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北朝鮮の生活と経済 (30)

金正恩氏がキノコ工場視察 「党の国産化方針を貫徹」

【北京】 朝鮮中央通信は 8 日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が平壌のキノコ工場を視察したと報じた。 日時は伝えていない。 工場は金氏が建設を提案し、昨年 10 月に完成したという。 金氏は、工場設備が国産の技術と資材でつくられたと指摘し「党の国産化方針を徹底的に貫徹した」と評価。 「わが国をキノコの国にするのは党の確固たる決心だ」と述べ、「キノコ栽培でも世界を圧倒するという目標を立てて技術レベルを高める」よう指示した。 朴奉珠首相や趙甬元党副部長らが同行した。

- 共同通信 2017 年 4 月 8 日 -


中国国際航空、北京 - 平壌便の運航を停止へ

ロンドン : 中国国際航空が北京と北朝鮮の平壌を結ぶ便の運航を 17 日から停止することが分かった。 中国国営メディアが伝えた。 中国国際航空は CNN の取材に、売り上げ低迷のため一時的に運行を停止する措置を取ると言及。 「乗客の需要に基づきこの路線の運行スケジュールを調整するつもりだ」と述べた。 ただ、今回の運航停止措置は、朝鮮半島での緊張が高まる中で講じられるものだ。 核兵器や弾道ミサイルの開発を進める北朝鮮は、開発への取り組みを抑制するよう求めるトランプ米政権からの一層の圧力に直面している。

中国国際航空が公表している時刻表によると、同社は北京・平壌間の往復便を週 3 便運航していた。 ただ、この数カ月は運航便数が減少していた。 今回の運行停止により、北朝鮮と外の世界を結ぶ主要な経路のひとつが断たれる可能性もある。 他には北朝鮮の国営航空会社、高麗航空が平壌と中国の北京や瀋陽を結ぶ定期便を運航している。

米国やその同盟国は長年、北朝鮮政府の資金源を断ち、同国を世界の金融システムから切り離す試みを進めてきた。 中国は北朝鮮経済の柱で、同国の対外貿易の 80% 以上を占める。 北朝鮮の最大の外貨獲得源は、中国に輸出する石炭だとみられている。 トランプ米大統領は 11 日、「北朝鮮問題を解決する」よう中国に求める一連のツイートを投稿。 これに対し北朝鮮国営の朝鮮中央通信 (KONA) は朝鮮人民軍報道官の声明として、北朝鮮は「無謀な」トランプ政権による軍事・経済・政治上のいかなる敵対的な動きにも「無慈悲な」対応を取ると警告した。

- CNN 2017 年 4 月 15 日 -


北朝鮮の「慰安婦像」計画、金正恩氏が不許可 「日本を刺激するな」

韓国の市民団体が、ソウルの日本大使館前などに建て注目を集めてきた平和の少女像。 日本軍の従軍慰安婦被害者を象徴するもので、小さいものまで含めると韓国の国内外 50 ヶ所以上に立てられている。 北朝鮮でもこれと同様の像を建てようとする動きがあったが、金正恩党委員長が中止させたと、米政府系のラジオ・フリー・アジア (RFA) が北朝鮮国内からの情報に基づいて伝えている。

韓国を孤立させたい

北朝鮮では昨年 6 月、朝鮮戦争の開戦記念日に合わせて思想教育の「中央階級教養館」が開館した。 RFA が咸鏡北道(ハムギョンブクト)のメディア関係者の話として報じたところでは、朝鮮労働党宣伝扇動部は当初、この施設の入口脇に慰安婦の銅像を建てることを計画。 複数の図面を作成して、金正恩氏の裁可を得ようとした。 ところが、正恩氏はこれを不許可とし、さらには日本軍の行った様々な残虐行為を示す展示内容を大幅に減らすよう指示したという。

その結果、同施設の展示物は米国を非難する内容のものが大部分を占めることに。 宣伝扇動部の内部では「名前を『階級教養館』から『反米教養館』に変えたほうがいいのではないか」との声が上がるほどだったという。 正恩氏はなぜ慰安婦像の建設に反対したのだろうか。 北朝鮮の国境地域の司法機関の関係者によると、その理由は次のとおりだ。

実は、前国家保衛相を務めた金元弘(キム・ウォノン)氏も、党宣伝扇動部とは別に、慰安婦像の設置を金正恩氏に提案していたという。 中国よりも先に慰安婦像を建てるべきではないか、との理由からだ。 中国では昨年 10 月、上海師範大学が、構内にあった上海慰安婦博物館を拡張する形で中国慰安婦歴史博物館を開館させ、入口に慰安婦の像を設置している。

ところが正恩氏は「国家保衛相が関与する案件ではない」として金元弘氏の提案を一蹴し、「国家保衛省は手段を選ばず、日本と南朝鮮(韓国)が国防と技術の分野で協力できないように仲違いさせよ」と指示した。 さらに正恩氏は「日本との関係を改善し、過去の植民地支配に対する賠償金を得て、韓国を孤立に追い込みたい。 そのためには日本をむやみに刺激することは控えるべきだ。」と述べたとのことだ。

