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深海で「天然発電所」を発見 生命起源・進化に影響?

深さ約 1 千メートルの海底にある「深海熱水噴出口」の付近で、天然の発電現象が起きていると、海洋研究開発機構 (JAMSTEC) と理化学研究所のチームが突き止めた。 燃料電池と同じしくみで、生命の起源や進化に関係した可能性もあるという。 研究成果はドイツの科学誌に発表された。 熱水噴出口は海底からマグマ由来の熱水が噴き出している場所。 熱水をエネルギー源にする生き物がすみつき、周辺に複雑な生態系をつくっている。 1977 年に発見され、生命が深海で誕生した説の元になった。

研究チームは、熱水に大量に含まれる硫化水素や、海水中の酸素、噴出口付近にたまった電気を伝えやすい鉱物に注目。 水素と酸素を化学反応させて発電する燃料電池と同じしくみがそろっており、自然に発電していると仮説をたてた。

沖縄本島から北西約 150 キロ、水深約 1 千メートルの「沖縄トラフ」に水中無人探査機を潜らせ、熱水噴出口がある煙突状の構造物「チムニー」付近の電圧を調べた。 すると硫化水素を含む熱水から海底の硫化鉱物を通じ、酸素を含む海水に向かって電子が移動し、ごく弱い電流が発生していた。 電圧は数百ミリボルト。 電気を流して微生物を育てる「電気培養」という方法でかける電圧と同程度という。

同機構海底資源研究開発センターの山本正浩研究員は「電気が深海での生命の誕生や進化に影響した可能性も考えられる。 宇宙で似た場所を探せば、地球外生命体の探査に役立つかもしれない。」と話す。 (小堀龍之)

- 朝日新聞 2017 年 5 月 30 日 -


30 億光年先の重力波検出 ブラックホール合体し放出か

アインシュタインが約 100 年前に存在を予測した「重力波」を、国際研究チームが 30 億光年かなたの天体からとらえた。 重力波の検出は 3 回目で、距離は最も遠い。 2 日、米物理学会誌に発表する。 重力波は時空のゆがみが波のように伝わる現象。 2015 年に米国にある観測装置「LIGO」が、世界で初めてとらえた。

チームによると、今回検出した重力波は、太陽の質量の約 30 倍と 20 倍ある二つのブラックホールが合体した天体から、太陽質量の 2 倍分のエネルギーが重力波として放出されたと考えられるという。 30 億光年という距離はこれまでの観測で最も遠く、より宇宙の初期に近い天体からの重力波をとらえたことになる。 (竹石涼子)

- 朝日新聞 2017 年 6 月 2 日 -


どうやって生きてるのか … 「常識外れ」の細菌、泉で発見

どうやって生命を維持しているのか分からない「常識外れ」の細菌を、海洋研究開発機構などのチームが発見した。 細菌は、太古の地球に似た環境で生息しており、生命の起源解明につながる可能性があるという。 英科学誌に 21 日、掲載された。 同機構の鈴木志野・特任主任研究員らは、米カリフォルニア州で、地表に現れたマントル由来の岩石に湧く泉で、どのような生物がいるか調べたところ、27 種の微生物の遺伝子が見つかった。 周辺は強アルカリ性で、約 40 億年前の地球に似た過酷な環境という。

そのうち、岩石に付着した細菌では、酸素を使った呼吸など生命維持に必要とされるエネルギーを得るための遺伝子を一つも持っていなかった。 この細菌が生きる仕組みは不明だが、岩石から電子を直接得たり、未知の遺伝子が働いたりするなどが考えられるという。 細菌の全遺伝子数は約 400 で、ほかの生物の細胞に依存するものを除き、全生物で最も少なく、研究チームは「常識外れの細菌」としている。 鈴木さんは「想像もしない仕組みの生物の存在に驚いた。 未知のエネルギー源の解明につなげたい」と話した。 (竹野内崇宏)

- 朝日新聞 2017 年 7 月 21 日 -


小惑星探査機 地球接近、撮影しよう 日米チーム企画

22 日夜に地球に接近する米国の小惑星探査機「オシリス・レックス」の撮影を呼び掛けるキャンペーンが日米で実施される。 オシリス・レックスは日本の小惑星探査機「はやぶさ 2」と協力関係にあり、関心を高めようと両機のプロジェクトチームが企画した。 2016 年 9 月に打ち上げられたオシリス・レックスは、地球と火星の間にある小惑星ベンヌから表面の物質を持ち帰る計画。 今回は地球に約 2 万キロまで接近し、地球の引力を使って軌道変更、加速する「地球スイングバイ」を実施する。

