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恐竜の尾、白亜紀中期の琥珀から発見 毛に覆われた状態

ミャンマーで見つかった約 9,900 万年前の白亜紀中期の琥珀の中から、毛に覆われた小型恐竜のものとみられる尾の一部が見つかった、と中国やカナダなどの研究チームが米専門誌カレント・バイオロジー(電子版)に論文を発表した。 立体的な構造が確認でき、鳥への進化を探る貴重な資料になるとしている。

その琥珀は、2015 年に研究チームのシンリーター博士(中国地質大)がミャンマー北部の市場で見つけた。 鶏卵ほどの大きさで、中に羽毛のような繊維に覆われた小動物の尾(長さ約 4 センチ)とみられる組織が残っていた。 CT スキャンなどでの分析から、少なくとも八つの脊椎(せきつい)骨を含むことが判明。 骨と骨の癒着が進んでいないなど原始的な特徴から、スズメほどの大きさの羽毛恐竜コエルロサウルスの仲間の尾の一部と判断した。 琥珀中の組織から DNA を抽出することは、古すぎて不可能という。

これまでに見つかった羽毛恐竜の化石は、きめの細かい特殊な地層に恐竜が埋もれて、押し花のように平面上に羽毛の跡などが残ったものだった。 ミャンマー北部は世界的な琥珀の産地の一つ。シン博士によると、市場関係者から「中に変わった植物が入っている」と購入を勧められたという。 「発見は偶然が重なったおかげ」と話している。 (ワシントン = 小林哲)

3 次元構造として初確認、意義大きい

国立科学博物館の真鍋真・標本資料センター長の話 : 琥珀の中に羽毛が残っていた事例の報告はあったが、羽毛だけではそれが恐竜のものか鳥類のものかはわからなかった。 今回、断片的な標本とはいえ、鳥類に近い恐竜に、鳥類のような進化した羽毛が生えていたことが 3 次元構造として初めて確認できた。その意義は大きい。

- 朝日新聞 2016 年 12 月 12 日 -


ピラミッド内部に大空間 国際研究チーム発見

エジプトの首都カイロ近郊にある世界最大の石造建築、クフ王のピラミッドに未知の巨大空間が存在することを、名古屋大などが参加する国際研究チームが発見し、2 日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。 考古学の専門家は「王の埋葬室の可能性もある」と指摘、謎の多いピラミッドの構造解明につながることが期待される。 チームは昨年、ピラミッド北側に未知の空間があることを明らかにしたが、今回はより中心部に近くて広い。 チームの森島邦博・名古屋大特任助教(素粒子物理学)は「空間の詳しい構造や用途は分かっていないが、ピラミッドの建造方法などを解明する手掛かりになる」と話している。

チームによると、新たに確認された空間は全長 30 メートル以上。 中心部付近にある「王の間」に続く「大回廊」と呼ばれる空間の上方、地上 60 - 70 メートルの位置にある。 幅 1 - 2 メートル、高さ 8.6 メートルの大回廊とほぼ同じ大きさの断面積があるという。 チームには名古屋大のほか、高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)やフランスの研究者らが参加。 ピラミッドを破壊せずに内部構造を探るため、宇宙から降り注ぐ宇宙線から生じ、物質を通り抜けやすい性質を持つ「ミュー粒子」を利用して、エックス線写真のように内部を透視する調査を行った。

名古屋大は、王の間の下にある「女王の間」と、女王の間に続く廊下の 2 カ所に特殊なフィルムを使った観測装置を設置。 2015 年 12 月からフィルムを通過したミュー粒子の方向や数を測定すると、空間がない場合よりも飛んでくるミュー粒子の数が多い場所があり、未知の空間があることが示された。 その後、高エネ研が女王の間に設置した別の観測装置でも、大回廊とは異なる空間を確認。 さらにフランスなどの研究者がピラミッドの外側から調べると、同様の空間が再確認されたという。

- 共同通信 2017 年 11 月 2 日 -


候補に「チバニアン」、決め手は地磁気逆転の痕跡と年代

地球の地質時代の境界を代表する「国際標準模式地」候補になった千葉県市原市の地層「千葉セクション」。 決め手は、そこで確認できる地磁気逆転の痕跡と年代だった。 地球は大きな磁石だ。 過去に何百回も N 極と S 極が入れ替わっており、最後の逆転が起きた時期の特定が課題だった。

