=== 原発への対応と将来の展望 3 (l) ===

中間貯蔵施設:福島・大熊、双葉 2 町に集約案 知事方針

楢葉町を除外、両町長は回答を保留

東京電力福島第 1 原発事故の除染で生じた福島県内の汚染土などを保管する中間貯蔵施設について、同県の佐藤雄平知事は 4 日、楢葉町には建設せず、大熊、双葉の 2 町に施設を集約する案を国に求める方針を両町長に示した。 放射線量が比較的低い楢葉町が高線量廃棄物受け入れを拒否していることを踏まえた。 大熊、双葉の両町長は回答を保留した。

環境省は昨年末、3 町に施設を建設し廃棄物計 2,200 万 - 2,800 万立方メートルを貯蔵、30 年後に搬出する計画を示した。 佐藤知事は 4 日、県が廃棄物の減容化を図るなどし、大熊、双葉両町だけで保管する新しい案を国に要望する方針を両町長に伝えた。

佐藤知事は「双葉郡の復興には(中間貯蔵施設の)敷地を小さくすることが大事だ」と説明。 渡辺利綱・大熊町長と伊沢史朗・双葉町長は「施設集約と建設受け入れは別」との見解を示し、伊沢町長は「議会や町民と協議して判断したい」と述べるにとどめた。 楢葉町の松本幸英町長は「双葉郡、県全体に影響を及ぼすことなので、県から正式な連絡があるまでコメントできない」と話した。

大熊、双葉両町は住民 96% が住んでいた地域が帰還困難区域(年間積算放射線量 50 ミリシーベルト超)になっている。 一方、全住民が住んでいた地域が避難指示解除準備区域(同 20 ミリシーベルト以下)の楢葉町は今春にも帰還時期を示す見込みで、帰還を目指す住民には建設反対の声が大きい。 (喜浦遊、深津誠、mainichi = 2-4-14)

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原発再稼働反対 60% 景気回復実感せず 73% 共同世論調査

共同通信社が 25、26 両日に実施した全国電話世論調査によると、原発の再稼働に反対するとの回答は 60.2% に上り、賛成の 31.6% のほぼ倍だった。 安倍晋三首相は原子力規制委員会の安全性確認を前提に、再稼働を進める構えだが、否定的な意見が根強い現状が鮮明となった。 安倍政権の経済政策で景気が良くなったと実感している人は 24.5% で実感していない人は 73.0% だった。

憲法解釈の見直しによる集団的自衛権の行使容認に反対すると答えたのは 53.8% を占め、賛成の 37.1% を上回った。 首相は憲法解釈変更を視野に入れるが、国民の理解は進んでいないといえる。

首相が企業に求めている賃上げでは「実現しない」が 66.5% だったのに対し「実現する」は 27.8% にとどまった。 4 月からの消費税増税に関しては、家計の支出を「控える」が 69.1% で、「控えようとは思わない」は 29.4%。 来年 10 月に予定される消費税率 10% への引き上げは賛成が 30.1%、反対は 64.5% だった。

米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)沿岸部への移設計画をめぐり反対派の市長が再選されたことに関し「市長の理解が得られるまで中断」は 42.9%、「計画撤回」は 17.9%。 「予定通り進める」は 31.7% だった。 内閣支持率は 55.9% で、昨年 12 月 28、29 両日の前回調査に比べて 0.7 ポイント増とほぼ横ばい。 不支持率は 31.0%。 (kyodo = 1-27-14)

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琵琶湖 26%、飲料基準超と予測 福井原発群、福島並み事故で

滋賀県は 21 日、隣接する福井県の原発群で東京電力福島第 1 原発並みの事故が起きると、放射性ヨウ素による影響で、琵琶湖の面積の最大 26% で、国が飲料水としての摂取を制限する基準を超えるとの予測を公表した。

滋賀県は昨年 11 月、同様の予測で、面積の最大 21.7% が基準を超えるとの結果を発表したが、今回は影響を広く調べようと、粒子状とガス状のヨウ素の比率を変えて再試算。 今回が最終報告で、地域防災計画に反映する。 再試算では、粒子状とガス状の割合を同じにした。 (kyodo = 1-21-14)

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原子力機構の高レベル廃液、水素爆発の恐れ 東海村

原子力規制庁は 2 日、日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(茨城県東海村)のプルトニウム溶液と高レベル放射性廃液の調査報告書をまとめた。 廃液が 430 立方メートル処理されずに残っており、安全装置が壊れると沸騰して放射性物質が飛散したり、水素爆発を起こしたりする恐れがあるという。