最も接近するのは日本時間 23 日午前 2 時ごろだが、日本からは見えない。 日本で観測できるのは 22 日午後 10 時 - 23 日午前 0 時ごろで、南東から南南東の低空を移動する光跡が撮影できそうだ。 肉眼では見えない。 はやぶさ 2 が 15 年 12 月に地球スイングバイを実施した際は、日本各地で上空約 3,000 キロを飛行する光跡の撮影に成功した。 今回は 5 万 - 9 万キロと遠いが、機体が大きいため撮影できる可能性があるという。 参加は、日本惑星協会のホームページ (http://planetary.jp/OSIRIS-REx/) から。 提供された画像は両探査機のチームが分析し、日米で一般公開される。【永山悦子】

- 毎日新聞 2017 年 9 月 19 日 -


39.5 億年前の岩から最古の生命痕跡 海の微生物?

カナダ東部にある 39 億 5 千万年前の堆積(たいせき)岩で、生命の痕跡を、東京大学など日本の研究チームが発見した。 27 日付の英科学誌ネイチャーで発表する。 これまで見つかっている最古の痕跡は約 38 億年前で、今回の発見により、1 億年以上さかのぼることになる。 東大の小宮剛准教授らは、カナダ東部のラブラドル半島にある 39 億 5 千万年前の堆積岩から、炭素からなる鉱物・グラファイトを見つけた。 この同位体を調べたところ、2 種ある同位体のうち、生物が炭素を取り込むときに選ぶ炭素が、ほかの炭素よりも多く含まれていることがわかった。 海の微生物だったと考えられるという。

地球は 46 億年前に誕生したとされている。 論文では、「炭素は当時の海底に降り積もった生物由来のものであると言え、地球上の初期の生命が活動していた証拠の可能性がある」としている。 これまで、最古の痕跡は、ラブラドル半島の東側にあるグリーンランドの、38 億年前の堆積岩から見つかったグラファイトだった。 小宮准教授は「今回わかったことは、生命の存在。 どのような生物種かは特定できておらず、今後の課題」としている。 (神田明美)

- 毎日新聞 2017 年 9 月 28 日 -


超巨大化の過程を解明 = 宇宙初期のブラックホール - 東大・京大

宇宙が約 138 億年前に誕生してから数億年後になぜ超巨大なブラックホールが存在したかを、スーパーコンピューターで解明したと、東京大の吉田直紀教授や京都大の細川隆史准教授らが 29 日付の米科学誌サイエンスに発表した。

吉田教授らは、国立天文台水沢キャンパス(岩手県奥州市)にあるスパコン「アテルイ」などを使い、宇宙初期のガスの流れが暗黒物質の重力によって集まり、高温高密度で乱流状態のガス雲になる様子をシミュレーションした。 その結果、このガス雲から原始的な恒星が誕生し、周囲のガスを取り込んで太陽の質量の 3 万 4,000 倍まで成長した後、寿命を迎えてブラックホールになる過程を明らかにできた。 さらに周囲のガスが降着し、他のブラックホールと合体することで、質量が太陽の 10 億倍以上に超巨大化したと推定した。

- 時事通信 2017 年 9 月 29 日 -


地球接近の小惑星を東大観測所が撮影

東京大学の木曽観測所(長野県)が地球に接近する小惑星を撮影することに成功し、観測した動画と静止画像を 11 日公開した。 地上から捉えた小惑星の画像は珍しい。

この小惑星は直径 10 - 30 メートル。 太陽の周りを回り、2012 年 10 月に米ハワイ大学などがハワイ・マウイ島の山頂で運用する望遠鏡により発見されたことから「2012TC4」と名付けられた。 同観測所によると、直径 10 メートル以上の小惑星は地球大気に突入しても燃え尽きず大きな隕石(いんせき)として被害を及ぼす可能性がある。 「2012TC4」は 2013 年にロシアに落下した隕石に匹敵する大きさだった。 幸い大気圏に突入する軌道でなかったため、地球には日本時間 12 日午後 2 時 42 分に最接近し、地上約 5 万キロ(地球から月までの距離の約 13% に相当)を通過したとみられる。

東京大学木曽観測所は 10 日と 11 日の 2 回、地球から約 42 万 - 98 万キロ離れた「2012TC4」を同観測所のシュミット望遠鏡に搭載した広視野高速カメラで捉えて撮影した。 今回の観測成果について同観測所は「地球に衝突する可能性がある天体の軌道を(事前に)正確にもとめる技術を獲得するという観点からも重要」としている。

- SciencePortal 2017 年 10 月 12 日 -

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