわかった。 老人ホームなど社会福祉施設も全 823 施設中 204 施設 (25%) で、入院患者ら避難弱者の計画作りがほとんど進んでいない実態が明らかになった。

朝日新聞は先月下旬、再稼働審査が先行する泊(北海道)、高浜(福井県)、大飯(同)、伊方(愛媛県)、玄海(佐賀県)、川内(鹿児島県)の6原発から 30 キロ圏にある 11 道府県を通じて避難計画の策定状況を調査した。 国の先月末時点の調べで、全体の住民向け避難計画は全ての市町村が作成済みだった。 各道府県の地域防災計画では病院や、老人ホームなど社会福祉施設に対し、個別の避難対策を取るよう求めているが、避難弱者対策の遅れが顕著になっている。

福島原発事故で住民避難を指揮した福山哲郎元官房副長官が政府事故調査・検証委員会に語った「福山調書」で、政府は当初から広域の住民避難を想定しながら、一気に住民を避難させることで交通渋滞が激化し、かえって避難遅れとなる事態を懸念、避難区域を徐々に広げた経緯が明らかになっている。

福島原発事故では長時間の避難が負担となり、高齢者の死亡が相次いだ。 避難の混乱を教訓に、国は事故後の 2012 年、避難計画を作る自治体の対象を原発半径 8 - 10 キロ圏から 30 キロ圏に拡大する方針を決定。 高齢者ら避難の難しい住民には特に配慮するよう求めた。 再稼働の審査が最も早く進む川内原発の 9 市町では、87 ある病院のうち、策定が終わったのは 1 施設だけ。 153 の社会福祉施設で計画を作ったのは、6 施設だった。 (関根慎一、明楽麻子、asahi = 6-18-14)

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川内原発事故時の退避施設を公開 旧小学校を改修

九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の事故時に、原発から 5 キロ圏の住民が一時避難するために同市内に造られた屋内退避施設(シェルター)が 6 日、公開された。

原発から約 1.6 キロの旧滄浪(そうろう)小と、約 2.8 キロの旧寄田小の 2 施設。 それぞれ体育館の一角を市が改修した。 96 平方メートルの旧滄浪小の施設は 30 人を、102 平方メートルの旧寄田小は 52 人を収容可能。 国の原子力災害対策指針では大事故時、5 キロ圏の住民はすぐに避難するのが原則だが、シェルターはすぐに遠くに避難できない住民の使用を念頭に設置された。

扉や壁には放射線を遮るため鉛の板を入れた。 放射性物質が外から入らないよう内部の気圧を高くできるようにして、特殊なフィルター付きの換気装置も備えた。 給油なしで 4 日間動く非常用発電機も置いた。 建設費はそれぞれ 7 千万円前後。 (小池寛木、asahi = 6-6-14)

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コンクリ建物に退避なら被曝線量半減 原子力規制委試算

原子力規制委員会は 28 日、原発事故で放射性物質が大量に放出された場合でも、屋内退避などをすれば被曝(ひばく)線量を半減できるとする試算結果を明らかにした。 原発の周辺自治体に、防災や避難の計画づくりで参考にしてもらう考え。

原発の規制基準で重大事故時に抑える目安とされるセシウム 137 の放出量 100 兆ベクレルをもとに、一定の放射性物質が 5 時間にわたって出たと想定。 茨城県東海地区の 248 通りの気象条件を当てはめた。 事故後 1 週間の被曝線量について、ずっと屋外にいた場合と、初めの 2 日間だけ木造かコンクリート造りの建物に退避した場合を比べた。

 その結果、木造への退避で 25% 程度、コンクリート造りで半分に減らせるとした。 規制委は、原発から 5 キロ圏 (PAZ) では被曝線量が高いため、放出前に避難することが基本とし、30 キロ圏 (UPZ) では屋内退避を中心にすることが合理的との考えを示した。 (川田俊男、asahi = 5-29-13)

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30 キロ圏外へ住民 9 割避難、最大 28 時間 川内原発

鹿児島県は 29 日、原子力規制委員会の優先審査が進む九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)で重大事故が起きた際の住民の避難シミュレーションを公表した。 30 キロ圏内の 21 万 5 千人の 9 割が圏外に逃げる所要時間は 9 時間 15 分 - 28 時間 45 分。 だが全員が圏外に避難を終えるのにかかる時間や、市町別の避難時間は試算していないとして、公表しなかった。 県は避難計画の実効性を高めることを試算の目的にうたうが、30 キロ圏内の市町からは、内容に具体性が乏しいと批判が出ている。