施設は高速増殖原型炉もんじゅなどのプルトニウム・ウラン混合酸化物 (MOX) 燃料用にプルトニウムを抽出している。 施設内には液体プルトニウム 3.5 立方メートル、高レベル廃液は 430 立方メートルある。 本来、液体プルトニウムは MOX の粉末にし、高レベル廃液はガラスで固めて保管する。 しかし、耐震対策や機器の故障などで、2007 年から処理装置が止まったままになっている。 (asahi = 12-2-13)

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竹炭で除染、セシウム吸着を確認 中京大研究グループ

【志村英司】 嫌なにおいを消す竹炭が、除染に利用できることが中京大(名古屋市昭和区)の研究でわかった。 福島第一原発の事故で出た汚染水を濾過して除染しているセラミックスのゼオライトより簡単に入手でき、使用後は燃やせるのが利点という。

中京大の研究グループが 25 日に発表した。 竹を炭にすると表面に無数の穴が開いて表面積が大きくなる特徴があり、放射性物質の吸着に生かす方法を研究していた。 セラミックスを研究する野浪亨教授によると、竹炭を使って濾過した、実験用のセシウム溶液の濃度を測ると、ゼオライトを使用した時の 74% の吸着能力があったという。 (asahi = 11-26-13)

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帰還後の住民、個人線量計で被曝管理を 規制委が提言へ

東京電力福島第一原発事故による避難住民の帰還に向けた対策について、原子力規制委員会は 20 日、基本方針をまとめた。 帰還後の被曝(ひばく)管理は、これまでの空間の線量から一律に推計する方法から、個人が身につける線量計の測定値を基にするよう転換を求めた。 近く政府の原子力災害対策本部に提言する。政府はこれに基づいて近く帰還対策を発表する予定だ。

一般的に個人線量計で計測した数値の方が空間線量率(時間当たりの線量)からの推計より実態に近いが、数値は低く、個人差も大きい。 (asahi = 11-20-13)

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除染費用に国費投入 福島原発事故対策、国が積極関与へ

安倍政権は、東京電力福島第一原発事故対策を抜本的に見直す方針を固めた。 菅義偉官房長官が 4 日、「前政権は政府の関与なしで東電に(事故対応を)やらせる道を選んでしまった。 見直す時に来ている。」と表明した。 除染費用の一部を国が初めて負担し、廃炉や汚染水対策などにも国が積極的に関与する方向となる。 来年の通常国会で関連の法改正も検討する。

菅氏は東京都内の講演で、事故対応について「本来であれば政府が関与できる部分もあった」と指摘。 具体的には、除去した汚染土などを保管する中間貯蔵施設建設や追加除染に国費を投じることなどを検討する。 菅氏は同時に、東電支援のために民主党政権時代に作られた原子力損害賠償支援機構法や、原発事故の賠償を事業者に原則負わせる原子力損害賠償法(1961 年制定)の改正を検討する考えも示した。 (asahi = 11-5-13)

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土壌のセシウム、深さ 10 センチどまり 原子力機構が森林調査

東京電力福島第 1 原子力発電所の事故で放出され、森林に降り積もった放射性セシウムのほとんどが土壌の深さ 10 センチまでにとどまり、地下水を通じた周辺への流出は考えにくいとする研究成果を日本原子力研究開発機構の研究チームが 30 日までに発表した。

研究チームは「セシウムは土壌に沈着して動きにくいという従来の説が裏付けられた」としたうえで、「表土を 5 センチ程度削り取るという除染の手法は問題ない」と指摘している。 研究チームは 2011 年 5 月 - 13 年 7 月、第 1 原発の南西約 65 キロにある茨城県内の森林で、落ち葉の層と土壌の深さ 5 センチ、同 10 センチの計 3 層の土と水分に含まれるセシウム 134 と同 137 の濃度を計測。 濃度がどのように変化したかを調べた。

その結果、事故後に落ち葉に降り積もったセシウムの大部分は 11 年 12 月までに雨水により土壌の深さ 0 - 5 センチに浸透した。 その後、土壌中での移動はごくわずかで、13 年 3 月までに深さ 10 センチに到達したのは全体の 0.3% 程度だった。 調査期間中、深さ 10 センチまでのセシウム 137 の量は 1 平方メートル当たり約 20 キロベクレルとほぼ変わらず、周辺への流出はほとんどなかったと考えられるという。 (kyodo = 10-30-13)

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追加除染費「国が負担」 自民提言案、東電負担見直し

【疋田多揚】 自民党は、東京電力福島第一原発事故による除染費用の一部や除去した土などを保管する中間貯蔵施設建設費について、国費投入を政府に提言する方針を固めた。 総額 5 兆円超ともされる除染費用を東電だけではまかなえず、福島の復興の遅れにつながると判断した。