磁力をもつ鉱物が含まれる岩石を調べれば、その時代の N 極と S 極の向きがわかる。 千葉セクションは 240 万年前から 50 万年前までの地層が観察できる希少な場所で、磁場逆転の痕跡も確認できることで、海外の地質研究者からも注目されてきた。 国立極地研究所の菅沼悠介准教授らはこの地層の堆積(たいせき)物を分析し、最後の逆転が 77 万年前だった証拠をみつけ、2 年前に発表した。

成果を踏まえて今年 6 月、極地研や茨城大など 22 機関の研究者グループは千葉セクションが模式地にふさわしいと国際地質科学連合の専門部会に提案。 この境界で区分される新たな地質時代を「チバニアン」とするよう申請した。 イタリア南部の 2 カ所についても申請されたが、9 カ国 16 人の専門家による作業部会は、今月上旬までの投票で千葉を選出した。 上位組織での審査がまだ 3 回残っており、正式決定までは 1 - 2 年かかる見込みだ。 菅沼准教授は「最終候補に選ばれて大変うれしい。 日本の地質学において大きな一歩。 正式決定までがんばりたい。」と語った。(中山由美)

- 朝日新聞 2017 年 11 月 14 日 -


11 光年先、地球に似た惑星 - 国際チーム発見 太陽系に接近中

おとめ座の方向に 11 光年離れた赤色矮星(わいせい)「ロス 128」の周りで地球に似た惑星を発見したと、フランスのグルノーブル・アルプ大などの国際研究チームが 15 日発表した。 太陽系外では 4 光年先の「プロキシマ b」に次いで地球から 2 番目に近い惑星だが、太陽系に接近中のため、7 万 9,000 年後には最も近い惑星になるという。 赤色矮星は宇宙に多数ある小さな恒星で、水素の核融合が穏やかなため暗い。 ロス 128 は質量、大きさとも太陽の 2 割弱。発見された惑星「ロス 128b」は赤色矮星の周りを 1 周約 10 日で回り、距離は太陽 - 地球間の 20 分の 1、質量は地球の 1.35 倍で、温度は 20 度から零下 60 度と推定される。

プロキシマ b も赤色矮星の周りを約 11 日で周回するが、紫外線や X 線が強烈で生命が存在するには厳しい。 ロス 128b は水が液体で存在するか不明だが、紫外線などは穏やかと考えられる。 研究チームは南米チリにある欧州南天天文台の直径 3.6 メートルの望遠鏡でこの惑星を発見した。 建設中の同 39 メートルの巨大望遠鏡 ELT が 2024 年に観測を始めれば、大気中の酸素などを捉え、生命の存在可能性を明らかにできるという。

- 時事通信 2017 年 11 月 16 日 -


雷から「反物質」 身近な場所で発見、研究者も驚き

物質と出合うと、光を放って消えてしまう不思議な性質を持つ「反物質」が、雷によって大量に作られていることを、京都大や東京大などの研究チームが突き止めた。 これまで、宇宙から降り注ぐ高エネルギー粒子(宇宙線)が地球の大気にぶつかって生じるケースなどが報告されていたが、身近な気象現象である雷による生成が確認されたのは初めて。英科学誌ネイチャー(電子版)に 23 日、論文が掲載される。

反物質は、物質と電気的な性質が逆で、宇宙誕生時には物質と同じ量あったが、その後ほとんどが消えたと考えられている。 ただ、加速器を使って人工的に作ることができ、米映画「天使と悪魔(2009 年)」では、物質と接触して膨大なエネルギーを放つ「兵器」として描かれた。

京都大の榎戸輝揚・特定准教授(宇宙物理学)らのチームは今年 2 月、新潟県柏崎市で雷雲から放出されるガンマ線を観測。 その結果、反物質の一種である「陽電子」が消滅する際に出る特有のガンマ線を検出することに成功した。 また、雷によって作られた窒素の放射性同位体から、陽電子が発生するという仕組みも突き止めた。 雷雲の中では、1 回の放電で数兆個の陽電子が作られ、10 分間ほどの間に発生と消滅を繰り返すと推定されるという。 榎戸さんは「反物質が、実は身近な場所で生まれていることが明らかになり、非常に驚いた」と話す。(石倉徹也)

- 朝日新聞 2017 年 11 月 23 日 -

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