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豊 か さ と 幸 せ の 基 準 - フィリピンの場合 (2)

フィリピン大統領ドゥテルテ氏の価値観

フィリピン諸島の西面に中国の軍事基地が生まれる可能性が高いにもかかわらず、同国大統領の最大関心事は、イスラム教徒を中心とする反政府運動の撲滅にあるようです。 その撲滅の為には、超法規的な対応も辞さないようで、それを "人権無視" の施策と、米国や人権団体が批判すると激しく反発しました。

どうも、幼少期に受けたトラウマ(駐留米軍による現地住民の殺害)を抱えておられるようですが、その彼の視点、さらにはフィリピン国民の思いから見ると「豊かさと幸せの基準」は、我々が共有するものとは明らかに違うことがよく解ります。 とても「想定外発言」などと言うことなどできません。

比大統領また想定外発言 オバマ氏の面前、人権巡り持論

8 日に開かれた東アジアサミットで、フィリピンのドゥテルテ大統領が米国統治時代のフィリピンの状況にふれ、人権問題で「持論」を展開した。 複数の出席者が明らかにした。 オバマ大統領に対する「暴言」で 6 日に首脳会談が延期になったばかりだが、再び想定外の発言が飛び出した。

ドゥテルテ氏はオバマ氏の発言の直後に「人権について話しましょう。 これが私の祖先が殺されたときの姿です。」と言って写真を見せ、「人権について話すなら(過去も含めた)全体を議論すべきだ。 環境、汚染について諭すあなた方も数十年にわたって空気を汚してきたじゃないか。」と述べたという。 写真は、同氏の故郷フィリピン南部ミンダナオ島で米統治時代に起きた米兵の住民殺害の様子とみられる。 オバマ氏の顔を直視して話していたという。

麻薬犯罪の容疑者が多数殺害されるのを容認しているとして、米国や国連から批判されているドゥテルテ氏は、麻薬についても言及。 「米国などの国々はこの問題について何もしていない」と話し、「麻薬中毒者のリハビリ施設支援を提案してくれた中国の助けを待っている」と続けた。 政府は南シナ海問題についての発言内容を用意していたが、これを完全に無視し、持ち時間の 6 分以上にわたり持論を展開した。(ビエンチャン = 鈴木暁子)

- 朝日新聞 2016 年 9 月 9 日 -


比大統領、駐留米軍の撤退を要求 対米関係さらに険悪に?

【マニラ】 フィリピンのドゥテルテ大統領は 12 日、同国南部に米軍顧問らが巡回駐留していることでイスラム過激派組織アブサヤフの格好の標的になっていると訴え、顧問らの撤収を要求した。

ドゥテルテ氏は数々の暴言で知られているが、この発言はすでに険悪化しているフィリピンと米国との関係をさらに悪化させる可能性が大きい。 オバマ大統領は先週、ラオスで開催された東アジアサミットを機会にドゥテルテ氏と会談する予定だったが、同氏がオバマ氏を侮辱的な言葉で罵り、米国がかつてフィリピンを植民地支配していたことを非難したことから、会談を取りやめた。 オバマ氏は、ドゥテルテ氏が麻薬取り締まりで人権を侵害していると問題視しており、ドゥテルテ氏がそれに対する反論を展開している中で、この発言が飛び出した。

ドゥテルテ氏は、公務員の宣誓就任式典で演説した際、「米軍がフィリピンに駐留している限り、決して平和は実現できない」と断じ、「米軍が駐留を続ければ、アブサヤフ掃討作戦の危険性をさらに高める恐れがある」と警告した。 治安問題専門家によれば、アブサヤフの戦闘員は約 300 人と推定されている。

ドゥテルテ氏の発言は同国の政治家から批判を浴びている。 元海軍将校のアントニオ・トリラネス上院議員は、ドゥテルテ大統領は感情に流されていると批判した。 同議員は声明で、「大統領は反米感情を基にわが国の安全保障政策を手直しすべきではない」とし、「フィリピンに駐留している米軍特殊部隊は、フィリピン軍の強化や向上に役立っている」と強調した。

米軍は 2002 年以降フィリピン南部に巡回駐留し、対アブサヤフ作戦に従事するフィリピン軍への訓練や助言に当たっている。 アブサヤフは国際テロ組織アルカイダの系列組織だが、最近になって過激派組織「イスラム国 (IS)」への忠誠を宣誓した。 アブサヤフとその同調者は、9 月初め南部ダバオ市で発生し 14 人の犠牲者を出した爆弾テロについて犯行を認めた。 同市は、ドゥテルテ氏がかつて市長を務めていた。