いまの法律では、東電が自費で廃炉をすすめ、国から資金を借りる形で賠償、除染のすべてを負担することになっている。 これまでの除染費用は東電が負担し、追加の除染や中間貯蔵施設については国が負担する方向で調整。 実現すれば大きな方針転換になる。

新たな方針は、自民党復興加速化本部(本部長 = 大島理森前副総裁)が近くまとめる提言案に盛り込む。 これに関連し、菅義偉官房長官は 29 日の記者会見で「党の議論を注視しながら、提言がなされれば政府としてもしっかり受け止めていきたい」と述べた。 麻生太郎財務相も「東電だけにすべての責任があるかのような話をするのはいかがなものかという感じは私自身はする」と述べ、国費投入に理解を示した。 (asahi = 10-29-13)

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東電、除染費用支払い拒否 74 億円、国は黙認

【関根慎一、多田敏男】 東京電力が除染事業の大半の項目について費用の支払いに応じない考えを 2 月時点で国に明確に伝えていたことが、朝日新聞が環境省への情報公開請求で得た文書でわかった。 国はこれを公表せず、支払い拒否を黙認している。 国が除染費用を立て替えた後、東電に請求するのが「放射性物質汚染対処特別措置法」の規定だ。 環境省は現在までに計 404 億円を請求したが、東電が支払ったのは 67 億円。 国や東電は「内容の確認に時間がかかっている」とし、手続き上の問題と説明してきた。

ところが、東電は 2 月 21 日付で環境省に送った文書で、昨年 11 月の第 1 回請求分の大半について「支払いが困難であるとの結論に至った」と拒否。 環境省が説明を求めると、2 月 27 日付の回答文書で、第 2 回請求分をあわせた 149 億円(118 項目)のうち、74 億円(95 項目)について個別に支払わない理由を列挙した。さらに、賠償交渉を仲介する「原子力損害賠償紛争解決センター (ADR)」に委ねることを検討するよう提案した。 (asahi = 10-27-13)

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小泉元首相「原発進める方が無責任」 名古屋で講演

小泉純一郎元首相が 1 日に名古屋市で講演し、「今こそ原発をゼロにする方針を政府・自民党が出せば、世界に例のない循環型社会へ結束できる」と語った。 シンクタンクなどが主催した約 1 時間の講演で、最近力を入れる脱原発の訴えに終始した。

「経済界では大方が原発ゼロは無責任だと言うが、核のゴミの処分場のあてもないのに原発を進める方がよほど無責任だ」と強調。 「原発ほどコストのかかるものはないと多くの国民が理解している」と続けた。 「捨て場所もないような原発を経済成長に必要だからとつくるより、同じ金を自然エネルギーに使って循環型社会をつくる方が建設的じゃないか」と語った。 (asahi = 10-1-13)

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「原発事故原因、地震か津波か特定されず」民主・馬淵氏

馬淵澄夫・民主党衆院議員

(都内での集会で)実は今もって、地震で原発に問題が起きたかどうかの確認は取れていないんです。 安倍首相が東京電力福島第一原発の 5、6 号基の廃炉を決定したことによって、原発関係者が胸をなで下ろしているという連絡が、私のところに来ました。

なぜか。 5 号基、6 号基の廃炉が決定すれば、IAEA (国際原子力機関)を含めさまざまな調査が行われない。 あの福島第一原発の事故は本当に地震によって誘発されたのか。 日本政府はすべて津波によるものだと決めています。 しかし、まだ事故原因の特定は全くされていないはずです。

私は繰り返し、地震による可能性があるのではないかと首相補佐官就任直後から言い続けましたが、黙殺されました。 地震によるものだという調査結果が出て基準地震動の見直しを図ったとすれば何が起こるか。 日本の原発 54 基すべて動かなくなる。 そのことを避けたいのは原子力関係者の中では根強く残っているのではないか。 (asahi = 9-28-13)

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壁に当たる放射能除去 福島の除染、国の当初計画は破綻

放射性物質が降り注いだ福島県内の除染作業。 汚れた土や草木などを保管する中間貯蔵施設の検討はようやく進み始めたが、どこにどんな建物をつくるか姿が見えないままだ。 「ふるさとに戻るためになくてはならない施設だが、復興の妨げにもなる。」 住民らは、施設建設と除染の行方を複雑な思いで見守っている。

