=== 原発への対応と将来の展望 3 (g) ===

原発発電コスト、5 割高の 8.9 円 事故対策考慮し試算

野田政権のエネルギー・環境会議(議長・古川元久国家戦略相)のコスト等検証委員会(委員長・石田勝之内閣府副大臣)は 13 日、電源ごとの発電コストの試算結果をまとめた。 この試算をもとに、政権は来夏をめどに新しいエネルギー基本計画をまとめる。

検証委は今回の試算で、東京電力福島第一原発事故をめぐる費用や立地対策などの補助金、燃料費の上昇など、これまで考慮してこなかった要素を追加。 さらに 2010 年から 10 年ごとに、それぞれの年に稼働を始めた場合を想定した。

原子力は、04 年の資源エネルギー庁の試算で 1 キロワット時あたり 5.9 円だったが、事故を起こした原子炉の廃炉や除染に必要な費用のほか、立地交付金といった政策経費などを上乗せ。 10 年以降は 5 割高の「最低でも 8.9 円」となった。 事故の対策費が 1 兆円増えるごとにコストは約 0.1 円ずつ増える。 (asahi = 12-13-11)

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除染支援、毎時 0.23 マイクロシーベルト 基準を了承

東京電力福島第一原発の事故で汚染された地域のうち、国が除染支援する地域の指定基準について、文部科学省の放射線審議会は 13 日、放射線量が毎時 0.23 マイクロシーベルト(年間 1 ミリシーベルト)以上とする環境省令案を了承した。 環境省は 14 日にも省令を出し、来週にも地域を指定する。

放射性物質汚染対処特措法に基づく省令で、環境省が 11 月に諮問した。 原発から 20 キロ圏の警戒区域や線量が年 20 ミリシーベルト以上の計画的避難区域は国が除染する一方、1 ミリシーベルト以上の地域は市町村が除染する「汚染状況重点調査地域」に指定する。 その際の基準値を 0.23 マイクロシーベルトとする案を妥当とした。

この数値は、自然からの線量 0.04 マイクロシーベルトと原発事故による追加被曝線量 0.19 マイクロシーベルトを足し合わせた。 屋外で 8 時間、木造家屋で 16 時間過ごすと仮定すると、1 年で 1 ミリシーベルトを超える。 (asahi = 12-13-11)

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外部被曝 住民最高 14.5 ミリ 福島県が推計値

東京電力福島第一原発の事故による福島県民の外部被曝線量について、県は 13 日、1,727 人のうち、原発作業員ら放射線業務に従事していない一般住民で、最高の被曝線量は 14.5 ミリシーベルトと発表した。 全体で最高の 37 ミリシーベルトは、行動パターンから原発作業員とみられる。 また、18 の避難行動別の被曝線量の試算結果も公表した。

外部被曝線量の推計は、全県民約 200 万人を対象に今後 30 年以上、健康への影響を見守る際の基礎データとなる。 事故後 4 カ月間の合計で、自然放射線量を引いた。 対象は、比較的、空間線量が高く、健康調査で「先行実施地域」の飯舘村と浪江町、川俣町(山木屋地区)の 1,727 人。 このうち 138 人が、原発作業員や放射線技師といった「放射線業務」に従事経験があると回答した。

これらの 138 人を除いた 1,589 人の外部被曝線量は、1 ミリシーベルト未満が一番多く 63%、1 ミリシーベルトが 23%、2 ミリシーベルトが 8% など 5 ミリシーベルト未満が 97% を占めた。 5 - 10 ミリシーベルトは 38 人、10 ミリシーベルト以上は 4 人だった。 年齢別の線量に差はみられなかった。 結果は年内に個別に郵送で通知される。

18 歳以下の約 36 万人が対象の甲状腺の超音波(エコー)検査は、これまでに約 1 万 1,500 人が受けたと報告された。 生涯にわたり、甲状腺がんの有無を調べる。 県民健康管理調査検討委員会座長の山下俊一福島県立医科大副学長は「この値からは健康影響はないと考えられる。 ただし、放射性ヨウ素の影響はわからず、甲状腺検査など県民の健康を長期間、見守っていくことが大切。」と話した。

県は、外部被曝線量の推計結果がまだ出ていない県民が、線量の大まかな目安として使えるよう、原発周辺から県内外に避難する 18 通りのパターンを想定した外部被曝線量の試算も公表した。 滞在の場所や期間で 0.18 - 19 ミリシーベルトと開きが出ている。 県のホームページで公開する。 (林義則、大岩ゆり、asahi = 12-13-11)

