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【番外編 (288)】 ロシアの外交 (10)

北方 4 島の日ロ共同経済活動について、当然、日本は「日ロ双方の法的立場を害さない "特別な制度"」の下でと主張するでしょうが、現実には、既に定住しているロシア人が存在することを考えれば、筆者には絶対条件とは思えません。 むしろ、「経済プロジェクト」を速やかに進めることを、第一義に置くべきと考えます。 そこに住む住民が、遠いモスクワに目を向けるか、目と鼻の先の北海道に目を向けるか、自ずと結果は出るような気がしてなりません。 日ロの人々が自由に行き来し、生活できる、政治的にも「特別区」を作り上げるのが、現実的な目標となるのではないでしょうか。


北方領土の官民調査団が根室帰港

北方領土での日露共同経済活動に向けて現地を視察していた官民調査団(団長・長谷川栄一首相補佐官)が 1 日午後、5 日間の日程を終えて、チャーター船で北海道・根室港に戻った。 日本政府は視察結果を踏まえ、実現可能な事業の選定に着手する。 また、共同経済活動を行う上で必要な日露双方の法的立場を害さない「特別な制度」に関しても露側と協議を進める。

安倍晋三首相は 7、8 両日にドイツで開かれる主要 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議に合わせロシアのプーチン大統領と会談し、共同経済活動の実現に向けた交渉の加速化を図る。 追加的な調査団派遣や次官級協議などを経て、9 月上旬にロシア極東のウラジオストクで開かれる「東方経済フォーラム」で再度プーチン氏と会談するまでに、具体的な事業の選定にこぎ着けたい考えだ。 約 70 人規模の調査団は 6 月 27 日に国後島に上陸し、病院や発電所などを視察した。 29 日は択捉島、30 日は色丹島に移動し、観光客向けの宿泊施設や温泉、水産加工場などを見学した。

- 産経新聞 2017 年 7 月 1 日 -


ロシア全権代表「北方領土に経済特区」 日本に圧力か

ロシアで北方領土を管轄しているトルトネフ極東連邦管区大統領全権代表は 6 日、北方領土に経済特区「先行発展地域」をつくることを決めたと表明した。 タス通信などが伝えた。 日本とロシアは北方領土での「共同経済活動」について協議中だが、ロシア側の法律に基づいて事業を行うよう日本側に圧力をかける狙いがあるとみられる。

ドイツで主要 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議がある 7 日に日ロ首脳会談が予定されており、日本側に揺さぶりをかける目的もありそうだ。 ロシア政府は昨年、漁業や観光などの産業育成を目指して北方領土に特区をつくる方針を示したが、同 12 月の日ロ首脳会談で共同経済活動に向けた協議開始に合意したこともあり、手続きを延期していた。 だがインタファクス通信によると、トルトネフ氏は今年 3 月、協議が進まなければ「クリル(北方領土と千島列島のロシア側呼称)を先行発展地域に指定することを政府に提案する」と述べ、単独開発を目指す考えを示していた。 (ウラジオストク = 中川仁樹)

- 朝日新聞 2017 年 7 月 7 日 -


日ロ首脳、56 年宣言基礎に平和条約交渉を加速、で合意

安倍晋三首相は 14 日、訪問先のシンガポールでロシアのプーチン大統領と会談し、1956 年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意した。 56 年宣言は平和条約締結後に歯舞、色丹の二島を引き渡すと明記しており、二島の帰属確認を優先する可能性もある。 年明けにも首相がロシアを訪問し、プーチン氏と会談を行うことでも一致した。

日本と旧ソ連が国交を回復した 56 年の日ソ共同宣言では、平和条約締結後に歯舞、色丹の 2 島を引き渡すと明記。 2001 年のイルクーツク声明ではこの宣言を出発点としたが、今回の合意は基礎としつつも、国後、択捉を含む 4 島の帰属の問題について、首相は記者団に言及しなかった。 歯舞、色丹 2 島の帰属を優先して協議する可能性をにじませたものだ。

首相は会談後、記者団に対し、「領土問題を解決して平和条約を締結する」と述べた。 その上で「戦後 70 年以上残されてきた課題を次の世代に先送りすることなく、私とプーチン大統領の手で必ずや終止符を打つという強い意志を大統領と完全に共有した」と述べた。 首脳会談は通算 23 回目。 プーチン氏が 9 月に前提条件なしで平和条約を締結しようと提案してから初めてで、約 1 時間半にわたって行われた。 外務省の秋葉剛男事務次官も同席した。

会談冒頭、プーチン氏は「協力のすべての方向性について協議できるのをうれしく思う。 その中にはあなたが優先順位があると考えているであろう問題も含まれる。」と表明。 今月 30 日 - 12 月 1 日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれる主要 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議でも首相と会談する考えも示した。 これに対し、首相は「特に重要な平和条約締結の問題についてしっかりと議論をしたい」と述べた。

プーチン氏は 9 月 12 日、ウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムで「あらゆる前提条件をつけず、年末までに平和条約を結ぼう」と発言。 平和条約を先に締結した上で、北方四島についてはその後に交渉することを提案した。 この提案は、北方四島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結するとの日本政府の基本方針とは異なる。 両政府が交わした過去の合意文書にも領土問題を先に解決することは盛り込まれており、日本政府内には困惑も広がった。

ところが首相は「平和条約が必要だとの意欲を示したのは間違いない」と前向きな評価を相次いで発信。 「11 月、12 月の首脳会談が重要になっていく」と述べていた。 (シンガポール = 竹下由佳、田嶋慶彦)

北方四島をめぐる主な重要な文書

日ソ共同宣言 (1956 年) : 日ソ両国は当時、平和条約を締結しようと交渉していたが、日本が返還を求めた北方四島のうち国後島と択捉島の帰属の問題について合意できなかった。 このため、「共同宣言」を締結して外交関係を回復し、平和条約交渉を継続することになった。 共同宣言では平和条約の締結後にソ連が歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すことになっている。

東京宣言 (1993 年) : 細川護熙首相とロシアのエリツィン大統領が署名。 北方四島の島名を列挙し、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するよう交渉を継続することで合意した。

イルクーツク声明 (2001 年) : 森喜朗首相とロシアのプーチン大統領が署名。 1956 年の日ソ共同宣言を交渉の出発点と位置づけ、法的な有効性を確認し、東京宣言に基づいて四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの認識を再確認した。

プレス向け声明 (2016 年) : プーチン大統領が訪日し、安倍晋三首相と山口県長門市で会談した後に発表。 北方四島での共同経済活動に関する協議開始が、平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得ることで相互に理解。

日ロ関係年表
1945 年日本が無条件降伏。 ソ連が北方領土占領。
56 年日ソ共同宣言
91 年ソ連崩壊
93 年東京宣言
97 年クラスノヤルスク合意 (東京宣言に基づき、2000 年までに平和条約を締結するよう全力を尽くす。)
98 年川奈で橋本龍太郎首相とエリツィン大統領が会談。 橋本氏が四島の北に国境線があることを確認できれば、当面は返還を求めないとする「川奈提案」を示す。
2001 年イルクーツク声明
12 年プーチン首相、朝日新聞などとの会見で領土問題の「引き分け」を提案
14 年ロシアがクリミア半島を併合。 日本が対ロ制裁。
16 年プーチン大統領が訪日。 北方四島での共同経済活動で合意。
18 年プーチン大統領が前提条件なしで平和条約を締結しようと提案

- 朝日新聞 2018 年 11 月 14 日 -

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