環境省が中間貯蔵施設の候補地としているのは、東京電力福島第一原発の事故により住民のほぼ全員が避難している双葉、大熊、楢葉の 3 町。 大熊、楢葉の 2 町では、候補地を選ぶためのボーリングなど現地調査が春以降に始まった。 5 月にボーリング調査が始まった大熊町は、人口の 96% が住んでいた地域が、放射線量が極めて高い「帰還困難区域」に入る。 6 カ所の建設候補地がある。

環境省は建設計画を 9 月中に町へ示し、政府は補償の対象世帯や周辺の緩衝地域がどうなるかなどを具体的に提示する見通しとなっている。 渡辺利綱町長は「町民の意向を踏まえ、議会と協議して、町の考えをまとめたい。 最終的には県が判断することになる。」と、県や他の 2 町の意向も踏まえて受け入れの可否を判断する考えだ。

7 月にボーリング調査が始まった楢葉町では、住民の反発はより強い。 福島第一原発が立地し、町の大半が帰還困難区域の大熊、双葉町と異なり、楢葉町は放射線量が比較的低く、ほとんどが近い将来に帰還が望める「避難指示解除準備区域」だからだ。

県と町は「調査受け入れと設置受け入れは別」という立場を明確にしている。 町は、近隣のいわき市と広野町で出た除染廃棄物の搬入はしないなどの「保管庫」であれば、との条件で調査を受け入れた。 しかし、避難先として町民の 8 割を受け入れているいわき市の反発も招いている。 環境省側は「造る施設は同じ」だとして調査を進める。 しかし、町の担当者は「あくまで保管庫であるべきだ。施設の具体像、特に搬入量の規模を見極めながら、候補地となった他の町や県と協議していきたい」との姿勢を崩していない。 (asahi = 9-11-13)

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線量上昇の地域で追加除染実施へ 環境副大臣が方針

環境省の井上信治副大臣は 26 日、東京電力福島第一原発事故による放射性物質の除染に関して、「新たに線量が高くなってしまったところは地元市町村と調整をしながら取り組む」と話し、いったん作業が終了した地域で追加的な除染をする場合があるとの考えを明らかにした。 森林の除染についても、必要に応じて範囲を拡大するという。

住民が避難した福島県内 11 市町村では国直轄による除染が行われ、ほかの市町村でもそれぞれ作業が進められている。 環境省はこれまで、いったん作業を終えた場所の除染をするかについて「実施していない地域を急いでやることが重要」と 1 巡目を優先する姿勢を示し、明言を避けていた。

住宅の除染では、除染作業終了後に、雨で流れ出た放射性物質がたまるなどした結果、再び線量が上昇する例があった。 今後、除染作業後にモニタリング調査で線量を把握し、新たな汚染が特定された地点については、追加的な除染を行う計画。 特に、学校や公園など子どもの生活環境については、迅速に対応するという。 (asahi = 6-26-13)

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日赤、原子力災害時に救護指針「累積被曝 1 ミリまで」

【大岩ゆり】 日本赤十字社が、原子力災害時の医療救護の活動指針を作った。 住民の立ち入りが制限される警戒区域内には入らず、累積被曝(ひばく)線量が 1 ミリシーベルトを超えない範囲で活動すると決めた。 1 ミリは一般住民の平常時の年間限度。 これに対し、被曝医療の専門家から「被災者への救護、対応が十分にできない」と見直しを求める声が出ている。

日赤は法律により、災害時の被災者の救護が業務の一つと定められている。 医師 1 人、看護師 3 人、運転手 1 人、事務職員 1 人が 1 組の救護班を全国に 500 組以上、組織している。

東日本大震災では延べ 900 組の救護班が被災地に入ったが、当初、原子力災害への備えがなく、東京電力福島第一原発事故直後の福島県内では、救護班がいない「空白期間」が生じた。 その反省から、原子力災害の活動指針を作ったという。 救護班は線量計や安定ヨウ素剤を携行し、累積被曝線量が 1 ミリシーベルトを超える恐れがあれば、安全な地域に退避するとした。 (asahi = 6-16-13)

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双葉町役場、いわきに移転へ 埼玉県加須市の仮役場から

【根岸拓朗】 東京電力福島第一原発事故で唯一、役場機能を県外に避難させた福島県双葉町が 14 日、埼玉県加須市の仮役場での主要業務を終える。 17 日、福島県いわき市に移転する。 2 年 3 カ月ぶりに福島県内に戻るが、元の町に帰れるめどは立っていない。 (asahi = 6-14-13)

