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【番外編 (289)】 微妙な日韓関係 (17)

韓国籍の船舶まで北朝鮮の船と瀬渡し・瀬取りをやっているのであれば、昨年末、日本の哨戒機へレーザー照射してまで守らなければいけなかった韓国軍の行為が重大なものであった可能性は高まります。 近くに朝鮮籍の船がいたのは事実のようですし、どうしても「隠匿された北朝鮮支援」の疑惑が拭えません。 最近、韓国と北朝鮮の間の前向きな交流が途絶えているのも、日米の強力な監視下で、かような隠密行動も続行不能となったからなのか、とやはり勘ぐってしまいます。

徴用工判決は文在寅政権のせいだけではない

ガラパゴス化する韓国司法の深過ぎる闇

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- デイリー新潮 2018 年 12 月 29 日 -


「韓国軍は単独で北朝鮮に対峙できず」香田元海将に聞く

日韓外交だけでなく、昨年末の韓国軍艦による自衛隊機へのレーダー照射問題など、安全保障面でも日韓の関係は冷え込んでいる。 半島有事の際の日本の安全保障はどうなるのか。 軍事面で韓国とどう付き合うべきか。 海上自衛隊の元艦隊司令官、香田洋二氏に聞いた。

- 昨年末の自衛隊哨戒機への韓国海軍の火器管制レーダー照射問題について、韓国側は今も照射を否定しています。

世界中の軍事関係者は日本の主張が正しいと見ています。 韓国の人以外はそうだと言える。 中立的な立場でプロの常識を働かせれば言うまでもないことです。

編集部から

海上自衛隊の P1 哨戒機が昨年 12 月 20 日、日本海・能登半島沖の日本の排他的経済水域 (EEZ) 内を飛行中、北朝鮮船舶に対する救難活動を実施していたとする韓国海軍駆逐艦から突然、火器管制レーダーの照射を受けた。 この照射は目標にミサイルなどを向ける攻撃直前の行為。 日本や韓国など 21 カ国の海軍などが 2014 年に採択した海上衝突回避規範で、この行為は攻撃の模擬とされ、指揮官は回避すべき動作と規定している。

韓国国防省は当初、「正常な作戦活動の中でレーダーを使った」としていたが、後に火器管制レーダーの照射を否定し、捜索用レーダーを使用したと主張を変えた。 自衛隊はこれに対し、探知した電波のデータや画像などを公表したが、韓国側は自衛隊機が「威嚇飛行」をしたと非難をし、主張は対立したままとなっている。

日本はもっと戦略的に動くべき

- その後も韓国海軍は 2 月に予定していた海上自衛隊舞鶴基地への艦隊司令官派遣を中止し、日本側も韓国釜山への護衛艦「いずも」の寄港を取りやめるなど、関係は全く改善していません。

韓国の文在寅政権は、ただ日本を無視し、北に軸足を置いて、反面で日本の価値をはるかに軽く見ているだけ。 日本は、そのような文政権の個々の政策に過敏に反応するのではなく、「丁重な無視」をするということではないでしょうか。 自民党の中には「(韓国に)謝罪を求めるべきだ」など元気のいい声もあるようですが、それだけでもだめだと思います。

- どういう対応が必要だと考えているのですか。

韓国は「元々悪いのは日本」で凝り固まっています。 政府間の合意などは関係ないと思っている節もある。 その考え方は、我々とは全く違いますので、説得して変更を求めても、そうはならないでしょう。 その前提で日本は、もっと戦略的に動くべきです。 例えば半島有事の際、米国が同半島での軍事作戦を実施する上で、日本が極めて重要になることは韓国も否定できません。

日本は、米韓、米朝の間で起きている動きについて、「我々も国益に関係する」として入り込むことは出来るはずです。 日米安保条約には、(有事に向けての)事前協議という条項があります。 朝鮮半島有事の際の米軍の戦闘作戦行動、特に我が国の基地からの作戦行動は、日本の安全保障と密接な関係を持つことは明白です。 この観点から、もっと米韓、米朝の動きに関わっていいはずです。

- トランプ米大統領は、在韓米軍について今年初め、撤収の計画はないとしましたが、駐留経費の増額を求め、韓国と長い交渉になりました。 在韓米軍は今後もその規模を維持するのでしょうか。

米国と韓国との間での在韓米軍の駐留経費交渉は昨年長く続き、米国側は当初、米韓合同軍事演習で戦略爆撃機がグアムから韓国に展開する際の「作戦支援費」を新たに負担項目に含めるなど、韓国側の負担を大幅に増やすよう要求したとされます。 これに対して韓国はかなり抵抗をしましたが、結局、8% 増で合意しました。 従来は 5 年だった駐留経費の合意期間を今回は 1 年にしています。 これは米国が、毎年この件を議題に取り上げることにより、今後さらに増額圧力を強める可能性を示唆しているのかもしれません。

