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日欧の水星探査機が来年出発 太陽系外の "地球" にも迫る

太陽に最も近い惑星の水星を調べる日欧共同の探査機が来年 10 月に打ち上げられる。 人類史上 3 回目の水星探査で、ベールに包まれた磁場のメカニズム解明に挑む。 「灼熱の惑星」の素顔は、太陽系以外の惑星の理解にも役立ちそうだ。

地表温度は 400 度

水星は太陽系で最も小さい惑星で、サイズは月より少し大きい程度。 太陽系の最も内側を回っており、昼間の地表温度は 400 度にも達する。 日欧が挑むのは探査計画「ベピコロンボ」。 水星の自転周期と公転周期の関係を明らかにしたイタリアの数学者、ジュゼッペ・コロンボ氏(1920 - 84 年)にちなんで名付けられた。 日欧が探査機を 1 機ずつ開発し、欧州の大型ロケット「アリアン 5」で南米の仏領ギアナから同時に打ち上げる。 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は磁場や大気などを調べる探査機「MMO」、欧州宇宙機関 (ESA) は地形や重力などを観測する探査機「MPO」をそれぞれ開発。 2025 年 12 月に水星に到着し、別々の軌道を周回して 1 - 2 年にわたり観測を続ける計画だ。

史上最も詳細な水星探査

人類は月や火星をはじめ太陽系の天体に多くの探査機を送り込んできたが、水星はこれまで米国の 2 機しかない。 公転周期が約 88 日と短いため探査機を目的の軌道に投入するのが難しく、太陽に近いため機体の高温対策も困難という事情があるからだ。 米国は 1973 年に打ち上げたマリナー 10 号、2004 年に打ち上げたメッセンジャーで水星探査の先陣を切ったが、詳しく観測できない場所もあった。 日欧のベピコロンボ計画は史上最も詳細で本格的な水星探査になる。

探査機は当初、10 年ごろに打ち上げる予定だったが、ロケットの変更や MPO の設計問題などで延期を繰り返してきた。 JAXA は 15 年に MMO を製作した際、翌年の打ち上げを見込んでいたが、機体を受け取った欧州側の作業トラブルでまたもや延期に。 その後は問題なく、ようやく来年の打ち上げが見えてきた。 MMO の開発に加わってきた JAXA の小川博之教授は「遅れたことでかえって意気が上がっている。 着実に計画を進めたい。」と話す。

磁場のメカニズムが焦点

探査の最大の焦点は水星の磁場の謎だ。 地球は誕生時に生じた高熱が内部に残っており、溶けた鉄が内部を対流して磁場が生じている。 これに対しサイズが小さい水星は熱が逃げやすく、内部は既に冷えて固まっていて対流せず、磁場は生じないというのが 1970 年代前半までの定説だった。 しかし米マリナー 10 号が弱い磁場を発見し、これを覆した。 MMO の最も重要な任務は、この弱い磁場を詳しく観測し、メカニズムを解明することだ。 太陽系に岩石を主成分とする惑星は 4 つあるが、磁場があるのは地球と水星だけだ。 両者を比較すれば惑星磁気圏の理解が進む。 また、水星に希薄な大気が存在する仕組みなど多くの謎の解明にも期待がかかっている。

今年 2 月、ベピコロンボ計画の重要性を再認識させるニュースが世界を駆け巡った。 地球からわずか 39 光年の近距離にある恒星「トラピスト 1」が、地球のような岩石型の惑星を 7 つも持っていると米航空宇宙局 (NASA) などが発表したのだ。 しかも、その位置を太陽系に当てはめて考えると、水星よりさらに太陽に近い場所に、7 つ全てが収まってしまうという。

こうした特異な惑星は、恒星の熱や重力の影響を極めて強く受けているとみられるが、実態は謎だらけ。 その解明には身近な太陽系で恒星に最も近い惑星、つまり水星の詳しい探査が役に立つ。 このためベピコロンボ計画への期待は一段と高まっているのだ。 到着は 8 年後とやや気が早い話だが、水星はもとより、宇宙の多彩な惑星の成り立ちの理解にもつながる大きな成果を期待したい。(科学部 草下健夫)

- 産経新聞 2017 年 10 月 15 日 -


中性子星合体の重力波 日本チーム、光を観測

国立天文台と東京大学などは 17 日、重力波をもとに中性子星の合体によって発生した光の観測に初めて成功した国際共同研究の発表を受けて記者会見した。 吉田道利・国立天文台ハワイ観測所長は「一連の観測に日本も少なからず貢献した。 中性子星合体で生じた光をとらえた人類初の成果」と意義を強調した。 重力波は時間や空間のゆがみが波のように伝わる現象で、今年のノーベル物理学賞の受賞テーマとなった。