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経済成長に原発利用、「反対」 59% 朝日新聞世論調査

朝日新聞社が 8 - 9 日に実施した全国定例世論調査(電話)によると、日本経済の成長のためだとして原発を積極的に利用する安倍政権の方針について、反対が 59% に上り、賛成 27% を大きく上回った。 停止している原発の運転再開の賛否も聞くと、やはり反対は 58% で、賛成 28% と大きく差がついた。 安倍首相は 5 日、成長戦略の第 3 弾を発表。 この中に「原子力発電の活用」や「安全と認められた原発の再稼働」を盛り込んだが、原発に対する有権者の抵抗感はなお根強いようだ。 (asahi = 6-10-13)

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原発避難「仮のまち」、福島 10 市町村に 財政支援も

東京電力福島第一原発の事故による避難住民が、受け入れ先の自治体で暮らす「仮のまち」について、国と福島県、避難側と受け入れ自治体は 9 日、いわき市や福島市など県内 10 市町村に生活拠点を整備することで一致した。 同県郡山市内で開いた協議会で決めた。

整備場所はほかに会津若松市、郡山市、二本松市、南相馬市、桑折町、川俣町、大玉村、三春町。 それぞれ部会を設け、今月中旬から協議を本格化させる。 すでに県による災害公営住宅の整備が進み、2014 年春に入居開始が見込まれる所もある。 県は災害公営住宅を、15 年度中までに 3 千 - 4 千戸整備する方針も明らかにした。 (asahi = 6-10-13)

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学校・保育園、98% で除染完了 環境省、進捗状況公表

【中村浩彦】 環境省は 7 日、東京電力福島第一原発事故による放射性物質汚染で、重点調査地域に指定されている岩手、宮城、茨城など 7 県の 58 市町村について、3 月末現在の除染の進捗状況を公表した。 学校や保育園など 1,587 施設の 98% で計画された除染作業が終了。 3,369 ある公園やスポーツ施設でも 80% で終了するなど、子どもの生活に関連する施設では作業が進んでいる。

約 14 万戸が予定されている住宅の除染については全体の 25% しか終了していない。 これまで学校などの除染を優先して進めてきたため、住宅については遅れていた。 徐々に住宅に作業が移り始めており、除染の実施数は昨年 12 月末の前回集計と比べて約 1.5 倍となっている。 農地や牧草地については 64% が終了しているが、森林では 1% しか終了していない。 (asahi = 6-7-13)

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東電賠償、1 万人超が未請求 来秋以降、時効の恐れ

【関根慎一】 福島第一原発事故で避難を指示された約 16 万人のうち、1 万人以上が東京電力に損害賠償を請求しておらず、来年以降に時効が成立して請求権を失う恐れのあることが分かった。 損害賠償請求権の時効は 3 年。東電は 2011 年 9 月から精神的損害など内容ごとに受け付けを始め、開始時から 3 年を数えると説明している。 早い人は 14 年 9 月に時効となる計算だ。 (asahi = 6-6-13)

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原発事故の防災体制、大枠整う 規制委が指針改定

【西川迅】 原子力規制委員会は 5 日、原発事故時に住民を放射線被曝から守るための原子力災害対策指針を改定した。 甲状腺被曝を防ぐために服用する安定ヨウ素剤を原発から半径 5 キロ圏の住民らに事前配布する方法や、放射線の測定で国が統括的にかかわることなどが柱だ。

指針の改定は昨年 9 月の規制委発足後、2 回目。 これまで、防災対策の重点区域の目安を従来の 8 - 10 キロ圏から 30 キロ圏へ拡大することなどを進めてきた。 今回で、東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえた防災体制の大枠が整った。 改定された指針によると、ヨウ素剤は自治体が購入して備蓄する。 原発から 5 キロ圏内の住民は重大事故の発生と同時に即時避難し、すぐにヨウ素剤を服用できるよう事前に医師が住民に服用や保管の方法、副作用などの注意点を説明して配っておく。 (asahi = 6-5-13)

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原発 ADR、浪江の 1 万人超が申し立て 町が代理人

【小坪遊】 福島県浪江町は 29 日、東京電力福島第一原発事故による精神的苦痛への慰謝料見直しを求め、住民の代理人として原子力損害賠償紛争解決センター(原発 ADR)に和解の仲介を申し立てた。 事故当時の町民約 2 万 1 千人の半数を超える 1 万 1,602 人(4,885 世帯)が参加。 原発 ADR に対する集団申し立てで、過去最大の人数となった。 実務を担う町支援弁護団によると、自治体が住民の代理人になるのは初めて。

