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少女に「カナダへようこそ」 首相、難民歓迎の姿勢発信

カナダのトルドー首相は 28 日、ツイッターで「迫害、恐怖、戦争を逃れようとしている人たちへ。 信仰にかかわらず、カナダの人はあなたたちを歓迎する。 多様性は私たちの力だ。」と発信した。 米トランプ政権が難民の受け入れを停止したことに直接触れていないが、対照的な姿勢を打ち出す形となった。

トルドー氏はさらに、「カナダへようこそ」との説明をつけて、自身が腰を落として少女と話している様子の写真も発信した。 ロイター通信によると、2015 年にシリアから到着した難民を出迎えた時の写真という。 トルドー政権は同年に就任してから、難民受け入れの拡大を目指している。 同年 11 月以降、シリアからだけで 4 万人近い難民がカナダに到着しているという。(ニューヨーク = 中井大助)

- 朝日新聞 2017 年 1 月 29 日 -


英首相、入国制限「同意しない」 米から帰国し対応変更

メイ英首相は 28 日夜、トランプ米大統領との首脳会談を終えて帰国直後に、大統領令による米国の入国制限について、「この種の対応には同意しないし、我々はそのような措置は取らない」との声明を出した。 訪米中、米国との「特別な二国間関係」を強調。 帰路に立ち寄ったトルコでも「米国の難民政策は米国の責任だ」などと語り、直接的な批判を避けていたが、対応を変更した。

英メディアは、声明について、イラク出身の与党保守党議員ナジム・ザハウィ氏が「入国禁止」の対象になりうることを受けたものと伝えている。 声明は「大統領令が何を意味し、どのような法的影響を持つのか、特にそれが英国の国民にどのような結果をもたらすのか調査している」、「もし、英国民に影響があれば、米政府に明確に申し立てる」とし、中東の対象国出身で英国籍を持つ市民への影響に言及した。

野党労働党のコービン党首、自民党のファロン党首は 29 日、メイ首相が訪米中に招請したトランプ氏の訪英について、大統領令を撤回しない限り、中止または延期すべきだと語った。 ザハウィ議員はツイッターで「私は英国市民であり、この国に受け入れられたことを誇りに思う。 自分の出生国によって米国への入国が禁じられると聞き、悲しい。」と発言した。 米大学に留学中の双子の息子たちに会えなくなる恐れがあるという。 これを受けて別の与党議員が「何が特別な二国間関係だ。 越えてはならない一線はある。」と述べるなど、与党内からも対応の甘さを指摘する声が出ている。(ロンドン = 石合力)

- 同 上 -


入国制限で全米混乱 トランプ氏「安全のため」

【ニューヨーク = 大塚節雄、高橋里奈】 トランプ米政権による難民や「テロ懸念国」を対象にした入国制限に抗議するデモが全米各地で拡大している。 デモは全米 30 都市以上に広がり、企業も反発を強めている。 トランプ大統領は 29 日「イスラム教徒の入国禁止措置ではない。 国の安全を保つためだ。」との声明を出し、入国審査条件の厳格化に向け制限措置を続ける意向を示した。

米メディアによると、29 日夕(日本時間 30 日朝)時点で少なくとも 4 人が拘束されたニューヨークのケネディ国際空港では数千人が「彼らを入国させろ」と抗議。 デモはワシントンやシカゴ、サンフランシスコなど 30 都市以上の空港や市内でも展開された。 コーヒーチェーン大手のスターバックスのハワード・シュルツ最高経営責任者 (CEO) は 29 日、社員に対し「大統領令の影響を受ける社員を可能な限り支える」とする声明を発表。 「難民を雇用し、メキシコとの間に壁をつくるのではなく橋をかける」と訴えた。

空港で拘束者が大量に出た事態を受け、各地の連邦裁判所で措置の効力を一部停止する判断が相次ぐ。 29 日までにニューヨーク地裁をはじめ、バージニアやマサチューセッツの各地裁などで拘束者の強制送還を認めない決定を下した。 ニューヨークやカリフォルニアなど 15 の州と首都ワシントン特別区の司法長官は 29 日、共同で大統領令が違憲だと非難する声明を発表。 大統領令の無効化を目指し、訴訟も辞さない構えを示した。

国土安全保障省は 29 日、強制送還を認めない司法判断に従う意向を示しつつ、大統領令の執行は継続する方針を強調した。 ケリー国土安保長官は声明で大統領令の適用に当たり「永住権を持つ人たちの入国は国益だと考える」と公表した。 トランプ氏は、デモなどの混乱は「メディアが誤って伝えている」ためだとして、メディア批判を展開。 あくまで今回の措置が正当だとの姿勢を崩していない。

