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金正恩をとり巻く人々 (10)

スッポン大量死に正恩氏激怒、支配人は銃殺 脱北者出版

2016 年夏に韓国に亡命した北朝鮮の太永浩(テヨンホ)元駐英公使が回顧録「3 階書記室の暗号(韓国語版)」を 15 日付で出版した。 即興的な指示を繰り返す金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の素顔や容姿の美しい女性を指導者らの世話をする仕事に抜擢する仕組みなどを紹介した。 題名は、北朝鮮を動かす中枢組織の指示や報告が全て暗号でなされ、その秘密を暴露したことによる。

著作によれば、正恩氏の性格は性急で即興的という。 15 年 5 月、スッポン養殖場を現地指導した際、大量に死んだスッポンを見て「電気や飼料などの問題だというのは、お話にならない」と激怒。 養殖場支配人は銃殺された。 正恩氏と母親の故高英姫(コヨンヒ)氏は、祖父の金日成(キムイルソン)主席と面会できなかった。 金正日(キムジョンイル)総書記の妹、金敬姫(キムギョンヒ)氏とその夫、張成沢(チャンソンテク)元国防副委員長が阻止したとされ、正恩氏は経済的な利権も手放さない張氏を恨んだという。

太氏は 15 年、訪英した正恩氏の兄、金正哲氏を案内。 太氏は 14 日の記者会見で「正哲氏が全く政治に関心がないことを確認した」と述べた。 太氏は、正哲氏が大ファンだった英出身ギタリスト、エリック・クラプトン氏の平壌公演を進める指示も受けた。 クラプトン氏の代理人は公演料として 100 万ユーロを要求。 北朝鮮は払う意思を示したが、クラプトン氏側が「北朝鮮の人権状況を考慮するとすぐには訪問できない」と断ったという。

14 年 8 月には、英国の放送局が北朝鮮核問題を扱った番組を制作するという報道が流れた。 当時、軍偵察総局長だった金英哲党副委員長が平壌駐在の英国大使を呼び、「制作を中止しなければ英国内で想像もできない報復措置が取られる」と警告したという。 (ソウル = 牧野愛博)

- 朝日新聞 2018 年 5 月 16 日 -


北朝鮮、軍トップ入れ替えか 核廃棄での混乱抑制狙う?

北朝鮮人民武力相が、朴永植(パクヨンシク)氏から努光鉄(ノグァンチョル)第 1 次官に交代したことが分かった。 北朝鮮関係筋が明らかにした。 李明秀(リミョンス)軍総参謀長にも交代説が出ている。

この関係筋は「朝米首脳会談に向け、軍内部の穏健派を起用して混乱を避ける狙いがあるようだ」と語った。 努氏は軍経済を扱う第 2 経済委員会で委員長を務めたとされ、2015 年 7 月に人民武力省の前身の人民武力部第 1 副部長に就任。 16 年 5 月の党大会で政治局員候補に選ばれていた。 朴永植氏は 15 年 5 月から人民武力相を務め、李明秀氏とともに 4 月 27 日の南北首脳会談では金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に同行している。

北朝鮮は、軍を政治的に指導する総政治局、戦闘を担う総参謀部、補給や人事を担う人民武力省に分割して統治することで、権力の集中を防いでいる。 先月には軍総政治局長が、今年 2 月に就任が確認されたばかりの金正覚(キムジョンガク)氏から、平壌市党委員長(市長)だった金秀吉(キムスギル)氏に交代した。 今回、人民武力相と総参謀長の交代が確認できれば、半年間に軍の全部門トップが代わったことになる。

米朝が首脳会談で核廃棄に合意した場合、核・ミサイルを扱う戦略ロケット軍を含む約 110 万人規模の北朝鮮軍も縮小が避けられないとの見方がある。 努氏と金秀吉氏は、軍では穏健派と位置づけられており、核廃棄が軍に影響して混乱するのを抑える狙いがあるとみられる。 (ソウル = 牧野愛博)