国の指針に従い、東電は住民 1 人に対し、避難生活が終了するまで月額 10 万円の慰謝料を支払っている。 この額は、交通事故のけがで入院した場合に自賠責保険で支払われる月 12 万円程度の慰謝料を参考にしている。 これに対し、町は申立書で、事故による避難、地域コミュニティーの崩壊など深刻な被害実態が考慮されていないと主張。 月額 35 万円に増やすよう求めた。 東京電力は「和解の仲介手続きの中で真摯に対応したい」とコメントした。 (asahi = 5-30-13)

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福島双葉町の避難区域二つに再編 住民帰還、見通し立たず

東京電力福島第 1 原発事故で、全域が警戒区域になっていた福島県双葉町の避難区域が 28 日「帰還困難区域」と「避難指示解除準備区域」の二つに再編される。

警戒区域は、原発から半径 20 キロ圏で、災害対策基本法に基づき立ち入り禁止とされる。 原発事故後の 2011 年 4 月、県内の 9 市町村に設けられた後に解除が進み、双葉町が最後まで残っていた。 県内全域で解消されるが、法的拘束力はないものの引き続き原則立ち入り禁止の帰還困難区域が、第 1 原発がある双葉町や大熊町など広い範囲で残り、住民帰還の見通しは立っていない。 (kyodo = 5-27-13)

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福島・双葉町 : 警戒区域を再編  96% が帰還困難区域内

政府の原子力災害対策本部(本部長・安倍晋三首相)は 7 日午前、東京電力福島第 1 原発事故で全域が警戒区域になっている福島県双葉町を、帰還困難区域と避難指示解除準備区域に再編することを決めた。 28 日午前 0 時に実施され、避難区域の再編が終了していないのは川俣町だけになる。

再編後の双葉町は、居住人口の 96% を占める地区が 4 年間は戻れない帰還困難区域に、4% が住んでいた北東部が除染後に帰還可能な避難指示解除準備区域にそれぞれ変わる。 同町は政府から再編案を提示され、4 月 23 日に受け入れを正式に通知していた。 (宮島寛、mainichi = 5-7-13)

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神戸・阪神間で基準値超えも 兵庫が放射能拡散予測公表

【宮武努】 兵庫県は 25 日、福井県内の原発で福島第一原発並みの事故が発生した場合の放射性物質の拡散予測結果を公表した。 気象条件によっては、原発から約 100 キロ離れた神戸市や阪神間でも、甲状腺の被曝線量が「安定ヨウ素剤の服用が必要」とされるレベルを超えると推計された。 県は安定ヨウ素剤配備などの対策を検討する。

高浜、大飯、美浜、敦賀の 4 原発のいずれかから放射性物質の放出が 6 時間続いたと想定。 神戸、豊岡、篠山、丹波の 4 地点について、1 年間で最も汚染がひどくなる気象条件の日時を各原発ごとに特定し、計 16 ケースの被曝線量の分布を算出した。 その結果、甲状腺被曝線量の 7 日間の積算値が最も大きくなるのは、神戸市の場合、大飯原発が事故を起こした時の 62.1 ミリシーベルト。 4 地点の中の最大値は、高浜原発が事故を起こした時の篠山市で、167 ミリシーベルトに達した。

甲状腺に放射性ヨウ素が蓄積すると、甲状腺がんが起こりやすくなる。 国際原子力機関 (IAEA) の判断基準では、甲状腺被曝線量が 50 ミリシーベルトを超えると、放射性ヨウ素の蓄積を防ぐために安定ヨウ素剤の予防的服用が必要とされる。 今回算出した 16 ケースのいずれかでこの値を超える自治体は、神戸、西宮、宝塚、丹波、豊岡各市など県東部を中心に 25 市町を数えた。

兵庫県は、国の新しい原子力災害対策指針で避難計画の策定などが求められる防災対策の重点区域(原発からおおむね 30 キロ圏)からは外れているが、範囲外でも一定の対策が必要になるとして、昨秋から独自のシミュレーションを進めていた。 原子力規制委員会が昨年発表した放射性物質の拡散予測では甲状腺被曝線量は推計されていなかった。 県防災企画局の担当者は「値の高い地域には安定ヨウ素剤の配備を検討する必要がある」と話している。 (asahi = 4-25-13)

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双葉町、二つの区域に再編へ 放射線量に応じ 5 月にも

東京電力福島第一原発事故で全域が警戒区域になった福島県双葉町が 5 月上旬にも、放射線量に応じて二つの区域に再編される見通しとなった。 国は人口の 96% が住んでいた地域を帰還困難区域、北東の地域を早期帰還が見通せる避難指示解除準備区域に指定する。