大統領令は入国審査を厳格化するまでシリア難民の受け入れを停止し、ほかの国の難民も 120 日間止める措置。 イラク、イランなど 7 カ国の一般市民も 90 日間入国させない。 同氏は「米国は誇るべき移民国家」であり、「抑圧から逃れる人々への深い思いやりを見せ続けるだろう」と難民などの受け入れは続けると訴えた。 「私の最優先事項は常に我が国を保護し、身をささげることだ」とも念を押した。 一方、米 CNN テレビは 29 日、ホワイトハウスが外国人訪問者に対し、ウェブサイトやソーシャルメディアの履歴、携帯電話の通話記録の開示を求める案を議論していると報じた。 拒否した場合、入国を拒否する可能性があるという。

- 日経新聞 2017 年 1 月 30 日 -


トランプ氏、NYT 紙「買収か廃刊」 社説で批判され

トランプ米大統領が、自身に批判的な米メディアへの攻撃を強めている。 29 日朝には、ニューヨーク・タイムズ紙について「偽ニュースで経営不振」と表現し、「誰か適性と確信を持つ人が買収し、正しく経営するか、尊厳をもってたたませる(廃刊させる)べきだ」とツイッターで発信した。

同紙は、トランプ氏が大統領令で中東・アフリカの7カ国の国民が米国に入るのを禁止したことを大きく報じ、28 日の社説では「臆病で危険」と断じた。 また、別の社説では「トランプ氏が真実に耐えられるのか」と、事実を無視する傾向を懸念した。 トランプ氏は 28 日にも、同紙とワシントン・ポストを名指しして、「最初から私について間違っていて、今も方針を変えず、今後もそうしない。 不誠実だ。」とツイッターで批判していた。(ニューヨーク = 中井大助)

- 朝日新聞 2017 年 1 月 30 日 -


トランプ大統領の入国制限令、全米混乱の裏側

[ニューヨーク] 米ニューヨーク州ジョン・F・ケネディ国際空港 (JFK) で 28 日、国境警備局職員がイラク人 2 人を拘束したことを受けて、彼らの弁護士と 2 人の米民主党議員は、話をしようと保護区域を横切ろうとした。  すると職員が彼らを押しとどめ、「下がれ、下がれ」と叫び、押し問答になった。 数分後、JFK の米税関・国境警備局 (CBP) 旅客担当責任者であるハイディ・ナッサー氏が呼ばれた。

ニューヨーク州選出のジェロルド・ナドラー議員とニディア・ベラスケス議員(共に民主党)は、トランプ大統領が 27 日に署名した移民の入国を禁止する大統領令では、イラク人が弁護士と話すことも禁じているのかと詰め寄った。 ナッサー氏は、明確な答えを持たなかった。 「他の皆と同様、われわれも暗やみのなかにいる」と同氏は述べた。 ロイターが目撃したこの激しいやりとりは、トランプ氏がイスラム圏 7 カ国の市民や難民の米国への入国を一時禁止するとの大統領令に署名したのを受け、全米や世界各国の空港で起きた混乱を象徴している。

この大統領令の実施をめぐり非難を浴びているトランプ政権は 28 日、外国グループによる攻撃の阻止を目的とするこうした安保対策を行う前に、広く政府機関や空港にその詳細を明かすのは「無謀」だと自らを擁護した。 だが、この大統領令を継続的に実施するうえでの複雑性や、関連機関や航空会社に準備をさせる必要性を政府が十分に理解していないと、国土安全保障省や国務省の幹部らはロイターに指摘した。 政府職員と治安当局者は 28 日、誰が合法的に米国に入国でき、誰が入国できないのかを推測するほかなかった。

だがニューヨーク州ブルックリンの連邦地裁が大統領令の効力を一部停止し、有効な査証(ビザ)を持つ人が一時的に滞在できる判断を示した。 米国自由人権協会は、乗り継ぎ中に、あるいは米空港で拘束された、ビザや難民資格のある 100 - 200 人を支援するとしている。 このほか、カリフォルニア、マサチューセッツ、バージニア、ワシントン各州の連邦地裁が大統領令を執行停止にしたが、無効との判断はしていない。 ただ、こうした判断が増えることで政権側の取り組みが困難になる可能性もある。

蚊帳の外

トランプ政権のある幹部は、米国を守るため、イラン、イラク、シリア、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの 7 カ国の市民を対象とした入国禁止令はすぐに実施される必要があると強調した。 同幹部は記者団に対し、「われわれの移民政策と、米国内のテロ計画や過激派ネットワークには、とても強い結び付きがある」と説明。 「これから行おうとするまさにその安全対策を全世界に放送するのは無謀であり、無責任だろう」と語った。 同幹部はまた、国土安全保障省の主要人物には知らされていたことを明かしたが、詳細は差し控えた。

- Reuters 2017 年 1 月 30 日 -

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