北朝鮮当局も女性虐待

以上のような RFA の報道内容が、どれだけ正しいものであるかは慎重に見極める余地がある。 確かに、正恩氏は日本の大阪にルーツがあることもあり、北朝鮮の他の幹部たちとは異なる日本観を持っている可能性はある。 北朝鮮メディアは歴史問題で日本を繰り返し非難しているが、言葉で言うのと、象徴となるモノを残すのとでは、世論や国民感情への作用が異なることは韓国の少女像の事例が見せてくれている。 自国のメディア戦略に直接タッチしていると見られる正恩氏だけに、その辺は心得ているのかも知れない。

ただ、慰安婦にせよ拉致被害者にせよ、国家によって生活を蹂躙された被害者の人権は等しく救済されるべきであり、そのために必要なことは何であれなされるべきだろう。 しかし、北朝鮮では現在も、女性に対する権力による深刻な人権侵害が続いている。 その状況を放置している金正恩体制が仮に慰安婦像を設置したとしても、そこに真摯なものを認める向きは、世界に誰ひとりいないのではないか。

- Daily NK 2017 年 5 月 19 日 -


「暴動が起きても不思議じゃない」北朝鮮国民、金正恩氏の指示に抵抗

北朝鮮の金正恩党委員長は、2015 年の新年の辞で「森林の回復戦闘を力強く繰り広げ祖国の山々を緑の森に覆われた黄金山に転換させなければならない」と述べ、「全国樹林化」、つまり個人耕作地を没収し、そこに木を植えるという政策を始めた。 背景には、後述するような失政による国土の荒廃があるが、強引なやり方は住民からの抵抗に遭い、「暴動が起きてもおかしくない」との声も上がっている。 かつての北朝鮮では考えられなかったことだ。

そして植林が遅々として進まない中、北朝鮮当局は、国民が国土の至る所に作った個人耕作地を没収し、木を植える方針を改めて示した。 反発の声は今まで以上に強まっている。 両江道(リャンガンド)のある地域の デイリーNK 内部情報筋によると、このような方針は最近開催された人民班(町内会)の会議で伝えられた。 普段は会議に参加しない住民が多いが、今回ばかりは生活と直接関係した内容であるため、全世帯が参加した。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)の内部情報筋も、最近同様の方針が伝えられ、個人耕作地だったところにカラマツとマツを植える作業が行われていると伝えている。 ことの発端は、1974 年に金日成主席が提示した「全国土段々畑化計画」にある。 農業生産を増やすことが目的だったが、「単純に耕作地を増やせば、生産量が増える」という生兵法だったため、著しい弊害を生んだ。

行き過ぎた段々畑の造成は、山林の破壊、自然災害(とくに水害)の多発、農業生産の減少、そしてついには 1990 年代の大飢饉「苦難の行軍」を招いた。 国の配給システムが崩壊し、食べ物に窮した人々は、生き残るためにさらに山を切り開き、畑を作った。 このような過度な個人耕作地の造成が国土の荒廃をもたらし、山崩れや洪水の原因となっているのは確かだ。 しかし、個人耕作地に頼って暮らしている人が多い状況を無視して土地を没収し、木を植えるとなれば、強い反発が出るのは当たり前のことだ。

住民の間からは「根本的な問題を解決せずに奪うとはありえない」、「配給もくれない上に、自分の力で生きていこうとすることすら踏みにじるのなら、誰がこんな国に残ってやるか」と強い反発の声が上がっている。 個人耕作地の没収を伝える人民班の会議では怒号が飛び交い、「他の国だったら暴動ものだ」と声も聞かれたという。 北朝鮮の国民がかげで指導者を嘲笑するのはこれまでにもあったことだが、公の場でこのような発言が漏れるとは驚きである。

会議に参加した 70 代女性は「配給がなくても不平不満を口にしなかったのは、自分で畑を耕して自給自足できたからだ。 畑を奪うことは命を奪われることに等しい。」と不満を述べた。 あまりに激しい反発に、行政機関は世論をなだめようと苦慮しており、次のようなことをふれ回っているという。 「農業科学院が、狭いところでも充分な収穫が得られる種を開発した。 市中で売られているものだ。 それさえ植えれば今までより楽に高い生産量が確保できる。」

一方で、個人耕作地を没収する方針を変えることはないようだ。 植林は金正恩氏の指示であるため、逆らうことは不可能だからだろう。 「畑のあったところに木を植えよ」との指示を受けた人々は、植えるフリだけしたり、すぐに引っこ抜いて畑を作り直したり、畑を隠すように周りにだけ植えたり、放置して枯らせたりなど、様々な形のサボタージュで抵抗している。 個人耕作地で作られた作物は市場にも供給されており、価格の相場に影響を与えるほどになっている。 供給が途絶えれば、食糧難も招きかねない。 また、現金収入が減れば、消費が落ち込み、地域経済に深刻なダメージを与えるだろう。

- Daily NK 2017 年 6 月 20 日 -

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