解除準備区域の対象住民への説明会が 6 日にあり、国の担当者は「再編は大型連休明けにも可能」と説明。 最終的に住民側も再編案を了承した。 伊沢史朗町長は「理解いただいたと思っており、再編を早く進めたい」と述べた。 帰還困難区域は線量が高く、帰還のめどは立っていない。 警戒区域など避難指示区域の見直しは福島県の対象 11 市町村のうち 9 市町村で終了。 残る双葉町と川俣町が今春の見直しを目指している。 (asahi = 4-7-13)

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土地・建物賠償、東電手続き開始 避難指示区域の住民に

東京電力福島第一原発事故で警戒区域などの避難指示区域に指定された地域の住民の土地や建物、家財道具についての賠償手続きが 29 日始まった。 東電が、請求に必要な書類を 4 月中旬にかけ順次、住民へ発送する。早い人で、同月下旬ごろに賠償金の支払いが始まる見通し。 東電は賠償総額を約 7,115 億円と見込んでいる。

東電は昨年 7 月に賠償の基準を示した。 しかし、被災者側は額が不十分などと反発。 不動産登記が実態に合わないケースの確認にも手間取り、手続き開始が遅れていた。 東電福島復興本社の石崎芳行代表は 29 日、福島市内で記者会見し、「財物の賠償は生活設計に密接に関わる。 請求開始が遅れたことを深くおわびする。」と述べた。

東電によると、当面、準備段階で把握している不動産などに関する約 2 万件について書類を発送する。 土地などの賠償では、固定資産税評価額と平均新築単価のいずれか高い金額を被災者が選べる。 被災者の要望を受け、建物に関する評価額を当初の案から平均 2 割ほど増やした。 また、増改築した部分も新たに評価対象に加えたという。 賠償に関する問い合わせは東電の窓口 (0120・926・596) へ。 (asahi = 3-29-13)

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福島・富岡町の避難区域再編 放射線量に応じ 3 区域に

【笠井哲也】 東京電力福島第一原発事故で全域が警戒区域になっていた福島県富岡町が 25 日午前 0 時、放射線量に応じて三つの区域に再編される。 区域によっては本来早期の帰還が見込めるが、町は住民の分断が進まないよう、最も線量が高い地域に合わせて今後 4 年間は帰還を始めない考えだ。

警戒区域などの避難指示区域の見直しは対象 11 市町村のうち 8 市町村目。 避難指示区域の人口で見ると、4 月 1 日に再編される浪江町の約 2 万人に次ぎ、富岡町が約 1 万 6 千人で 2 番目に多い。 富岡町の再編では、北東の地域が今後 4 年以上帰れない帰還困難区域に指定され、人口の約 3 割がこれにあたる。 4 年以内の帰還が見通せる居住制限区域が人口の約 6 割、本来早期の帰還が見込まれる避難指示解除準備区域が約 1 割。 (asahi = 3-24-13)

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柏崎刈羽原発で大規模訓練 … 事故後初

東京電力柏崎刈羽原子力発電所で重大な事故が発生した想定での原子力防災訓練が 23 日、柏崎市、刈羽村などを中心に行われた。 福島第一原発事故後初めての大規模な訓練で、原発周辺の住民が広域避難し、放射性物質の付着を検査した。

昨年 8 月に県の地域防災計画の原子力災害対策編が見直されたことを受けたもので、同原発の 5 キロ圏内の住民に迅速に情報を伝達し、スムーズな広域避難を達成することが主な目的。 県と柏崎市、刈羽村をはじめ、県内全市町村の関係者と地元住民ら計約 1,500 人が参加した。

訓練は、震度 6 強の地震が柏崎市、刈羽村で発生し、同原発の外部電源が喪失、放射性物質が外部に漏れる事態を想定。 柏崎市三和町のオフサイトセンターに原子力規制庁や県などの職員、東電の担当者が集まり、現地事故対策連絡会議をたちあげた。

5 キロ圏内の住民約 400 人がバスなどで避難する途中で放射性物質の検査を受け、30 キロ圏外の新発田市、糸魚川市、湯沢町の 3 か所に逃げた。 一時、防災無線が鳴らない不具合が発生したり、住民が一斉に車で避難しようとしたため国道で渋滞が発生したりするなど、課題も浮き彫りとなった。

訓練に参加した柏崎市宮川、無職皆藤聖夫さん (71) は「地震に加えて津波が来た場合に避難できるのか心配だ。 地震で道が壊れたら車で避難できるだろうか。」など不安を口にした。 地元消防団に所属する同市椎谷、会社員下条覚章さん (44) は「長い距離を移動するので子供や高齢者は大変だと思う」と振り返った。