試算は県が民間業者に委託した。 全員が自家用車で逃げ、5 キロ圏内の住民約 5 千人の 9 割が圏外に出た段階で 5 - 30 キロ圏に避難指示が出ると想定。 自主避難する人の割合などを考慮した 13 ケースを計算した。 最も時間がかかるのは、車 1 台に 2 人が乗り合わせ、南九州道が通行止めの場合で 28 時間 45 分。 最短は 4 人が乗り合わせ、主な渋滞予想地点で交通整理ができた場合で 9 時間 15 分だった。 (asahi = 5-29-14)

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核のゴミ 1 本 1.3 億円 海外委託の処理費、3 倍に高騰

青森県六ケ所村に 4 月、英国から返還された高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の輸入価格が、1 本あたり 1 億 2,800 万円だったことが税関への申告でわかった。 過去最高額で、海外に処理を委託した廃棄物の返還が始まった 1995 年の 3 倍。 管理や輸送の費用がかさんだとみられる。 費用は電気料金に上乗せされる。

原発から出る使用済み核燃料を再処理して再び燃料として使う「核燃料サイクル政策」について、政府は 4 月、閣議決定した新たなエネルギー基本計画のなかで「推進」するとしたが、再処理で出る核のゴミの費用もかさむことで、サイクル政策の非経済性が改めて浮かんだ。

再処理事業では新たな燃料のほか、利用不可能で強い放射線を出す高レベル放射性廃棄物も発生する。 六ケ所村にある日本の再処理工場はトラブル続きで完成しておらず、電力各社でつくる業界団体・電気事業連合会によると、日本は 69 年以降、英仏両国に送って再処理を依頼してきた。 (大谷聡、asahi = 5-26-14)

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「脱原発」意見、9 割超 エネ計画のパブリックコメント

安倍内閣が 4 月に閣議決定したエネルギー基本計画をつくる際、国民に意見を募った「パブリックコメント」で、脱原発を求める意見が 9 割を超えていた可能性があることがわかった。 朝日新聞が経済産業省に情報公開を求め、開示された分について原発への賛否を集計した。 経産省は、そうした意見をほとんど反映しないまま、基本計画で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけた。

経産省が昨年 12 月 6 日に示した基本計画の原案に対し、対象の 1 カ月間にメールやファクスなどで約 1 万 9 千件の意見が集まった。 経産省は 2 月に代表的な意見を発表したが、原発への賛否は集計しなかった。 朝日新聞はすべての意見の公開を求め、経産省は、個人情報保護のために名前を消す作業が終わった 2019 件分のメール(2,301 ページ)を開示した。 受け付け順で開示したとしており、残りの開示の可否は 9 月までに決めるという。 (編集委員・小森敦司、asahi = 5-25-14)

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中間貯蔵用地の評価額、高く算定 福島 2 町に示す政府案

福島県内の除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設候補地とされる同県大熊町、双葉町から避難した住民に政府が今月末にも示す補償方針案の全容が 17 日、わかった。 用地買収では、東京電力福島第一原発事故で極めて低くなった土地の評価額をできる限り高く見積もり、候補地内の墓も町民の意向に応じて移転や保存の費用を負担する。

県内の汚染土などは最大で東京ドーム 23 個分とされ、県内各地の仮置き場に置かれたままだ。 これらを搬入する中間貯蔵施設が、除染の推進と復興に向けた最大の課題と言われる。 ただ、2011 年 8 月に菅直人政権が建設の必要性を表明してから 2 年 8 カ月が過ぎ、汚染土の搬入目標時期まで 8 カ月を切った。 汚染土が福島県全体の復興の障害になっている実情から、一刻も早く両町に施設を受け入れてもらいたいのが政府の思惑だ。 (asahi = 5-18-14)

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玄海原発、住民避難に 25 時間 周辺 3 県が事故時想定

佐賀、長崎、福岡の 3 県は 30 日、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)で重大事故が起きた際の住民の避難シミュレーションを公表した。 それによると、半径 30 キロ圏内の住民約 27 万人が圏外避難するのにかかる標準的な時間は 24 時間 50 分。 30 キロ圏内に島の半分が入る長崎県壱岐市の島民約 3 万人が島外避難するには、最長 5 日半かかると予測した。

県によるシミュレーションの公表は浜岡原発(静岡県)に続き 2 例目で、玄海原発は 30 キロ圏が 3 県にまたがるため、共同で民間会社に委託した。 玄海原発で東京電力福島第一原発事故と同規模の事故が起きたとの想定。 30 キロ圏内の約 27 万人が一斉に避難した場合や、原発からの距離ごとに段階的に避難した場合、観光のピーク時など 52 のケースごとに避難に要する時間を計算した。