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ヨウ素剤の服用基準を厳格化 50 ミリシーベルトに

放射性ヨウ素による甲状腺被曝(ひばく)を防ぐ安定ヨウ素剤の服用基準を、これまでの甲状腺の局所的な被曝線量 100 ミリシーベルトから 50 ミリシーベルトへとより厳しくすることになった。 原子力安全委員会の防災専門部会被ばく医療分科会で 7 日、意見がまとまった。 国の原子力防災指針では現在、放射性ヨウ素の影響を最も受けやすい 1 歳児の甲状腺の被曝線量が 100 ミリシーベルトになると予測される場合に、原子力安全委員会がヨウ素剤の服用を助言するとしている。

しかし、世界保健機関 (WHO) は 1999 年から小児や妊婦、授乳中の女性の服用基準を 10 ミリシーベルトにした。 国際原子力機関 (IAEA) も今年 6 月に投与基準を 100 ミリシーベルトから 50 ミリシーベルトに下げた。 背景には、チェルノブイリ原発事故で約 50 ミリシーベルトの被曝でも甲状腺がんが増えたとの疫学調査などがある。 (大岩ゆり、asahi = 12-7-11)

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50 キロ圏全住民に賠償案 原賠紛争審 市町村ごと指定

政府の原子力損害賠償紛争審査会(会長 = 能見善久学習院大教授)は 5 日、東京電力の福島第一原発から半径 50 キロ圏にある自治体の住民まで、損害賠償の対象を広げる方針を固めた。 検討していた自主避難者への賠償に加え、とどまった人もすべて対象とする。 6 日にも正式に決め、賠償の目安となる指針に盛り込む。

対象地域は福島県内の市町村ごとに指定する。 原発から半径 20 キロ圏内の警戒区域や、計画的避難区域、緊急時避難準備区域(9 月末で解除)の周辺にあり、半径 50 キロの円が一部でもかかる市町村は、原則として自治体の全域が対象となる。

具体的には、相馬市、福島市、伊達市、二本松市、本宮市、郡山市、いわき市、三春町、小野町などが対象となる見通し。 対象者は最大で 100 万人規模になるとみられている。 また、50 キロ圏外でも局地的に放射線量が高い自治体があるため、賠償範囲はさらに広がる可能性がある。

審査会は、対象地域を決めるため、人口に占める自主避難者の割合、甲状腺被曝を抑えるために服用する安定ヨウ素剤の配備状況などを調べてきた。 その結果、原発からおおむね 50 キロの距離で線引きする案が有力になった。 賠償は、生活費の増加分などの項目別に支払うのでなく、慰謝料のような形で一括して支払う方向で固まった。 金額については、6 日の会合で議論する。

賠償する期間は、被曝による影響が大きいとされる子どもや妊婦を除いて、原発事故の発生当初とする。 子どもや妊婦は賠償する期間を長くし、金額を増やす方針。 6 日の会合で示す原案には、当面の賠償期間について、今年末まで、来年 3 月までなど複数の案を併記し、さらに詰める。

政府指示による避難者への賠償額とのバランスなどを考え、自主避難者やとどまった人に対する賠償額の上限は、子どもや妊婦で 50 万円程度、その他の人で 10 万円程度との見方が強まっている。 ただ、政府から避難指示を受けてすでに賠償対象となっている人が、福島市に避難したようなケースでは、重複して賠償すべきかどうか、意見が分かれている。 6 日に議論がまとまらず、今月下旬に結論が先送りされる可能性もある。 (asahi = 12-6-11)

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除染で出た汚染土、海へ投棄案 研究者が提唱

東京電力福島第一原発の事故で放射能に汚染された土を海に捨てる案が、一部の研究者の間で浮上している。 除染のために削り取った土の保管・処分場所を確保することが難しいからだ。 世論や国際社会の反発は必至だが、現実的な対応策の一つとして政府への提言を目指す。

除染は、被曝(ひばく)線量が年 1 ミリシーベルト以上の地域は国の責任で行う。 土壌を削り取り、各市町村の仮置き場に保管した後、福島県内につくる中間貯蔵施設に運ぶ方針だ。 県内だけで 1,500 万 - 3,100 万立方メートルの汚染土が出る見込み。 最終処分の方法が決まらなければ恒久的に置かれることになりかねず、用地確保の見通しは立っていない。

こうした現状を踏まえ、文部科学省の土壌汚染マップ作成に携わった大阪大核物理研究センターの谷畑勇夫教授、中井浩二・元東京理科大教授らのグループが 3 日、大阪大で開かれた研究会で、深海への処分を提案した。 海水で腐食せず高い水圧に耐えられる容器に汚染土を入れ、日本近海の水深 2 千メートル以下に沈める方法が最適とした。 (asahi = 12-5-11)

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給食に放射能基準 1 キロ 40 ベクレル 東日本 17 都県

文部科学省は 30 日、小中学校の給食に含まれる放射性物質を「1 キログラムあたり 40 ベクレル以下」とする安全の目安を定め、東日本の 17 都県の教育委員会に通知した。 給食について文科省が目安を示すのは初めて。  国費の補助で測定機器を購入して検査結果を公表することを求めており、事実上の基準となる。