それでも韓国が結局は引き上げに応じたのは、北朝鮮と裸で付き合う、つまり在韓米軍撤退についてはまだ早い、韓国軍だけで北朝鮮の抑止と対処は十分にできないと思っているからでしょう。 米軍の存在はやはり必要なのです。

編集部から

米国と韓国は 2019 年以降の在韓米軍の駐留経費について昨年春から今年 2 月まで交渉を続けてきた。 いったんは米国が 2018 年の韓国側負担の経費に対して 5 割増とし、経費決定の期間も 1 年単位とするよう要求したと言われ、韓国と対立した。 トランプ大統領は「米国は韓国との間で大きな貿易赤字を出しながら防衛をしている」と不満を示してきた。 しかし、結局今年 2 月に 2019 年の駐留経費を前年比 8% 増の約 1 兆 389 億ウォン(約 1,040 億円)とすることで合意した。 韓国の負担が 1 兆ウォンを超えるのは初めて。

北朝鮮の核放棄はあり得ない

- 裸で動けないというのは実力が不足しているということですか。

軍事力というものをどう見ればいいか、3 つのポイントがあります。 1 つは軍事力を背景にして、どのように国家活動を進めるかという「意図」。 2 つ目は軍事能力そのもの。 そして 3 つ目は地政学的な意味です。

その視点で捉えて段階評価をすると、文政権は韓国軍を対北で有効果断に活用する意図はほとんどないでしょう。 軍事的な能力はまずまずですが、地政学的な優位性はゼロといったところでしょう。 一方、日本が自ら自衛隊を使って何かをするという意図は、他国から攻められない限りあり得ません。 でも、自衛隊の能力は高いですし、先ほど半島有事の際の米軍にとっての軍事的な意味でもお話ししましたが、我が国の総合的、地政学的な重要度は極めて高いと言えます。

- 在韓米軍と韓国軍の実力とは。

在韓米軍はかつては 5 万人。今は 2.8 万人になっています。 当時韓国は反対しましたが、冷戦終了により、米軍の世界戦略に対応して、そこまで縮小しました。 一方、北朝鮮はサイバー攻撃や特別部隊は強力だと思います。 しかし、米軍がアラスカや本土に置いている(機動性が高い)ストライカー旅団やヘリコプター機動旅団を半島で十分に機動運用する体制が確立できれば、米軍が現在の規模で韓国に常駐する必要はなくなります。 北の抑止と対処のために、機動展開になじまない部隊と装備に限り韓国に配置し、他は機動展開することも一つのオプションでしょう。

- 日韓の今後の軍事協力はどうなるでしょう。 1 年ごとに期限を迎える日韓の軍事情報包括保護協定 (GSOMIA) はどうなるでしょう。

GSOMIA は今年も延長するでしょう。 そうせざるを得ないはずです。 先ほどもお話ししたように、韓国は裸で北朝鮮に対峙はできません。 米軍の駐留経費引き上げと同じです。 韓国は今後とも我が国に対し色々言うでしょうが、朝鮮半島の米軍作戦支援を含めたキャスティングボートは我が国が握っていますので、日本としては「So What?、それでどうしますか?」という態度でいいのです。 韓国の個々の言い分に一々反論して、我々の気持ちが「すかっとする」ことは、戦略上の上策ではなく、下策なのです。

- 米朝首脳会談は物別れに終わりました。 北朝鮮の核放棄は進まないようです。

米 CIA (中央情報局)や国家情報局の報告から、北が核放棄をすることはあり得ないと考えるべきです。 今回は予想通りの結果でした。

日本と韓国の関係がかつてないほどに冷え込んでいる。 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が歴史問題を繰り返し持ち出していることだけが原因ではない。 韓国国会議長は天皇陛下に謝罪を求める発言をし、日本の対韓世論は急速に悪化している。 抗日独立運動 100 年を迎えた 3 月 1 日には、韓国政府が大規模な記念行事を開いた。 なぜこんなに関係がこじれてしまったのだろう。 日本に反発する動きの背景に何があるのか。 韓国の政治や経済、企業活動の実態はどうなっているのか。 (田村賢司)

香田洋二 (こうだ・ようじ)氏 : 1972 年 3 月、防衛大学校卒、海上自衛隊に入隊。 97 年海将補に昇任、護衛艦隊司令部幕僚長。 2003 年海将昇任、護衛艦隊司令官。 2007 年自衛艦隊司令官に就任。 2008 年 8 月に退官。

- 日経ビジネス 2019 年 3 月 13 日 -

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