このうち「標準的なケース」としたのは、▽ 5 キロ圏内の約 8 千人がまず避難、▽ 全員が 30 キロ圏外へ出た後の 10 時間 40 分後から 5 - 30 キロ圏の人が避難を開始、▽ 避難指示が出る前に 4 割が自主的に避難 - - との設定で計算したもの。 この 2 段階避難の場合、5 キロ圏内の人の避難時間は 9 時間 15 分、30 キロ圏内は 24 時間 50 分だった。

段階的ではなく、30 キロ圏内の人が一斉に避難を始めた場合は、避難完了は 22 時間 30 分と 2 時間 20 分短かった。 しかし大渋滞が予想され、5 キロ圏内の人の避難の所要時間は約 10 時間長い 19 時間 20 分だった。 3 県は、5 キロ圏の住民の避難時間を短縮するには原発からの距離に応じて段階的に避難するのが有効、としている。

壱岐市では、30 キロ圏外の島北部に陸路で移動すると完了は 5 時間 45 分後だった。 離島のため、標準ケースでも段階的な避難はしない。 さらに福岡市や北九州市まで船で避難する場合は、定期航路のフェリーなら 5 日半(133 時間)かかり、周辺航路のフェリーを投入しても約 2 日(53 時間)だった。 長崎県は事故時に、海上自衛隊や海上保安庁に船の派遣を要請するとしている。 (asahi = 5-1-14)

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浜岡原発事故、避難完了に 30 時間超 静岡県が想定発表

静岡県は 23 日、南海トラフ巨大地震と津波が発生し、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)で重大事故が起きたと想定した避難シミュレーションを発表した。 避難指示後、原発から半径 31 キロ圏にいる 86 万人が避難し終わるまでに 32 - 46 時間かかるという。 避難指示の 18 時間後に爆発した東京電力福島第一原発事故を重ねると、「一部住民が被曝(ひばく)する可能性が高い」としている。

県によると、地震と原発事故の複合災害を想定した本格的なシミュレーションは全国初。 浜岡原発は南海トラフ地震の想定震源域に立地し、2011 年に当時の菅直人首相の求めで運転を停止している。 県は国による放射性物質の拡散予測を基に、避難計画の策定が必要な地域を原発から 31 キロ圏としている。 対象地域の人口では全国の原発の中で 2 番目に多い。

シミュレーションでは、津波で沿岸部の道路が使えない中、1 世帯あたり 1 台のマイカー計 28 万台で避難することを前提に、県による規制の有無など 12 のケースで避難指示から避難完了までの時間を試算した。 (asahi = 4-24-14)

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「原発事故、180 度考え変えた」都内での会合で 菅直人元首相

私は 3・11 までは日本の科学技術の水準をもってすればそんなにひどい(原発)事故は起きないだろうと安全神話を信用していた。 安倍首相がトルコやベトナムでトップセールスをしているが、実は私も同じ国で「原発を導入するなら、日本の安全性が一番高いんだ」と熱心にセールスをした。

しかし、3・11 で考えを 180 度変えた。 飛行機や船の事故で多くの人が亡くなることはあるが、一つの国、または国の半分が使えなくなったり、いつ(居住地に)帰ってこられるか分からなくなったりする事故は、私の知る限り戦争以外にない。 わずか 60 年間にチェルノブイリ、スリーマイル、福島で事故が現実に起きた。 リスクを冒してまで、原発を使うことが、日本にとって世界にとって良いことか。 (asahi = 4-23-14)

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経産相「責任あるエネルギー政策を再構築」 政府基本計画決定

政府は 11 日午前、中長期のエネルギー政策の指針となるエネルギー基本計画を閣議決定した。 茂木敏充経済産業相は同日午前の閣議後記者会見で、計画について「責任あるエネルギー政策を再構築するための中長期的かつ総合的な政策の基本方針だ」と述べた。

基本計画では原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置付け、原子力規制委員会の安全審査を通った原発の再稼働を進める一方、太陽光や風力といった再生可能エネルギー導入に積極的に取り組む方針を盛り込んだ。 エネルギー源にはそれぞれの特徴があると説明。 「現実可能かつバランスのとれたエネルギー需給構造の実現を目指している」と語った。