食品の放射性セシウムによる内部被曝の許容線量については、厚生労働省が現行の年間 5 ミリシーベルトから 1 ミリシーベルトへ 5 倍厳しくする方向で検討している。 文科省が今回給食の目安を決めたのは、この基準見直しを見越した措置だ。

現行の暫定基準は、飲料水や牛乳・乳製品で 1 キロあたり 200 ベクレル、野菜や肉、魚、穀類は 500 ベクレルだが、文科省は「安全サイドに立ち、厳しい方(200 ベクレル)の 5 分の 1 の数値を採用した」と説明している。 調理前の食材を品目ごとに検査することを想定している。 (asahi = 12-1-11)

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もんじゅ、廃炉含め検討 細野原発相「一つの曲がり角」

高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)をめぐり、細野豪志原発相は 26 日、廃炉も含めて検討していく意向を示した。 自ら副議長を務め、来年夏までにエネルギー政策を見直す「エネルギー・環境会議(議長・古川元久国家戦略相)」の議論に反映させる考え。 もんじゅ視察後、福井県おおい町で記者団に語った。

野田政権は、エネルギー政策見直しの中で高速増殖炉など核燃料サイクルのあり方も検討。 内閣府の原子力委員会では、原子力政策の基本方針となる「原子力政策大綱」の改定作業を進めている。 細野氏がもんじゅ廃炉の可能性に言及したことで、こうした議論の方向性に影響を与えそうだ。

細野氏は、もんじゅについて「一つの曲がり角に来ている」と指摘。 「かなりの年月が経っていて設備も若干古い」、「様々なトラブルがあった」ことを理由に挙げ、廃炉について「そういったものも含めて検討していく」と述べた。 そのうえで「何らかの判断を、来年はしなければならない」と強調した。 (asahi = 11-26-11)

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エネルギー特会改善の工程表 経産相、仕分け実現へ方針

枝野幸男経済産業相は 25 日の閣議後会見で、政府の提言型政策仕分けで指摘されたエネルギー特別会計の見直しなどについて、いつまでに改善に取り組むかを示す工程表を作る考えを明らかにした。

仕分けでは、エネルギー特別会計の存廃や、原子力発電所のある自治体に渡される電源立地地域対策交付金の使い道などについて、見直しを進めるよう提言が出た。 枝野氏は会見で「法改正が不要で即座に対応可能なものもある一方、特会の見直しなどは長期に整理が必要」と説明。 課題を短期、中期、長期に分けて工程表にまとめたいとした。

民主党政権が 2009 年から始めた事業仕分けは、実現できていない部分もあり、批判が出ている。 このため今回の仕分けは、提言の実効性をどう高めるかが焦点。 枝野氏は仕分けに当初からかかわり、旗振り役の一人になってきた。 (asahi = 11-25-11)

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東電、賠償請求書の記入項目半減 批判うけ見直し

東京電力は 24 日、福島第一原発事故で避難した住民向けの損害賠償の請求書について、記入項目を半分にして使いやすくしたと発表した。 「書類が厚くて、わかりづらい」という批判にこたえた。 12 月 2 日に被害者に発送する。 9 月に 3 - 8 月分の賠償請求の受けつけを始めたときの請求書類は約 60 ページあったが、これを半分の 34 ページにした。 記入欄も 2,115 項目から 1,005 項目に減らし、請求内容に応じて使う書類を色分けする工夫をした。

被害世帯 6 万のうち、3 - 8 月分を請求したのは 2 万世帯にとどまる。 請求していない世帯は、新しい書類を使って 3 - 11 月分を一括して請求できる。 また、避難住民の精神的損害に対する賠償額も見直した。 「8 月末まで 1 人当たり月 10 万 - 12 万円、9 月以降は 5 万円」としていたが、来年 2 月末までは月 10 万 - 12 万円とする。

避難区域に事業所がある企業や個人事業主には、賠償額を概算し、早く支払う方式をとる。 3 - 8 月分として支払った賠償額をもとに 9 - 11 月の 3 カ月分の損害額を推定。 その半分をまず支払い、12 月以降に正式な賠償額が確定したら、精算する。 自治体に対して、原発事故で汚染された下水汚泥の処理費用を賠償する。 来年 2 月までに具体的な基準を決める。 (asahi = 11-24-11)

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原発の発電コスト、従来の 4 割高 政府データ使い試算

政府の「エネルギー・環境会議」のコスト等検証委員会の公開データで原発の発電コストを試算したところ、発電量 1 キロワット時当たり約 7.7 円となり、2004 年の政府試算より約 4 割高となった。 検証委は 12 月中に火力など他の発電コストの試算も終え、来年夏をめどに政府のエネルギー基本方針を見直す。

