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中国、民主化への道? (121)

現在の中国社会で、いつも感じる「何かがおかしい」理由の最大の根源は「基本的人権の定義の曖昧さ」からくるのでしょう。 実に奇妙な条件を付けてみたり、その条件も状況に応じて変わるのであれば、実際には、もう「基本的人権」と言えるものではありません。 「これ(基本的人権)だけは、しっかりと守られている」国であれば、今のように不信感を抱く人々がいるはずもありません。

「中国のカショギ」を救うため国際社会がすべきこと

<大規模弾圧が続く新疆ウイグル自治区で、中国出身の著名フォトジャーナリストが拘束された>

中国出身の報道写真家、盧広(ルー・コアン)は 11 月初め、米ニューヨークの自宅から中国西部の新疆ウイグル自治区に向かった。 古都カシュガルで、アマチュア写真家を対象とする講習会に出るためだった。 盧は、炭鉱労働者や産業公害が原因で癌を患う人々など、中国の社会的弱者を被写体に選ぶことが多い。 逆境にある庶民の暮らしを克明に映し出し、世界報道写真コンテストでも 3 度の受賞歴がある。

そんな著名フォトジャーナリストがウイグル入りしたことで、中国政府の警戒の網にかかったのだろうか。 盧が同行者らと共に、中国版 KGB とも称される国家安全部に身柄を拘束されたことが、12 月 10 日に確認された。 具体的な被疑事実は明らかになっていないが、これまでの盧の活動からして中国政府に危険因子と見なされていても不思議ではない。

1961 年生まれの盧は、浙江省の絹紡績工場で働いていた若い頃にカメラを学び独立した。 結婚式や記念写真の撮影で稼いだ資金で調査報道の作品に取り組んだ。 中国の一般的な写真家は検閲に引っ掛からない無難な出版物のために仕事をするものだが、彼は撮りたいものを撮るために報道写真家として一本立ちした珍しい存在だ。

彼を一躍有名にしたのは 02 年。エイズ禍に襲われた河南省で撮影した写真を公表し、中国政府がひた隠しにしていた惨禍を白日の下にさらしたときだ。 エイズで亡くなった両親の墓前で香をたく 13 歳の少年、夫を抱いて看取る妻、幼い子供 7 人が 1 列に寝かされる児童養護施設 - -。 国内で調査報道に携わるジャーナリストたちがこの問題を最初に伝え、盧の写真も国内で公表されて衝撃を呼んだ。

エイズ禍を暴かれた恨み

盧はこの年の世界報道写真コンテストにこれらの作品を送るも、審査員が写真を手にすることはなかった。 エイズ被害の惨状を如実に伝える写真を明るみに出されたくない中国当局が手続きを妨げたからだ。 だが翌年、盧は同じ作品群で再応募し「現代社会の問題」部門で大賞に輝き、最も影響力のある中国人報道写真家として定評を得た。

中国でエイズが流行した原因は、政府が血液事業で貧困者に売血を促したことにある。 数え切れないほどの犠牲者を出した当局の面目丸つぶれのスキャンダルだったが、関係者の多くは今も共産党内で出世を続ける。 その筆頭は現職の首相である李克強(リー・コーチアン)で、李はエイズ危機が広がった 98 - 04 年、党の幹部として河南省に赴任し省長も務めた。 そして同じ頃、副省長としてエイズ危機対策を担当した陳全国(チェン・チェングオ)こそ、現在の新疆ウイグル自治区で党書記として弾圧政策を取り仕切っている人物だ。

そのため、今回の身柄拘束に至った背景には盧に対する怨恨の可能性もあるだろう。 今の新疆ウイグル自治区での非人道的な取り締まりの強化を見れば、陳が盧の来訪を知らないわけがないと、盧の消息筋は言う。 ここで必要なのは外圧だ。 これまでにも国際的な圧力が中国政府に批判的な記者や活動家の「失踪」を回避させた例がある。 盧は殺害されたサウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギのようにアメリカの永住権を持っている。 出身国の古い敵から報復される危険があるという点でも似ている。

世界、特にアメリカは、盧のために立ち上がるべきだ。 決して、彼が警察国家の闇に吸い込まれるようなことがあってはならない。 (キャスリーン・マクラフリン)

