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筆者には、明らかな「劇場型」外交の典型としか見えなかった米朝首脳会談にもともと何の興味もありませんでした。 結局は何の根拠もなくお題目を並べただけ、所詮、米国にとって北朝鮮は遠くて小さな国にすぎないのでしょう。 拉致問題を抱える日本も大変ですが、韓国は難しい立場に追い込まれることになったように感じます。 何せ、必要経費は全て押し付けられたのですから …。 ただ、韓国の人々は意外と楽観的、それが吉と出るのか凶と出るのか?



【米朝首脳会談】 場所はセントーサ島の「カペラホテル」

米国は北朝鮮の滞在費支払わず

【ワシントン = 黒瀬悦成】 サラ・ハッカビー・サンダース米大統領報道官は 5 日、ドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談の場所について、シンガポール南端のセントーサ島にある「カペラホテル」に確定したと明らかにした。 会談は 12 日午前 9 時(日本時間午前 10 時)に開始される予定。 トランプ氏は 5 日、ツイッターで米朝首脳会談に関し「何か大きなことの始まりになると期待する。 もうすぐわかる!」と述べ、北朝鮮の非核化実現に期待を表明した。

セントーサ島は遊園地や水族館、カジノなどがある東南アジア有数のリゾート島。 橋やモノレールなど島に通じるルートが限られているため、人や車両の出入りを監視しやすく、要人警護に適していることから選ばれたとみられる。 ポンペオ国務長官は 5 日、シンガポールのバラクリシュナン外相とワシントンの国務省で会談し、シンガポールが米朝首脳会談の開催場所を提供したことに謝意を表明した。 一方、国務省のナウアート報道官は 5 日、金正恩氏ら北朝鮮代表団がシンガポールの滞在費を支払えない恐れが指摘されている問題で、「米政府は北朝鮮代表団の宿泊費や経費を支払うことはない」と言明した。

- 産経新聞 2018 年 6 月 6 日 -


演習中止で抑止力低下も … トランプ氏発言、落とし穴露呈

米朝首脳会談から一夜明けた 13 日、北朝鮮の国営メディアが、トランプ米大統領が米韓合同軍事演習を中止する考えを会談で示したと報じた。 演習が実際に中止され、それが長引けば、北朝鮮に対する抑止力は低下する。 会談のあいまいな合意の「落とし穴」が早くも露呈した格好だ。 北朝鮮の労働新聞(電子版)は、前日の米朝首脳会談を伝える 13 日付の記事で、「米大統領は、朝米対話が行われる間、北朝鮮が挑発とみなす米韓合同軍事演習を中止する意向を示した」と伝えた。

米韓演習は、1978 年に米韓連合軍司令部が創設されて以降に本格化した。 毎夏に行う指揮所演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン (UFG)」では、新しい戦術などを確認。 毎春の「キー・リゾルブ」、「フォール・イーグル」の二つの演習で、米軍増派や野外戦闘について訓練している。 米韓演習は、朝鮮半島の有事に備える準備として進められてきた。 また北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射などの挑発に出た場合、空母や戦略爆撃機を演習に参加させて牽制する。 近年は、北朝鮮の核兵器除去や金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長ら幹部の殺害を想定した新たな演習も行っていた。

韓国軍の元将校は「北朝鮮は(米韓)演習の度にそれに対応する即応体制を取らざるを得ず、重い負担になっていた。 演習中止が長引けば挑発を招くし、有事の際の対応能力も下がる」と心配する。 米韓は過去、総合軍事演習「チームスピリット」を一定期間中断した例があるが、近年の米政権は米韓演習の中止は「あり得ない」としてきた。

朝鮮半島で過去、北朝鮮軍兵士が米兵を殺害したポプラ事件や、核実験、弾道ミサイル発射といった軍事挑発を行った時には、米韓が演習を行って挑発を抑止することで対応してきた。 また、米韓は「法的に認められた演習と国連制裁違反の核・ミサイル開発は、交渉の対象にならない」とも主張。 非核化交渉などでのカードには含まれないとの立場も鮮明にしてきた。 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は、朝鮮半島の平和定着を強く米朝両国に働きかけてきた。 そのため米韓演習中止にも理解を示す可能性がある。 (シンガポール = 牧野愛博、ワシントン = 峯村健司、園田耕司)

- 朝日新聞 2018 年 6 月 14 日 -


非核化しても金正恩氏には「使える最終兵器」が残っている

韓国メディアの報道によれば、北朝鮮と韓国は 14 日に板門店(パンムンジョム)で行われた将官級軍事会談で、北朝鮮が軍事境界線付近に配備した長距離砲を後退させる問題について協議を始めた。 韓国側がこの問題を提起したところ、北朝鮮は拒否感を示さなかったという。 仮に北朝鮮がこれに応じるとしたら、非核化と並ぶ「大胆な決断」であると言える。