朝日新聞は検証委の委員を含む複数の専門家に試算を依頼した。 試算に使ったデータは検証委が公開した原発建設費や人件費、燃料費など。 経済産業省資源エネルギー庁が 04 年に行った試算の条件とほぼそろえ、原発出力は 120 万キロワット、稼働率が 80%、稼働年数は 40 年などと想定。 原発から出る使用済み核燃料は中間貯蔵後に再処理するとした。

計算方法は国際エネルギー機関 (IEA) でも一般的に採用されている方法を使い、資本費と運転維持費、燃料費の合計を発電電力量で割ってコストを計算。 資源エネ庁が 04 年に試算した原発コストは約 5.3 円だったが、今回の試算では物価上昇による建設費の増加などもあり約 6.5 円になった。

さらに東京電力福島第一原発の事故を踏まえ、放射能が漏れ出す過酷事故が起きた場合の費用を算出した「事故リスクコスト」として約 1.2 円を足すと、約 7.7 円。 廃炉費用を含む事故リスクコストは、内閣府原子力委員会が 10 月下旬に公表した試算結果を援用。 福島第一原発の 1 - 3 号機の事故を「3 回」と数え、事故の発生確率を「500 年に 1 回」、除染などにかかる損害費用を約 5 兆円とした。

04 年の試算では原発コスト 5.3 円に対し、火力発電の石炭火力が 5.7 円(1 キロワット時当たり)、液化天然ガス火力が 6.2 円(同)、石油火力が 10.7 円(同)。 火力発電は燃料費の上昇や温室効果ガス対策費などコスト増になる要素も多い。 一方で、原発稼働率の想定が 80% よりも落ちるなど、条件によってはコストがさらに上がり、原発の優位性が揺らぐ可能性もある。 (関根慎一、小堀龍之、asahi = 11-23-11)

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除染の味方「マツバイ」 セシウムをスピード吸収

用水路や池などに生えている水草「マツバイ」が、土壌中の放射性セシウムを効率よく吸収することを愛媛大大学院の榊原正幸教授 = 環境岩石学 = らが明らかにした。 マツバイは簡単に入手でき、薬品などを使わないため安全。 福島第一原発事故の放射能で汚染された水田の除染などの有力な手段の一つになりそうだ。

今回の研究は、日本地質学会の東日本大震災復興支援プロジェクトの一つ。 マツバイはカヤツリグサ科の多年草で、カドミウムや亜鉛など重金属類をよく吸収する性質がある。 福島県郡山市の県農業総合センターの協力で、マツバイが放射性セシウムをどの程度吸収するのかを確かめた。 (asahi = 11-23-11)

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放射能検査、乳児食は別基準で 一般食品より厳しく

食品に含まれる放射性物質の新たな基準の分類について、厚生労働省は、粉ミルクなどの「乳児用食品」を新設する方針を固めた。 野菜類や穀類、肉類などは「一般食品」として一本化し、「牛乳」、「飲料水」と合わせて計 4 分類とする。 新基準では、放射性物質の影響を受けやすいとされる子どもに、より配慮する。

新しい食品分類案では、粉ミルクや離乳食など乳児しか口にしない「乳児用食品」は、別の基準値を設ける。 「牛乳」についても、子どもは大人よりも摂取量が多いため、配慮が必要と判断し、別分類として残す。 「飲料水」を含めた別枠の 3 分類は、一般の食品より基準値が厳しくなる見通しだ。

現在の暫定基準にある「野菜類」、「穀類」、「肉・卵・魚・その他」は「一般食品」として一本化する。 分類は、主食のコメを別枠にするなど、細かく分ける考え方もあった。 だが、厚労省は、一本化した方が、国民にわかりやすいほか、日本人は食品の摂取に偏りが少ないため、安全性に問題はないと判断した。

茶葉や干しシイタケなどの乾燥食品は、放射性物質の濃度が高まるため、別の基準を求める声が出ていたが、飲食する状態の検査で対応することにした。 いずれの分類でも、放射性セシウムを基本とする。

新しい食品分類案は、24 日に開かれる厚労省の薬事・食品衛生審議会に提案される。 4 分類で決まれば、食品によるセシウムの許容被曝線量をどう割り振るかが議論される。 厚労省は、許容線量を年間 5 ミリシーベルトから 1 ミリシーベルトに引き下げることにした。 年内にも分類ごとの基準値案がまとまる予定だ。

新しい基準値作りでは、まず 1 ミリシーベルトを食品の分類ごとに割り振る。 その上で、年代ごとにとる食べ物の量や放射性物質による影響度の違いを考慮して、それぞれ許容される値を計算。 その中で、最も厳しい値を全体の基準値として採用する。 年代の区分は「1 歳未満」、「1 - 6 歳」、「7 - 12 歳」、「13 - 18 歳」、「19 歳以上」の五つとし、18 歳以下の子どもについて細かく評価する。