訓練後、泉田知事は「自然災害に対応するだけで相当な労力が必要だが、原子力災害が加わると倍以上の整理と判断が求められる。 訓練を踏まえ、意思決定のあり方を検証したい。」と述べた。 (yomiuri = 3-24-13)

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原発防災、遅れる地元 30 キロ圏対策、半数間に合わず

原発から半径 30 キロ圏の自治体が事故発生時の対策を定める地域防災計画の「原子力災害対策編」。 国が求める策定・修正の期限が 18 日に迫る中、まとめることができたのは対象自治体の半分足らずにとどまる。 安倍首相は「安全が確認された原発は再稼働する」としているが、肝心の地元の備えは整っていない。

福井 県は 5 キロ圏対策を優先

「原発は動かしてほしいが、避難や安全が後回しにされるのは困る。」 唯一稼働中の関西電力大飯原発を含め、全国最多の 13 基の商業用原発が日本海沿岸に立ち並ぶ福井県。 関電高浜原発がある福井県高浜町で、釣り船を出す早川繁さん (61) はこう訴える。

関電は大飯原発(同県おおい町)に続いて高浜原発の再稼働を目指すが、高浜町の原子力災害対策編はできていない。 町は 5 月中の策定を目指しているものの、隣接する京都府など県外の避難先をどこまで含めるかも見通せていない。

背景には、県の対応がある。 原子力規制委員会は昨年 10 月、防災対策の重点区域 (UPZ) の目安を原発の半径 8 - 10 キロから 30 キロに拡大し、今月 18 日までの計画作りを求めた。 だが、県は「規制委の避難基準があいまい」などとして即時避難を優先する対象を「5 キロ圏」とし、30 キロ圏の避難計画を後回しにしている。 このため、各原発から 30 キロ圏にある県内 12 市町すべてで対策編の策定・修正が間に合わなかった。 (asahi = 3-17-13)

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原発事故で避難の福島県民、5.4 万人あと 4 年は帰れず

【笠井哲也】 東京電力福島第一原発事故で設定された福島県の避難指示区域の再編に伴い、少なくとも事故から 6 年、今後 4 年は帰還できない住民が約 5 万 4 千人にのぼることが、各自治体などへの取材でわかった。 事故後に避難指示の対象となった約 8 万 4 千人の 6 割超にあたる。 帰還を見通せる区域の住民の中にも戻らない選択をする人が出てきている。 東日本大震災から 11 日で 2 年となる。

朝日新聞が各自治体からの聞き取りや復興庁の試算を基に集計した。 約 5 万 4 千人のほとんどを、第一原発がある大熊、双葉両町と、浪江、富岡両町が占めている。 集計では、避難指示区域の再編で今後 4 年以上戻れない「帰還困難区域」に該当する住民は 7 市町村(再編未実施も含む)の約 2 万 6 千人。 大熊、双葉両町でこのうちの約 1 万 7 千人を占める見通しだ。 (asahi = 3-10-13)

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福島、放射線量 1 年半で半減 着実に減少と原子力機構

東京電力福島第 1 原発から半径 80 キロ圏内の空間放射線量(地上 1 メートル)が、2011 年 4 月から昨年 11 月までの約 1 年半でほぼ半減したことが 10 日、日本原子力研究開発機構(原子力機構)の分析で分かった。 原子力機構は「当初予測より早いペースで、着実に減少している」としており、将来の線量変化を予測する手法の開発も進めている。

原子力機構は、ヘリコプターを使った文部科学省のモニタリング調査結果などを分析した。 減少のペースが早いのは、雨で放射性物質が流された影響が大きいとみられ、建物やアスファルト道路の多い地域ほど減少傾向が顕著という。 (kyodo = 3-10-13)

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今夏めどに帰還工程表を作成 原発避難区域見直しへ

安倍政権は、東京電力福島第一原発事故で避難している住民の「早期帰還・定住プラン」をまとめた。 国はインフラ復旧や雇用確保などに取り組み、関係自治体は今年夏をめどに工程表をつくる。 新たに福島県の浪江町、富岡町、葛尾村の避難指示区域を見直す方針も決め、浪江町の大半を 5 年以上帰れない「帰還困難区域」に指定する。

プランは 7 日に開かれる復興推進会議と原子力災害対策本部の合同会議で示される。 この場で 3 町村の避難区域の見直しも決める。 政権は今春をめどにすべての避難区域の見直しを終える方針。 プランでは早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」を念頭に、1 - 2 年で住民が帰還し、定住できるようにするための国の取り組みを定めた。 (asahi = 3-6-13)

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