米軍は、フィリピン軍と合同のアブサヤフ掃討作戦に、ピーク時には 1,000 人強の兵力を投入していたが、2015 年に同作戦は公式に終了した。 だが現在も数少ない米軍の顧問や技術支援チームが南部に残留している。

ドゥテルテ氏は、米国との緊密な関係は重要だとしながらも、米国は過去の行き過ぎた行為について責任があると強く主張している。 12 日の演説でも、米・スペイン戦争後の 20 世紀初頭、米軍が行ったフィリピン南部の平定作戦中に、米軍兵士がイスラム教徒の集団墓地を見下ろしている写真を示してから、残留している米軍部隊の撤収を要求した。

ドゥテルテ氏の報道官は声明で、同氏は米国に対し、フィリピン南部のイスラム教徒に残虐行為を働いたことを償うよう求めていると述べた。 ドゥテルテ氏は、米国の過去の蛮行が、アブサヤフがテロ活動を続けている根源的な理由の 1 つであると指摘した。 同報道官は「ドイツはホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を悔い償い、日本は占領時代の残虐行為に対し補償した。 米国がこの問題に口をつぐんでいるのは、『道義』に背くことだ。」と主張した。 (Cris Larano)

- The Wall Street Journal 2016 年 9 月 13 日 -


フィリピン大統領、自身をヒトラーになぞらえ「喜んで虐殺する」

【ダバオ/フィリピン】 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領 (71) は 30 日、自らの掲げる「麻薬撲滅戦争」をナチス・ドイツの指導者アドルフ・ヒトラーによるユダヤ人大虐殺になぞらえ、数百万人の麻薬中毒者を「喜んで虐殺する」と発言した。 ドゥテルテ大統領はこの日、ベトナム訪問から帰国し地元ダバオで演説。 「ヒトラーは 300 万人のユダヤ人を虐殺した。 (フィリピンには)現在 300 万人の麻薬中毒者がいる。 私は喜んで彼らを虐殺しよう。」と語った。

さらに「少なくともドイツにヒトラーが現れたのだから、フィリピンにも現れるだろう」と述べ、一旦間を置いた後、全ての犯罪者を犠牲にしても「わが国の問題を終わらせ、次の世代を破滅から救いたい」と続けた。

ドゥテルテ大統領はまた、自分がジェノサイド(集団虐殺)の罪で国際法廷に引き出される恐れがあるとの見方を示した上で、フィリピンの法律には一切違反していないと主張し、「ばかげている」と一蹴。 その上で、中東から拡大した移民危機に対する欧州連合 (EU) や米国の無策ぶりを攻撃し「米国よ、EU よ、私のことを何と呼ぼうが構わない。 だが私は、これまでもこれからも、お前たちのような偽善には陥らない」と述べた。

ドゥテルテ氏は 5 月の大統領選で、10 万人を殺害する前代未聞の「麻薬撲滅戦争」で社会にまん延する麻薬を一掃すると公約して圧勝。 大統領就任から 3 か月で、国内では 3,000 人以上が死亡している。

- AFP 2016 年 9 月 30 日 -


「犯罪者は殺せ」 支持率 91%、比ドゥテルテ氏の実像

国連事務総長を「ばか」と呼び、暴言でオバマ米大統領との会談をおじゃんにする。 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ新大統領 (71) の言動が物議を醸している。 9 月末にはナチス・ドイツの大虐殺(ホロコースト)を持ち出し、「私も麻薬中毒者を喜んで殺したい」と発言。 4 日には、またオバマ氏を「地獄に行け」とののしった。 変わり者に見えるが、国内人気はきわめて高い。 なぜなのか。

「中国が支配する島の近くに水上バイクで行き、旗を立てる」、「犯罪者は殺してマニラ湾の魚のえさにしてやる」。 昨年 11 月下旬、他候補より遅れて大統領選に立候補したドゥテルテ氏は、過激な発言で国民の心をつかみ、今年 5 月の選挙で大勝した。

もともと名物市長だった。 検察官を経て 1988 年、「犯罪撲滅」を掲げ、強盗や殺人が頻発していた南部ミンダナオ島ダバオ市長に当選。 大型バイクを乗り回し、犯罪者の射殺も辞さない取り締まりで「ダバオのダーティハリー」と呼ばれた。 市長を務めた計 22 年間で同市を「フィリピンで最も安全な都市」にしたと胸を張る。 ドゥテルテ氏は関係を否定するが、「安全」の裏には犯罪者を法で裁かずに殺す「暗殺団」の存在があるとも指摘される。