暫定基準も同じ方法で算出しているが、年代区分が「成人」、「幼児」、「乳児」しかなかった。 (沢伸也、asahi = 11-20-11)

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下水汚泥の焼却灰、処分進まず セシウム検出、住民反発

東日本の下水処理施設で下水の処理過程で出る汚泥などから放射性セシウムが検出された問題で、汚泥や汚泥を燃やした焼却灰の処分が進まない。 埋め立て処分できる数値の基準を国が示したものの、搬出しようにも住民の反対にあったりして、多くが施設内に保管されたままだ。

東京・お台場から 5 キロ離れた海上にある中央防波堤外側処分場。ダンプカーが焼却灰を投じていく。 埋め立て場所の広さは東京ドームの 4 倍超。 10 月末、東京 23 区分に加え多摩地区の焼却灰も受け入れ始めた。 多摩地区 10 カ所の下水処理施設は施設内で焼却灰を保管していたが、パンク寸前になった。 昭島、八王子市長らが 9 - 10 月、処分場に隣接する江東区と大田区を訪れ、「やむをえない」とようやく了承を得た。

東京都によると焼却灰の放射性セシウムの濃度は次第に下がり、現在では搬入の段階で、埋め立てが認められる 1 キロあたり 8 千ベクレル以下になっているという。 途中で水やセメントで薄めており、基準を超えることがあっても問題ないという。 (asahi = 11-20-11)

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自衛隊、原発 20 キロ圏内除染へ 業者の拠点設営

東京電力福島第一原発から半径 20 キロ圏内の警戒区域内で、自衛隊が除染作業に乗り出す。 放射線量が高く、除染作業がほとんど手つかずだった警戒区域内で実施し、民間業者が活動するための拠点を設ける狙い。 一川保夫防衛相が近く関係閣僚会合で表明する。

自衛隊が本格的な除染作業を実施するのは初めて。 福島県内の除染は、環境省と地元自治体が取り組んでいる。 防衛省は、放射能や化学兵器に対応できる陸上自衛隊の化学防護隊などを念頭に、作業チームを編成する方針だ。

野田政権は除染を本格的に実施するため、今月 11 日に「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針」を閣議決定した。 その際、野田佳彦首相は「政府一丸となって強力な体制をつくらないといけない」と述べ、環境省だけでなく各省にも人員派遣を指示。 首相官邸で開く除染に関する関係閣僚会合で一川氏が協力する考えを表明し、環境省と具体計画づくりに着手する。 (asahi = 11-17-11)

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原発テロ対策強化を決定 非常用電源も防護対象に

野田政権は 14 日、「国際組織犯罪・国際テロ対策推進本部(本部長・藤村修官房長官)」で、原発へのテロ対策として新たに非常用電源の防護を強化する方針を決めた。 これまでは原子炉の建屋に対する防護策が中心だったが、津波で電源を失って炉心溶融に至った東京電力福島第一原発事故を踏まえた。

新たにケーブルや電源盤、電源車などの非常用設備をテロからの防護対象に加え、障壁を設けたうえで警察官、警備員を増やすなどの対策をするよう電力会社に求める。 またサイバーテロ対策として、コンピューターシステムを外部から遮断。 テロリストが電力会社従業員と内通することを防ぐ対策も求める。 (asahi = 11-14-11)

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原発コスト試算まとめる 原子力委

内閣府の原子力委員会は 10 日、原子力発電所の事故リスクと核燃料サイクルのコスト試算をまとめた。 過酷事故に備えて上乗せが必要なコストは発電量 1 キロワット時あたり最大 1.6 円とした。 核燃料サイクルでは、使用済み燃料をすべて再処理する場合のコストは約 2 円、そのまま地中に埋める「直接処分」では約 1 円だった。 原子力委はこの日、小委員会が 8 日にまとめた試算の中間報告を「適切」と認めた。

事故コストは複数のケースを試算。 稼働率は 60、70、80% を想定、事故の発生確率は、(1) 国際原子力機関 (IAEA) の安全目標「10 万年に 1 回」、(2) 世界で過去に起きた事故の頻度を当てはめた「1 万年に 3.5 回(国内の原発での頻度で考えると 57 年に 1 回に相当)」、(3) 福島第一原発 1 - 3 号機の事故で国内の原発の運転実績を割った「500 年に 1 回(国内の原発での頻度を考えると 10 年に 1 回に相当)」 - - を想定した。

その結果、1 キロワット時あたり 0.006 - 1.6 円になった。 事故の損害額は 4 兆 9,936 億円とした。 さらに 1 兆円増えるごとに、コストは 0.001 - 0.32 円増えるという。 (asahi = 11-10-11)