研究では、米国の「LIGO (ライゴ)」と欧州の「VIRGO (バーゴ)」の観測施設で、中性子星が合体した重力波をとらえた。 その報告をもとに、日本チームは国立天文台のすばる望遠鏡(米ハワイ)などの施設で合体によって生じた光を観測した。 吉田所長は「重力波だけでは正確な位置は分からない。 光をとらえることでどんな天体なのかが分かる。」と話した。 成果は重い中性子星が合体して金などの物質が宇宙で生まれた起源の解明につながると期待されている。

- 日経新聞 2017 年 10 月 17 日 -


80 万年前の人類を襲った「巨大小惑星の衝突」の大きな謎

およそ 80 万年前に巨大な小惑星が地球に衝突した新たな証拠が見つかった。 東南アジアに衝突した小惑星は直径 1 キロほどの大きさで、衝突によって吹き飛ばされた粉塵に地表が覆い尽くされるほどの威力があったが、人類はその状況を生き延びたことになる。 この小惑星の衝突は人類が絶滅しかねない規模の衝突としては、最も現代に近いものだ。 場所が正確に判明しておらず、形跡をもとに分析が進められてきた。

東南アジアにおける人類の進化に影響を及ぼし、地球の気候を変え、最大数年もの間太陽光を遮断したこの衝突の場所を特定するのに役立つのがテクタイトという物質だ。 テクタイトは隕石の衝突から生まれる天然ガラスで、カーティン大学の地質学者 Aaron Cavosie らが、東南アジア一帯のテクタイトに含まれるジルコンを分析した結果、結晶の方向が衝突の影響のない地域と比べて明らかに違っていたという。

この 80 万年前の小惑星衝突の形跡は以前から見つかっているが、衝突した場所については絞り込まれていなかった。 テクタイトはアジア、オーストラリア、そして南極でも見つかっている。 最大重量が 20 キロにもなる大きなテクタイトが多いほど衝突が起きた場所に近いと考えられ、分析の結果、衝突が起きたのは東南アジアで、タイの近くの可能性が高い。 隕石によるクレーターは見つかっていないが、場所はかなり絞り込まれている。

しかし、大きな謎として残るのは、これほどの巨大な衝突だったにもかかわらず、なぜ明らかなクレーターが残っていないかだ。 それは人類がこの大災害を生き延びられた理由につながっているのかもしれない。 衝突した場所の特定はさらに進められており、いかにして人類が生き延びたのか、また人類の進化にどのような影響を与えたのかが解明されることが期待される。

また、同規模の小惑星の衝突は数百年先か、数百万年先になるのかは分からないが、必ず起きるだろう。 今後の研究の成果により、80 万年前の人類よりもこの巨大な自然災害への対策がとれるようになることを期待したい。

- Forbes 2018 年 1 月 13 日 -


火星に「湖」 = イタリア研究チーム、「液体の水」初確認 - 生命の痕跡探査活発化へ

【ワシントン】 米科学誌サイエンス(電子版)は 25 日、火星地表の氷床の下に「湖」があることが判明したと報じた。 火星で液体の水の存在が確認されたのは初めてで、生命の痕跡探査が活発化しそうだ。 欧州宇宙機関 (ESA) の無人探査機「マーズ・エクスプレス」が、2012 - 15 年に火星の周回軌道上からレーダーを使って地表を調査。 火星南極付近にある厚さ 1.5 キロほどの氷床の下に、長さ約 20 キロにわたり液体の水があることが分かったという。

ロイター通信によると、水は丸みを帯びた三角形状に広がっている。 深さは測定不能だが、研究チームを率いるイタリア宇宙機関のロベルト・オロセイ氏はワシントン・ポスト紙(電子版)に「少なくとも 1 メートル程度あるはず」という見解を示した。 ロイターによれば、見つかった湖の温度は推定で零下 70 - 零下 10 度。 通常なら水が凍る温度だが、高い塩分濃度などのため、液状に保たれているとみられる。 オロセイ氏は「魚が泳ぐような環境とは言えないが、地球上には似たような環境で生息する生物もいる」と指摘した。

火星は大気が濃く暖かかった数十億年前、地表に水が流れていたと考えられている。 しかし、現在は大気が薄くなって気圧が下がったため、地表の水は蒸発し、極地などに氷の状態で存在しているだけとみられていた。

- 時事通信 2018 年 7 月 26 日 -


米探査機、火星に着陸成功 2012 年以来 内部調査へ

米航空宇宙局 (NASA) の新型の探査機「インサイト」が日本時間 27 日午前 4 時 54 分、火星に着陸した。 火星の内部構造を初めて直接調べる。 火星への着陸は 2012 年の NASA の探査機「キュリオシティ」以来で着陸直後に交信を絶った旧ソ連の探査機をのぞくと 8 機目。 インサイトは、ロボットアームを使って、火星表面に地震計を設置したり、地下 5 メートルの深さまで熱流量計を埋め込んだりして、火星で起きる地震や地中の温度を測る。 内部の構造や成分を調べることで、地球のような岩石惑星がどのように作られたかの解明につながる。 (ワシントン = 香取啓介)

- 朝日新聞 2018 年 11 月 27 日 -

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