大統領になっても麻薬取り締まりに強硬な手法を持ち込んだ。 麻薬で人生を壊された人たちを、ダバオで目の当たりにしたのがそもそものきっかけと言われる。 「最初の半年はかなり血なまぐさいことになる」と宣言した通り、6 月 30 日の就任以降、すでにフィリピン全土で 1,375 人の麻薬犯罪の容疑者が警官に殺害された。 取り締まりの際、容疑者から命に関わる抵抗にあった場合は警官も攻撃でき、罪に問われないとされているためだ。 このほか自警団による殺害や売人同士の「口封じ」によるとみられる死者は 2,250 人にのぼる。

裁判を経ずに容疑者が殺される事態を国連や欧米諸国は「人権問題だ」と批判する。 だが、市民の受け止めは少し違うようだ。 マニラのタクシー運転手、ビリャーさん (47) は「麻薬中毒者だから殺されても仕方ない。 おかげで運転手仲間から強盗被害を聞かなくなった。 ドゥテルテは解決策を出してくれる。」と評価する。 30 代の男性は「麻薬、渋滞、貧困をなくすと政治家に聞かされ続けたが、何も変わらなかった。 ドゥテルテならできる。」

調査会社による 7 月初旬のドゥテルテ氏の支持率は 91%。 フィリピン政治に詳しい高木佑輔・政策研究大学院大学助教授は「彼は地方でキャリアを積んだ政治家。 マニラ出身の特権層が支配してきた政治に反感を持つ人たちの共感を得たのではないか。」 演説をすればきわどい冗談を織り交ぜて笑いを誘い、市井の人と同じ言葉で話す。 報道陣にも「大統領じゃなくフィリピンの『市長』と呼んでくれ」といい、市民に身近な存在であろうという思いがにじむ。

ただし、外交の場ではそれが弱点になっている。 9 月 5 日、麻薬取り締まりの手法に批判的な米オバマ大統領について問われ、「(現地語で)母親は売春婦」、「指図するな」と吐き捨て、南シナ海問題を話し合うはずの首脳会談の延期を招いた。 同 12 日にはテロ対策の名目でミンダナオ島に巡回駐留する米軍部隊について「出て行かなくてはならない」と述べ、米軍駐留の是非にまで踏み込んだ。

問題発言が国を代表する声として発信され、外交や経済に与える影響を地元メディアも問題視している。 高木助教授は「彼はやはり『市長』。 国民向けのメッセージで、外交相手に向けた言葉になっていない。 1 年くらい経験を重ねないと大統領としての外交手腕は測れないだろう。」とみる。 ドゥテルテ氏は 10 月下旬に来日し安倍晋三首相と会談する見通しだ。 高木助教授は話す。 「ドゥテルテ氏は親日的と聞く。 ただ『麻薬戦争』については日本でも関心が強く、これを批判されれば暴言が飛び出すかもしれない。 大統領の『不規則発言』に左右されない骨太の会談を期待したい。」(マニラ = 鈴木暁子)

- 朝日新聞 2016 年 10 月 4 日 -


フィリピン、米国と「決別」 = ドゥテルテ大統領

[北京] フィリピンのドゥテルテ大統領は 20 日、訪問中の中国で、米国と「決別」すると表明した。 張高麗副首相が出席して北京の人民大会堂で行われたビジネスフォーラムでの発言。

- Reuters 2016 年 10 月 20 日 -


「米国に犬のような扱い」ドゥテルテ氏、安倍首相に心情

米国に犬のように扱われている - -。 来日中のフィリピンのドゥテルテ大統領は 27 日、前日の安倍首相との首脳会談で、米国に対するこんな自身の思いを語ったことを明らかにした。 記者団の取材に答えた。 米軍の再駐留を可能にする軍事協定を見直したい考えも改めて示した。 ドゥテルテ氏は、安倍首相からこれまでの「反米発言」の真意を聞かれたと明かし、「単なるうわさだから気にしないで」と言ったと説明。 そのうえで「犬のように(米国に)パンを遠くに投げられる。 問題があるたびに『援助を止める』と言われる。」と個人的な感情を伝えたと語った。

ドゥテルテ氏は 26 日の講演で「今後 2 年で外国軍の支配を受けないよう、出て行ってほしいと考えている」と米国との軍事協定見直しを示唆した。 27 日の取材では「私は軍事協定を見直し、(米軍に)出て行くように求めるかもしれない」と述べた。 ただ、アンダナール広報担当相は 27 日、朝日新聞などに「協定は廃止しない」と否定。 2 年という期間について「詳細はわからない。 閣僚間では情報共有されていない。 新しい方針だ。」と述べた。 ドゥテルテ氏個人の意見と政府見解のにずれがある模様だ。