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低線量被曝の健康への影響検討 内閣府に有識者会議

野田政権は 9 日、低い放射線量を長い期間浴びた場合の健康への影響を調べるため、内閣府に有識者会議を設け、初会合を開いた。 年内に報告書をまとめ、細野豪志原発相に提言する。

会議は「低線量被曝のリスク管理に関するワーキンググループ(共同主査 = 前川和彦・東大名誉教授、長瀧重信・長崎大名誉教授)」。 この日の会合で、細野氏は「子供や妊婦にどういった配慮が必要なのか。 政府として判断しなければいけないので見解を示してほしい。」と要請した。

低い放射線量を長期間浴びた場合の発がんの危険性は、生活習慣や遺伝といったほかの要因も考える必要があり、専門家の間でも評価が定まっていない。 このため、政権が避難区域を設定する目安にしている年間 20 ミリシーベルト程度の被曝線量の影響などを中心に議論する。 (asahi = 11-9-11)

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原発 20 キロ圏に帰還困難域 政権、低線量地居住を検討

野田政権は東京電力福島第一原発から半径 20 キロ圏内の警戒区域内で、放射線量が高い地域を「長期帰還困難地域」とする方向で調整に入った。 放射線量が低い地域に生活拠点をつくって、将来の帰還に備える「2 段階帰還」への支援も検討する。 近く警戒区域内で線量を測定し、年内をめどにしている原発の冷温停止状態の達成にあわせて該当地域を公表する考えだ。

長期帰還困難地域では立ち入り禁止の措置が長く続く。 対象住民には国や自治体による土地の借り上げや買い上げ、復興公営住宅の提供などを検討する。 10 月中旬の文部科学省の調査によると、警戒区域内で避難の目安とされる年間被曝量 20 ミリシーベルト以上だったのは、50 地点中 37 カ所だった。 20 ミリシーベルト未満に自然に下がるまでに 10 年以上かかる 100 ミリシーベルト以上の地点も 15 カ所にのぼった。 (asahi = 11-9-11)

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「故郷に戻らない」 4 人に 1 人 原発事故避難 8 町村調査

東京電力福島第一原発事故で住民が避難している福島県双葉郡 8 町村の全世帯を対象に実施されたアンケートで、回答者の 4 人に 1 人が「元の居住地に戻る気はない」と答えた。 30 代前半までの回答では 5 割を超え、地域の先細りが心配される。

福島大学の災害復興研究所が町村の協力を得て 8 月から今月まで実施した。 避難先にも送られる広報誌に同封して 2 万 8,184 世帯に調査票を送り、48% にあたる 1 万 3,463 世帯から回答を得た。

元の居住地がどのような状態になれば戻るか、との問いには「他の人々がある程度戻ったら」が 27.8%、「除染が実施されれば」が 22.7%。 一方「戻る気はない」が 26.9% で、特に 34 歳までの回答者では 52.3% を占めた。 原発が立地する大熊町、双葉町と隣の富岡町で「戻る気はない」が 3 割を超えた。 (asahi = 11-9-11)

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店頭の食品も放射線量検査 東京都、8 日から

東京都はスーパーなどで売られている食品の放射性物質の検査を、8 日から始めると発表した。 今年度中に約 500 品目を調べる。 これまでは生産地での検査を基本としてきたが、消費者の要望が多く寄せられたことから、流通している食品も検査することにした。 対象は、東日本産の野菜や魚などの生鮮品のほか、国産のジュースやジャムなどの加工品。 子どもがよく口にする牛乳やヨーグルトも対象にする。

都内のスーパーなどで購入して調べる。 1 キロあたり 50 ベクレルを超えた場合は精密な機器で再検査し、それぞれ国が設けている基準値を超えていないか確認する。 結果は 9 日から、都のホームページで公表する予定。 基準値以内ならば食品名と産地のみ公表し、基準を超えた場合は商品名も明らかにして回収する。 (asahi = 11-8-11)

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電気料金の原価「審査不十分」 経産省の有識者会議

総括原価方式と呼ばれる電気料金の決め方の見直しを行う経済産業省の「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議(座長・安念潤司中央大教授)」が 1 日、初会合を開いた。 枝野幸男経産相は「現制度のもとで早急にできる対策を検討してほしい」と述べた。

7 人の委員のうち2 2 は、政府の第三者機関「東京電力に関する経営・財務調査委員会」のメンバー。 調査委事務局次長を務めた大西正一郎弁護士が、東電を例に、総括原価方式の実態と問題点を説明した。 総括原価方式では、電力会社が料金の値上げを申請する際、認可をするために経産相が原価の中身を審査する。 ただ、値下げ時は審査のない届け出だけで、10 年以上にわたり原価が十分に調べられてこなかった。