- 朝日新聞 2018 年 6 月 3 日 -

◇ ◇ ◇

北朝鮮軍の高官 3 人 交代か 韓国メディア

韓国メディアは、情報機関の当局者の話として、北朝鮮軍の高官 3 人が、このほどそろって交代したと伝えました。 これが事実だとすれば異例の人事で、史上初の米朝首脳会談に向けて、軍部内の強硬派を抑え込む狙いがあるのではないかという見方も出ています。 これは、韓国の通信社、連合ニュースなど複数の韓国メディアが、情報機関・国家情報院の当局者の話として伝えたものです。

それによりますと、このほど、北朝鮮軍の総参謀長に、第 1 副総参謀長を務めていたリ・ヨンギル氏が、国防相にあたる人民武力相に、人民武力省の第 1 次官だったノ・グァンチョル氏が、それぞれ、就任したということです。 北朝鮮の国営メディアは先月 26 日、ピョンヤン市(平壌市)トップのキム・スギル氏を、新たな軍総政治局長として紹介したばかりで、韓国メディアの報道が事実だとすれば、北朝鮮軍の高官 3 人がそろって交代したことになります。

これについて、韓国統一省のペク・テヒョン(白泰鉉)報道官は、4 日午前の定例記者会見で、公式には確認できていないとしながらも、「すべて一度に交代したとすれば異例だ」と述べ、分析を進めていることを明らかにしました。 また、北朝鮮指導部には、非核化が議題となる史上初の米朝首脳会談に向けて、軍部内の強硬派を抑え込む狙いがあるのではないかという見方も出ています。

- NHK 2018 年 6 月 4 日 -


金正恩氏、軍高官を処刑「核開発の苦労が終わった」発言に激怒

北朝鮮の金正恩党委員長の命令により、またひとり朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の将軍が公開処刑されたもようだ。 デイリー NK 内部情報筋によると、今回処刑されたのは朝鮮人民軍の中将で、人民武力省で補給を担当していたヒョン・ジュソンという人物だ。 先月初めの裁判で死刑判決を受け、江健(カンゴン)軍官学校の射撃場で、人民武力省庁舎警務部(憲兵隊)の第 2 大隊第 1 中隊の兵士 9 人から拳銃弾計 90 発を打ち込まれ、処刑された。 同校は、大口径の高射銃を使って人間をミンチにする残忍な処刑が行われてきた場所で、その場面が衛星写真に捉えられたこともある。

幹部らの「やりたい放題」

ヒョン中将の罪状は、職権乱用と利敵行為、反党行為というものだった。 彼は今年 4 月 10 日、戦時物資の総合検閲の際に、西海衛星発射場(ロケット発射試験場)への燃料供給の実態を視察したとき、「もはや苦労してロケットや核兵器を作らなくても済む」と発言した。 この発言が、職権乱用と党の先軍路線に反対する利敵行為とみなされた。

また、燃料 1 トン、コメ 580 キロ、トウモロコシ 750 キロを西海衛星発射場で勤務する軍官やその家族に配給するよう指示したが、これが「党の唯一思想体系確立の 10 大原則」に反する反党行為とみなされた。 この報告を受けた金正恩党委員長は激怒し「個人偶像化の恐ろしい思想毒素が人民軍の高官を変質させている、変質した思想毒素は根絶やしにしなければならない」と述べ、銃殺を命じたと、情報筋は説明した。

金正恩氏は、いったい何に怒ったのか。 まずひとつが、米国から要求されていた非核化を飲むという党・軍・政府の機密事項を、不用意に口にしたということだ。 4 月 10 日と言えば、今年最初の南北首脳会談よりも前である。 それに加え、配給で部下の歓心を買おうとしたと見なされた。 贈り物を「下賜」する行為は、北朝鮮では最高指導者にしか許されていない。 金正恩氏の「お目こぼし」を受けた幹部らが「やりたい放題」を働くことはあるが、超えてはならない一線があるということだ。

このエピソードからは、金正恩氏が「非核化」を求める米韓との交渉に、いかにナーバスになっていたかがうかがえる。 また、金正恩氏は何か大きな事業に取り組むとき、部下らを緊張させるための手段として処刑を用いるとの話もあるが、このケースはそれに当てはまる出来事なのかもしれない。 (高英起)

- Daily NK 2018 年 6 月 26 日 -

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