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金正恩、凋落の始まり (8)

金正恩氏に第 3 子誕生か 「性別は男子」未確認情報も

韓国の情報機関、国家情報院は 29 日午後、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の李雪主(リソルチュ)夫人が今年 2 月に第 3 子を出産したと報告した。 性別は明らかにしなかったが、北朝鮮関係筋は「男子という未確認情報がある」と語った。

北朝鮮関係筋によれば、正恩氏は 2012 年 6 月、銀河水(ウナス)管弦楽団の歌手として活躍していた李夫人と正式に結婚。 2013 年 9 月に訪朝した元米バスケットボール選手のデニス・ロッドマン氏が、「ジュエ」と名乗る正恩氏の娘を抱いたと明らかにしていた。 「ジュエ」が第 1 子なのか第 2 子なのか、もう 1 人の子どもが男なのか女なのかを巡っては、情報が交錯している。 北朝鮮では最高指導者の私生活は最高度の機密とされ、公式な報道は一切ない。 正恩氏は李夫人と 3 人の子どもと一緒に暮らし、家族関係は極めて良好という。(ソウル = 牧野愛博)

- 朝日新聞 2017 年 8 月 30 日 -


習近平は北朝鮮の金正恩を 10 月に見限るのか?

<北朝鮮の金正恩と米トランプ政権の激しい非難の応酬が続き、偶発的な衝突から戦争へ突入するリスクが高まるなか、鍵になると見られているのが中国の習近平の動きだ。 10 月の共産党大会に向け、金正恩を抑え込む手柄を立てられるだろうか?>

国連総会に出席した李容浩(リ・ヨンホ)北朝鮮外相は、25 日帰国前に記者会見を開き、朝鮮半島の海上の国境ともいえる北方限界線 (NLL) を超えて 23 日に飛行した米戦略爆撃機 B-1B を念頭に、「米国が宣戦布告をした以上、我が国の防衛権は、我が国の領空外を飛行する米国の戦略爆撃機を撃墜する権利も含まれる」と発言。 これに対しトランプ政権側は「ばかげている」と一蹴し、「作戦は国際空域で行われたもので、我々は合法的に飛行・航行できる」と今後も同様の活動を行う可能性を示唆。 互いに一歩も引くことのない批判合戦が続いている。

韓国メディア韓国日報は、これまでの言葉と言葉の応酬が、軍事行動の応酬にエスカレートしかねないと報じている。 それによれば、北朝鮮が自衛権を掲げて先制攻撃に出る可能性は低いが、米国の攻撃的な軍事圧力に対する対抗策として、様々な形の武力行使を繰り広げる可能性はかなり高い。 李外相がトランプ大統領の国連演説に対し、同じスタイルで非難を返したように、北朝鮮は「目には目を、歯に歯を」形式の報復対応をこれまで行ってきたからだ。

まず、米軍機が再び NLL を越えれば、国際空域であっても、北朝鮮は対応射撃に乗り出す可能性が大きい。 もともと国連軍側が設定したという経緯から北朝鮮は NLL 自体を認めていない。 そのため北朝鮮は今回 NLL 侵犯を問題視する代わりに報復対応のため「自衛権」を掲げたものとみられる。 「自衛権」という大義名分によって北朝鮮も NLL を超え、韓国側国際空域に戦闘機を侵入させることができる。 一方、 B1-B 爆撃機の NLL 侵犯を口実に NLL 自体の無効を主張し、北朝鮮艦船が NLL を侵犯し挑発する可能性も排除できない。

また、李外相が 23 日、国連演説で「北朝鮮のロケットがアメリカ本土に到達することを避けられなくなった」と威嚇し、大陸間弾道ミサイル (ICBM) や中長距離弾道ミサイル (IRBM) をグアム、ハワイ、または米国西海岸の近くまで飛ばし、米国本土への攻撃能力を誇示することも考えられる。 このようなミサイル挑発が、米国領土や領海を侵犯しなくても、事前予告なく発射された場合、民間航空機や船舶が被害を受ける可能性が存在する。 緊張が高まった状況では、偶発的な事故が戦争の引き金と成り得る。 軍事的な挑発が攻撃意図をもった軍事行動と誤認され、突発的な武力衝突を招く恐れもある。

外交や安全保障の専門家たちが懸念しているのも偶発的衝突と事故による戦争勃発のシナリオだ。  ジェームズ・スタブリディス元 NATO 軍総司令官が LA タイムズのインタビューで「キューバ危機を除けば、現在は歴史上最も核戦争に近づいている」と警告したのも、このような憂慮を代表している。 彼は通常兵器による戦争の可能性が 50%、核戦争の確率が 10% と予想した。

中国国内で「北朝鮮見捨てるべし」の議論

一方で、北朝鮮とアメリカの対立が日ごとに高まるなか、なんとか朝鮮半島における軍事衝突を避けたいと思っているのが中国である。 だが中国の若手学者の間で「中国は朝鮮半島有事に備えるべき」という意見や、さらに突っ込んだ問題提起として「もはや北朝鮮を見捨てるべき」という議論が出てきている。 韓国メディアの東亜日報は以下のように報じている。