東電が届け出ていた修繕費など一部の原価は、料金計算の前提になる見積額が、実際に使った金額を常に上回り続けていた。 この点について、委員の間では「恒常的に過大に見積もられていることは問題」などの批判が出た一方、「経済環境の変化で変動はありうる」と理解する声も出た。 有識者会議は、この方式の運用の改善点を来年初めまでにまとめる。 経産相はこの会議とは別に、電力事業全体に関する改革を検討する場も 11 月中に設ける方針だ。 (中川透、asahi = 11-1-11)

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原発事故の精神的被害、賠償基準見直し検討 東電社長

東京電力の西沢俊夫社長は 31 日、福島の原発事故で避難した住民の精神的損害の賠償基準について「国ともよく相談しながら考えていきたい」と述べ、見直しを検討する考えを示した。 現在の基準では、9 月以降の賠償額は半額に減らされるため、反発を招いていた。 東電本社を訪れた福島県議会の代表らに語った。

東電は現在、事故で避難した約 6 万世帯の住民たちの精神的な損害について、8 月末までは月額 1 人当たり 10 万 - 12 万円、9 月以降の半年間は 5 万円、という基準を設けている。 国の原子力賠償紛争審査会の中間指針に沿った内容だが、住民からは「いつ帰宅できるかわからない状況では、避難が長引くほど精神的な苦痛は強まる」と批判が出ていた。 (asahi = 10-31-11)

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汚染土壌、福島で中間貯蔵最長 30 年 原発相が工程表

東京電力福島第一原発事故による除染問題で、細野豪志環境相は 29 日、福島県内の汚染土壌を収容する中間貯蔵施設を 2015 年 1 月から県内で稼働させるロードマップ(工程表)を明らかにした。 中間貯蔵施設への搬入前の各市町村の仮置き場の保管期間は 3 年ほどとし、中間貯蔵の開始後 30 年以内に県外で最終処分すると明示した。 同日、細野氏から協力要請を受けた佐藤雄平知事は、態度を保留した。

除染作業では、地表からはぎ取った汚染土などを地域ごとの仮置き場に一時保管し中間貯蔵施設に移す。 しかし「仮置きが何年も続くのは不安」などの声が地元で強く、中間貯蔵の道筋を示すことが国に求められていた。 工程表では中間貯蔵施設の場所選びを 12 年度中に終え、14 年度内に着工する。 並行して完成した区画から 15 年 1 月以降、順次仮置き場の土壌などを運び入れるとしている。

この日、細野氏は佐藤知事との会談で、長期間の中間貯蔵をお願いすることを「県民に大変申し訳ない」とし、中間貯蔵施設の供用を最大限早めたことを説明し、協力を求めた。 これに対し佐藤知事は「精査したい」と述べるにとどめた。 (asahi = 10-29-11)

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東電「賠償支払い、1 兆円必要」 政府に計画書提出へ

東京電力は 28 日午前、政府と電力各社が出資する原子力損害賠償支援機構に、福島の原発事故の賠償支払いに 1 兆円が必要として、資金援助を要請した。 これを受けて機構は 28 日午後、東電とともに政府に「緊急特別事業計画」を提出し、資金を政府から出すように求める。 機構を通じた政府支援は、原子力損害賠償法による保険支払いの 1,200 億円を除いて約 9 千億円になる見通しだ。

賠償の必要額は、年度内分を見込んだ。東電は中間期が終わる 9 月末の時点で 7 千億円を見込んでいたが、10 月以降の賠償支払いの状況をみて、上積みした。

政府が東電に資金を出すためには、機構担当の枝野幸男経済産業相が特別事業計画を認定することが必要になる。 東電は政府に出してもらった資金を賠償支払いに使えるが、毎年の利益から返していく必要がある。 計画には、東電が年度内に 6 千億円の合理化策を進めることも盛り込み、政府に支援を認めてもらいたい考えだ。 (asahi = 10-28-11)

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食の新基準「セシウム上限 1 ミリシーベルト」 4 月にも

小宮山洋子厚生労働相は 28 日の閣議後会見で、食品に含まれる放射性物質の新基準をつくるにあたり、算定根拠となる年間の被曝許容量について「放射性セシウムは年間 1 ミリシーベルトを基本に検討する」と発表した。 現在のセシウムの暫定基準は年間 5 ミリシーベルトで、5 倍の厳しさになる。 新基準の施行は来年 4 月を目指す意向も示した。

理由として、(1) 食品の国際規格を決めるコーデックス委員会が年間 1 ミリシーベルトを超えないよう食品の基準を設定している、(2) 食品の放射性物質の検査数値が低下傾向である - - などを挙げた。 年明けまでに食品ごとの基準値案をまとめ、文部科学省の審議会などに意見を聞いた上で、来年 4 月に施行する方針だ。 ただし、施行前に流通している食品にについては、現在の暫定基準を適用する経過措置をとるとしている。 (asahi = 10-28-11)