原発の再稼働については「いかなる事情よりも安全性を最優先し、(規制委の)新規制基準に適合すると認められた場合はそれを尊重する」との方針を示した。 現在 10 原発 17 基の適合申請が進んでいるとも明らかにした。 再生エネルギーについては「最大限の導入に向けて一丸となって取り組む」と述べた。 政府の司令塔の強化や関係省庁間の連携を強化する観点から内閣官房に再生可能エネルギー等関係閣僚会議を創設し、同日午前に第 1 回会合を開いたと説明した。 (nikkei = 4-11-14)

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高レベル放射性廃棄物 : 地層処分、地下水との闘い

原発から出る高レベル放射性廃棄物をどうするか。国は地中深く埋める「地層処分」を念頭に置く。 その技術を研究する瑞浪(みずなみ)超深地層研究所(岐阜県瑞浪市)を訪ねた。 そこでは、地層処分の安全性を脅かしかねない地下水との格闘が続いていた。

1 日 850 トンくみ上げ

日本列島は地殻変動や地震、火山活動が活発な「変動帯」にある。 地層が古く安定した欧州のデータだけでは不十分なため、国内 2 カ所に地層処分技術の研究所を設け研究している。 地下の岩盤が花こう岩(御影石)質の瑞浪と、堆積(たいせき)岩質の北海道幌延町だ。

同研究所を運営する日本原子力研究開発機構の福島龍朗上席嘱託の案内で、地下 300 メートルの水平坑道まで下りた。 露出した岩肌から地下水がしみ出し、側溝を流れていく。 約 1 万年前に地層内にたまった水という。 どんな岩でも目に見えない隙間があり、地層深くでは水がその隙間に閉じ込められている。 そこに坑道などを掘ることで安定状態が崩れ、たるの底が抜けたように水が出てくる。

水は深さ 100 メートルごとに設けたポンプで地上までくみ上げる。 1 日 850 トンにもなる。 近くの川に流すため、岩から溶け出た成分などの排出処理に年間約 5 億円かかる。 施設維持費の半額に相当する金額だ。 岩盤中の水の動きを詳しく調べるための電極が坑道に 2 メートルおきに並ぶなど「置ける限りの観測機器があります」と福島さん。 水の研究が重要な理由は、地層処分した「核のごみ」から放射性物質が地下水に溶け出し、地層の割れ目などを伝って地表まで達する恐れがないか調べるためだ。

政府の計画では、使用済み核燃料は再処理工場でまだ使えるウランやプルトニウムを取り出した後、廃液を溶けたガラスと混ぜ、ステンレス容器に入れて固めて「ガラス固化体」にする。 直径 40 センチ、高さ 130 センチ、重さ 500 キロ。 できたばかりの固化体は、表面の放射線量が毎時 1,500 シーベルト。 1 本で 3 万人の年間消費電力を発電した場合の廃棄物に相当し、福島第 1 原発事故で環境中に放出された放射性セシウムに匹敵する量(約 2 京ベクレル)の放射性物質を含む。

原発が 2020 年ごろまで稼働する場合、その数は 4 万本に上る。 高線量、高熱の固化体を 30 - 50 年間かけて冷ました後、地層処分する。 厚さ 19 センチの炭素鋼容器に入れ、さらに厚さ 70 センチの粘土の緩衝材で覆って埋める。 放射性物質の溶け出しを防ぐ多重のバリアだ。

新たな課題も浮上

だが、同研究所で実物を使ってバリアの有効性を確認する実験はしない。 「最終処分場にはしない」という地元との約束から、放射性物質の持ち込みは厳禁。 フランスで地下研究所のある土地が処分場の候補地になったことも、地元の疑念をかき立てているだけに、水や岩盤の研究に絞っているのが実情だという。

地層処分して穴を埋め戻せば地層は再び安定状態に戻り、水も出なくなるとされる。 それを確認する埋め戻し実験が 2 年後に始まるが、今年 2 月、エネルギー基本計画の政府原案に「回収可能性」が新たに盛り込まれた。 技術の進歩で処分方法を見直した場合や不測のトラブルに備えて、いつでも固化体を取り出せるよう坑道を埋めずに残すことが求められたのだ。

想定される最終処分場の面積は皇居の 4 - 7 倍。 研究所よりはるかに広い。 膨大な量の地下水が、坑道を埋め戻さないことでより長い期間出続ける。 周辺の地下水が坑道に集まる可能性に加え、それが安全性にどんな影響を及ぼすかも未知数だ。 さまざまな課題はあるが、それでも「人間の世界の方がはるかに不確実。 廃棄物を地上で、人の手で管理し続けるより、地下に保管する方が安全だ。」と、経済産業省の地層処分技術に関する作業部会の杤山修委員長は強調する。 (山田大輔、mainichi = 3-13-14)

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