最近、中国国内で論争が起きた北京大学国際政治学部長の賈慶国(チア・チンクオ)教授の主張「中国が朝鮮半島の戦争の可能性を認め、米韓との交渉で北朝鮮からの難民対応、および核兵器の処理問題などに備えなければならない」に対して、中国の若手学者たちを中心に賛同する動きが起きている。

また、中国人民大学の成暁河(チョン・シアオホー)教授は香港サウスチャイナモーニングポスト紙のインタビューで「誰が先に攻撃しようと、中国は、自国の国益を保護しなければならない。 国益の被害を最小化するため、早く行動しなければならない。」と語った。 朝鮮半島危機の収拾過程では、中国が最も大きな発言権を持つため、核兵器を除去し、米国が現在のように休戦ライン以南に止まるようにするため、中国が素早く行動する必要があるということだ。 吉林省大学の孫興傑(スン・シンチエ)教授も同紙の取材に対し「中朝国境地域で核兵器や難民危機の可能性に対してきちんと準備しなければならない」と話した。

ただ、孫教授は「北朝鮮はすでに核兵器を持っており、過去において核武装国家間で戦争が起きたことはない」と語り、北朝鮮の核兵器保有を既成事実と認めて戦争の可能性は高くないと見ている。 遼寧省社会科学院の呂超研究員は「北朝鮮からの難民大量流入が大きな懸念」としながらも、「これを議論するのはまだ早い。 不測の事態に備えるための前提条件としては、金正恩政権崩壊の可能性が挙げられるが、我々はそのような兆候をまだ見ることはない。」と朝鮮半島危機説に一線を引いた。

一方、中国当局も朝鮮半島危機の可能性に備えた動きを見せている。 21 日、党中央政治局委員の許其亮中央軍事委員会副主席が、中朝国境地域を管轄している北部の黒竜江省・吉林省・遼寧省の各部隊を視察した。

中国は北朝鮮を再び見限るか?

こうした中国の動きについて韓国側はどう見ているのか。 中国専門家である徐鎮英(ソ・ジンヨン)高麗大学名誉教授は「中国は 1992 年の韓中国交正常化当時、北朝鮮を見放した経験がある。 それが今や若手の学者を中心に "北朝鮮あきらめ論" や北朝鮮に最高の制裁を加えなければならないという "北朝鮮懲罰論" などが台頭してきている。」と語っている。

ただ、一方で外交関係者の間では、米朝間の緊張が最高潮に達する 10 月上旬に、中国がどのような形であれ調停に乗り出すしかないという観測も出ている。  ある消息筋は「来月 18 日に共産党全国代表大会を控えた習近平国家主席が、行き詰まった北朝鮮問題の解決に乗り出し、国際社会に対して自身の存在をアピールするのではないか」と予測した。 国連安保理決議による経済制裁も、トランプ政権との間で高まる軍事衝突の外交的回避も、すべては習近平の思惑にかかっているようだ。

- NewsWeek 2017 年 9 月 28 日 -


中国、中朝合弁に閉鎖を要求 制裁履行で米牽制か

中国商務省は 28 日、国連の安全保障理事会決議に基づいて、北朝鮮の企業や個人が中国で設立した合弁企業などに対し、11 日の決議から 120 日以内に閉鎖するよう求めた。 安保理決議という国際社会の合意を得た制裁について率先して実施を表明することで、北朝鮮を孤立させるため単独制裁を進めるトランプ米大統領を牽制する狙いがあるとみられる。 今回の措置では、北朝鮮企業のほか、中国企業が外国で北朝鮮の企業や個人とともに設立した合弁会社なども対象になる。

北朝鮮と接する中国東北部の遼寧省や吉林省には、服飾や食品加工などの製造業や貿易業、北朝鮮系レストランを経営する飲食業などで中朝の合弁企業がある。 中朝貿易に長く携わる貿易商によると、こうした企業は北朝鮮の外貨獲得源である一方、中国側も北朝鮮労働者を受け入れやすく、人件費を抑制できるメリットがあった。 ただ規模は小さく、地域経済への影響は限定的とみられる。

中国は 22 日にも安保理決議に基づき、10 月から北朝鮮への石油精製品の輸出制限や繊維製品の禁輸などを実施すると発表している。 今後、決議に含まれているものの、中国が態度をあきらかにしていない北朝鮮への原油の輸出制限や、北朝鮮労働者の契約更新禁止などについても履行が発表される可能性がある。 北朝鮮をめぐっては、ティラーソン米国務長官が訪中し、30 日にも王毅(ワンイー)外相らと会談。 トランプ氏の 11 月訪中をにらんで、中国側と圧力強化について話し合う予定だ。 中国政府はこうした機会を前に、話し合いの環境を整える意味合いもあるとみられる。 (北京 = 福田直之、瀋陽 = 平賀拓哉)

- 朝日新聞 2017 年 9 月 28 日 -

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