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食品からの被曝「生涯 100 ミリシーベルト」安全委答申

食品からの被曝による影響を検討していた食品安全委員会は 27 日、「健康影響が見いだされるのは、生涯の累積でおおよそ 100 ミリシーベルト以上」とする評価をまとめ、小宮山洋子厚生労働相に答申した。 これを受け、緊急対応として使われてきた現在の暫定基準の見直しが厚生労働省で本格的にスタートする。

「生涯累積 100 ミリシーベルト(原発由来ではない自然放射線などを除く)」は、新たな正式基準をつくる根拠になる。 これまで同委員会は、食品だけでなく環境からの外部被曝も含めて 100 ミリシーベルトだと解説してきた。

しかし同日の記者会見で、これまでの説明を訂正。「外部被曝がほとんどなく、汚染された食品からだけ被曝する状態」を前提条件に置いて考えた値であると解説。 「内部と外部の合計ではない」と述べ、食品による内部被曝だけで 100 ミリシーベルトという意味だと強調した。 しかし福島県など外部の放射線量が高い地域は現実にはある。 外部被曝分をどう考えるのかという問題は、厚労省などに判断を委ねる意向を示した。

実際の食品からの被曝量について厚労省は、東京電力福島第一原発事故による放射性物質を含んだ食品を 1 年間摂取した場合の被曝線量を全年齢平均で約 0.1 ミリシーベルトと推計している。 6 月末まで 23 都道府県から集計した食品の放射性物質データと、国民が一般的に 1 日平均で食べる食品の種類・量などから導き出した。 このままの状態で 0 歳児が 100 歳まで生きたとしても、生涯 10 ミリシーベルト程度という計算になる。

従来の暫定基準は、原発事故後の 3 月 17 日に、厚労省が決めた。 食品からの被曝を放射性物質全体で年間 17 ミリシーベルトを超えないようにするという大枠から、各食品の平均摂取量などをふまえ、1 キロあたりの基準を算定。 放射性セシウムなら飲料水で 1 キロあたり 200 ベクレル、野菜や肉類で 500 ベクレルとなった。 小宮山厚労相は新基準について「さらに安全性を確保する必要があり、(暫定基準よりも)厳しくなる」との見通しを示す。

ただ新基準づくりの作業は簡単ではない。 生涯累積なのでその人の年齢によっても差が出る。 子どもは放射線への感受性が大人よりも高い可能性がある、と答申は指摘した。 厚労省は 31 日、食品ごとの新たな基準値をつくる薬事・食品衛生審議会を開き、食品安全委の答申を報告する。 (小林未来、asahi = 10-27-11)

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核燃料再処理コスト、直接処分の 2 倍 原子力委が試算

国の原子力委員会は 25 日、原発のすべての使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し再利用する現行の「再処理」のコストは、再利用せずに地中に埋める「直接処分」のコストの 2 倍になるという試算を発表した。 7 月に原発の依存度を減らす方針を示した政府のエネルギー・環境会議に報告する。 同会議は来夏をめどに政権のエネルギー戦略の基本方針「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめる際の判断材料にする。

東京電力福島第一原発事故が起きるまで、国内の原発 54 基からは毎年約 1 千トンの使用済み核燃料が出ていた。 これを、(1) 全て再処理する、(2) 半分を再処理し、半分は約 50 年間、施設で保管する(中間貯蔵)、(3) 発電から 54 年後にすべて直接処分、という三つのシナリオについて試算した。

金利 3% の場合、(1) は再処理などの費用がかかり、1 キロワット時あたり 1.98 円になった。 (2) は一時的に燃料を保管しておく費用がかかり 1.39 円。 (3) は使用済み核燃料を地中に坑道を掘って埋める費用がかかり、1.00 - 1.02 円になった。 (asahi = 10-25-11)

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観光賠償の仮払い基準見直し 「9 月以降ゼロ」文科相

東京電力福島第一原発事故による福島県などの観光業への損害賠償について、中川正春文部科学相は 21 日、減収分から 20% を控除するとしていた仮払いの算定基準を見直したことを明らかにした。 8 月までの減収分では控除割合を 10% に引き下げ、9 月以降は控除をしないという。

これまでの算定基準は、阪神大震災の時のデータを参考にし、観光業の減収要因には原発事故以外の地震や津波の影響もあるとして、減収分から一律 20% を差し引いていた。 今回は、観光庁がまとめた新しいデータに基づき、基準を算定し直したという。

観光業の損害賠償をめぐっては、「20% 控除」とした東電の賠償基準が観光業界から強い反発を受け、東電が見直しを進めている。 国が東電にかわって請求額の半額を迅速に支払う仮払いの基準見直しは、東電の本賠償の基準にも影響を与えると見られる。 (asahi = 10-21-11)

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