すでに広く知られているとおり、朝鮮人民軍の規律は地に落ちている。 部隊内では物資の横領や横流し、脱走、窃盗、性的虐待が横行。 まともに戦争など出来そうもない状態だ。  そんな中、長距離砲部隊は核ミサイルを扱う戦略軍や、特殊部隊、サイバー攻撃部隊と並び、数少ない虎の子だ。

北朝鮮は、軍事境界線のすぐ北側に、170 ミリ自走式榴弾砲と 240 ミリ放射砲(ロケット砲)を大量に配備している。 これらは韓国の首都圏を射程に収めており、有事の際にはごく短時間に、数千発の砲弾をソウルに降らせることができる。 また、新型の 300 ミリロケット砲の射程はさらに長く、京畿道地方平沢地区の在韓米海軍キャンプ・ハンフリーズおよび韓国の陸海空軍司令部の脅威となっている。

北朝鮮と韓国が対峙する軍事境界線では、小規模な衝突が無数に起きてきた。 それがエスカレートして戦争に発展してしまうのが、最も現実的な脅威なのだ。 たとえば 2015 年 8 月には韓国軍兵士が北朝鮮側の地雷に接触し、身体の一部を吹き飛ばされる事件が発生。 これがきっかけとなり、南北は開戦寸前まで行ったのだ。  そのようにして衝突が拡大しても、北朝鮮も簡単には核を使えない。 核の先制使用が米韓の大量報復を呼ぶのは確実で、そうなったら体制そのものが崩壊してしまうからだ。

米韓側も当然、そのような「読み」を持っている。 だから核武装した北朝鮮に対しても、安易に譲歩しようとしない。 そのため北朝鮮側は、核のような「使えない最終兵器」ではなく、「いざとなったら使える切り札」が必要だ。それが長距離砲部隊なのだ。 また今後、米韓との約束に従って非核化を進めるにしても、長距離砲部隊を軍事境界線に張り付けて置けば、とりあえずは抑止力を保てる。 その両方で譲歩するとなると、北朝鮮としては相当に大きな「見返り」が必要だ。 それがいったい何なのかが気になるところだ。 (高英起)

- Daily NK 2018 年 6 月 18 日 -


正恩氏の訪中、3 カ月で 3 度目 友好関係を強調する中朝

米朝首脳会談を終えた北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が 19 日、北京を訪問した。 正恩氏の訪中は約 3 カ月の間に 3 度目。 「後ろ盾」となる中国の支援を得て、近く再開する予定の米国との協議を有利に進めたい考えだ。 中国も朝鮮半島問題での存在感をさらにアピールするとみられる。

北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が 19 日、特別機で北京を訪れ、中国の習近平(シーチンピン)国家主席と会談した。 正恩氏の訪中は 3 月末以降、3 度目。 今月 12 日にシンガポールで開かれた米朝首脳会談の内容を習氏に伝え、今後の非核化交渉で生じる課題について、「後ろ盾」の中国に理解と支援を求めたとみられる。

中国国営中央テレビによると、正恩氏は米朝首脳会談について「関係各国と国際社会の利益に合致する前向きな成果が得られた」と報告。 「(朝米)双方が首脳会談での合意を一歩ずつ実現すれば、朝鮮半島の非核化は重大な新局面が開ける」と主張した。 また、中国が朝鮮半島の非核化や安定に重要な役割を果たしたとして謝意を伝え、「恒久的な平和に向けてともに努力したい」と、今後の協力を要請した。 (北京 = 延与光貞、ソウル = 武田肇、北京 = 冨名腰隆、瀋陽 = 平賀拓哉)

- 朝日新聞 2018 年 6 月 20 日 -


北朝鮮に翻弄されるアメリカ 高官協議で浮き彫りに

今回の米朝高官協議は、6 月に開かれた歴史的な米朝首脳会談後では初めてのものだった。 そのわりには合意の内容に乏しく、「期待はずれだった」と言わざるをえない。 ミサイルエンジン実験場の閉鎖などは、いずれも首脳会談で話された域を出ていない。 ただ、それ以上に深刻なのが、ポンペオ米国務長官が「進展した」と安堵感をみせると、直後に北朝鮮が遺憾の声明を発表して、強烈なボディーブローを与えたことだろう。 米国が、北朝鮮に翻弄される格好で交渉が進んでいることが浮き彫りになった。

原因のすべては、米朝首脳会談そのものに集約される。 トランプ米大統領が「会談ありき」で調整を急がせた結果、首脳会談の共同声明では、米政府の対北朝鮮政策の基本方針である「完全かつ不可逆的で検証可能な非核化 (CVID)」という言葉が、「朝鮮半島の『完全な非核化』」というあいまいな表現にすり替わった。 北朝鮮が主張する「一方的に非核化するわけではない」という理屈が、ここで裏打ちされた。 (ワシントン = 園田耕司)

- 朝日新聞 2018 年 7 月 8 日 -

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