- NewsWeek 2019 年 1 月 4 日 -


監視社会中国、学校に「スマート制服」導入 居眠りに警報

中国の政府系メディア「環球時報」が先日掲載した記事によると、中国南西部の貴州省と広西チワン族自治区の 11 の学校で、スマート制服を生徒に着用させる試みが始動した。 この制服は現地の IT 企業 Guanyu Technology が開発したものだ。 制服には生徒らの現在位置や行動を監視する 2 つのチップが埋め込まれており、教室で居眠りした場合や、許可なく校外に出た場合はアラートが作動する。

貴州省仁懐市の第 11 学校校長の Lin Zongwu は、環球時報の取材に「学校関係者らはこの制服で、生徒の登校時刻や帰宅時刻を正確に記録し、データを親や教師たちに自動的に送信できる」と述べた。 各学校は顔認証システムを用い、制服のチップを照合しており、他人の制服を着用して校内に立ち入ることはできない。 違反行為を発見した場合は警報が鳴り響く。

この試みは 2016 年の秋から始動しており、導入する学校数は大幅に伸びたという。 ただし、一部からは批判の声もあがっている。 ソーシャルメディアには「これではまるで刑務所のようだ」との書き込みが掲載され、「将来的には同じ仕組みが大人にも導入されるのではないか」との見方もあがる。 環球時報はこの制服が、プライバシー侵害の懸念を引き起こすと指摘した。 この制服は学校外での生徒の行動を把握することも可能だ。

Lin Zongwu 校長によると、校外での行動監視は現在、行わない設定になっているが、生徒が行方不明になった場合や、学校をサボった生徒を追跡する場合に利用される可能性もある。 これは、根本的な原理としては「iPhone を探す」機能と同じテクノロジーではあるが、薄気味悪いものであることは確かだ。 (Federico Guerrini)

- Forbes 2019 年 1 月 4 日 -


中国の人権派弁護士に懲役 4 年半 一斉拘束の 709 事件

中国で 2015 年 7 月に人権派の弁護士らが一斉に拘束された「709 事件」で、天津市第 2 中級人民法院(地裁に相当)は 28 日、国家政権転覆罪に問われた王全璋弁護士 (42) に懲役 4 年 6 カ月、5 年間の政治的権利?奪とする実刑判決を言い渡した。 709 事件の関連では 300 人以上の弁護士や民主活動家が取り調べを受けており、最初に拘束された人たちの中で、王氏だけ拘束が続いていた。

王氏は、中国共産党が邪教として取り締まる気功集団「法輪功」のメンバーなどの弁護活動で知られる。 デモ活動やネット上での扇動的な言動を理由に 17 年 2 月に起訴された。 昨年末にようやく初公判が開かれたが、家族は軟禁状態に置かれて傍聴を認められず、拘束後、3 年半が過ぎても、家族や家族が依頼した弁護人とは会えない状態が続いていた。 (北京 = 延与光貞)

- 朝日新聞 2019 年 1 月 28 日 -

◇ ◇ ◇

中国当局誤算、弾圧恐れぬ弁護士たち 妻ら丸刈りで抗議

中国で 2015 年 7 月 9 日以降、人権派の弁護士らが一斉に拘束された「709 事件」で、天津市第 2 中級人民法院(地裁に相当)は 28 日、国家政権転覆罪に問われた王全璋弁護士 (42) を懲役 4 年 6 カ月の実刑とし、政治的権利を 5 年間はく奪する判決を言い渡した。 15 年以降、709 事件に関連して 320 人以上の弁護士や民主活動家が取り調べを受けた。 支援者らによると、王氏は起訴内容を否認していた模様で、当初に拘束された弁護士らの中で 1 人だけ 3 年半を超す異例の長期拘束が続いていた。 家族や家族が依頼した弁護人とも面会できていない。

中国でも判決は公開が原則だが、今回は家族にも事前に知らされず、判決の結論部分だけが法院のホームページで発表された。 言い渡しを家族や海外メディアに公開すれば、王氏が法廷で自らの主張を展開することを恐れた可能性がある。 夫の無実と釈放を訴えてきた妻の李文足さん (33) は 28 日、朝日新聞の取材に「困っている人のための弁護活動がなぜ罪になるのか理解できない。 夫を信じて、抗議を続けていく。」と話した。

王氏は、中国共産党が邪教とする気功集団「法輪功」メンバーの弁護や土地を奪われた農民の支援をしてきたことで知られる。 検察側は、王氏が 09 年以降、海外の「反中勢力」から資金や訓練を受け、デモやネット上の言論を通じて政権転覆を狙ったとして、17 年 2 月に起訴した。 (北京 = 延与光貞)

- 朝日新聞 2019 年 1 月 29 日 -

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