また、ドゥテルテ氏は取材に、アキノ前政権が検討していた自衛隊の比軍基地の利用を可能にする日本との「訪問軍協定」の締結も、「難しい」と述べた。 一方、アーネスト米大統領報道官は 26 日の会見で反米的な発言が両国関係を「不必要に不安定にしている」と不快感を表明。 フィリピン政府から同盟関係の変更を求める「公式の要請はない」と明らかにし、一連の発言は「70 年にわたる強固な同盟関係と相いれない」と指摘した。

11 月にペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議 (APEC) 首脳会議の期間中の米比首脳会談を行う可能性については「直前に中止された例もある」と述べた。 9 月にラオスで予定されていた初会談は、ドゥテルテ氏の暴言が原因で直前に中止されている。 (鈴木暁子、ワシントン = 峯村健司)

- 朝日新聞 2016 年 10 月 27 日 -


フィリピンの麻薬戦争「無関係の便乗殺人が 2 千件」

フィリピン国家警察のデラローサ長官は 8 日、麻薬犯罪絡みだとみられていた殺人事件約 3,500 件について、約 3 分の 2 は麻薬とは無関係だったとの調査結果を明らかにした。 「『麻薬戦争』に便乗したものだ」と指摘している。 現地放送局 GMA ネットワークが報じた。 麻薬捜査に力を入れるドゥテルテ政権発足後の 7 - 11 月に報告された殺人事件 3,524 件(3,841 人が死亡)の背景を国家警察の監視委員会が調べた結果、麻薬密売人や使用者らが関わる事件は 1,081 件だけだったという。 デラローサ長官は「2 千件以上は個人的な理由による殺人。 プロを雇った殺害もありうる。」と述べた。

フィリピンでは遺体のそばに「密売人」などと書いた紙が置かれた殺害事件が相次いでいるが、麻薬関係者に見せかけた殺害が頻発している可能性がある。 一方、議会上院は 7 日、「麻薬戦争」における法手続きを踏まない殺人について調べた結果、「麻薬犯罪撲滅を目的に、国が殺害を指示した事実は証明できない」とする報告書を公表した。 ドゥテルテ氏が長く市長を務めた南部ダバオ市で、犯罪者を殺害しているとささやかれる「暗殺団」についても、存在は認められないとした。

ただ、報告書はドゥテルテ氏について「大統領の言葉や行いは人々の模範でなければならない」と記し、殺害を促していると受け止められないよう配慮を求めた。 ドゥテルテ氏は「犯罪者は殺してもいい」などと公言してきた。 (ハノイ = 鈴木暁子)

- 朝日新聞 2016 年 12 月 8 日 -


ドゥテルテ氏「私個人で容疑者殺害した」 人権団体批判

フィリピンのドゥテルテ大統領が、南部ダバオ市長時代に自ら犯罪容疑者を殺害したと発言し、波紋を呼んでいる。 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは 14 日、「警察や自警団による超法規的殺人をさらに促すものだ」と批判。 大統領弾劾に相当するとの見方も出ている。 ドゥテルテ氏は 12 日、ビジネス関係者を前に演説し、「ダバオでは私個人で(殺害)した。 私ができるのになぜ君たち(警察官)にできない? と見せるためにだ。」と発言。 さらに、「大型バイクで市内を回り、トラブルがないかパトロールした。 殺すために探し回った。」とも述べた。

発言についてアムネスティは、フィリピンではドゥテルテ氏就任後の 7 月から計 5 千人以上が非合法に殺されているとし、「大統領は違法な殺害を止める明確なメッセージを出し、比政府は暴力の誘発に終止符を打て」と促した。 ドゥテルテ氏の政敵で元比人権委員会委員長のレイラ・デリマ上院議員は 15 日、CNN フィリピンの番組に出演し「大量殺害は大罪であり、憲法下では弾劾の根拠になる」と指摘、強く批判した。

ドゥテルテ氏は「麻薬犯罪者は殺してよい」と繰り返し、殺害に関与した警官らを罪に問わないと述べてきた。 一方、麻薬関係とみられた殺人事件の約 3 分の 2 にあたる 2 千件以上が麻薬と無関係だったとの報告もあり、同氏の方針を隠れみのにした殺人が横行している恐れがある。 (マニラ = 鈴木暁子)

- 朝日新聞 2016 年 12 月 15 日 -

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