=== 産業界への影響 (a-2) ===

官民の不動産投資ファンド、政府が設立方針 耐震化促す

政府は、オフィスビルなどの建て替えや改修の事業に投資する官民共同のファンドをつくる方針を固めた。ファンドの資金を活用して古くなったビルの建て替えを促し、耐震性を確保してエネルギー効率を高めるほか、地域経済の活性化につなげる目的もある。 民間の出資なども合わせたファンドの規模は検討中だが、今年度補正予算案に国が出資する費用として数百億円を盛り込む方向だ。

投資対象は、老朽化で耐震性が十分になかったり、省エネ性能が低かったりするオフィスビルや商業施設などを想定している。 建て替えや改修を進める事業に対し投資することで、市街地や幹線道路沿いなどにある古い建物の耐震化を進めるねらいがある。 また、地方都市の中心市街地で空いたままの土地などに、新しくビルを建てる事業への投資なども検討している。 具体的な投資の対象やファンド運営の仕組みなどは今後、詰める。 (asahi = 1-6-13)

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続く節電要請・逃げる企業 … 関電管轄内企業の「今後も節電継続」の場合の対応は?

大阪商工会議所は 2012 年 9 月 6 日、同年 9 月 6 日に終了した関西電力管轄内の夏期節電要請期間(2010 年夏期比で 10% 減)にあたり、商工会議所に属する企業へ行った、節電周りの調査結果を発表した。

それによると調査母体においては、仮に来年以降も今夏と同様の節電要請が続いた場合、「対応策として」人件費以外のコストカットを検討する企業が 3 割近くに達することが分かった。 また他電力管轄での生産を行う・拡大するなど「他地域への移転」は 2 割近く、「海外への移転」は 1 割強の企業が検討すると回答している。

今調査は 2012 年 8 月 23 日から 9 月 3 日にかけて大阪商工会議所の役員・議員会社に対して行われたもので、有効回答数は 82 社。 今夏において関西電力管轄では、2010 年夏比で 10% 減の節電「要請」が行われた。 この「要請」に対し、企業側ではどのような対応をしたのかを聞いた。 「照明機器の調整」、「空調調整」が上位 2 位で、それぞれ 9 割を超えていた。

次いで多いのは「OA 機器の調整」。 プリンタなどへの不使用時の電源オフやバッテリー活用、待機電力を使わないための小型外付けスイッチの採用などがそれ。 さらに LED などをはじめとした「省エネ設備・備品への切り替え」が続く。 上位項目はいずれも「普段から良く使う」、「すぐに実施できる」、さらに上位 3 位に限れば「経費がかからない」というメリットがあげられよう。

これらの節電アクションだが、多かれ少なかれ企業には負担となっている。 もちろん負担は少ない方が良い。 そこで仮に来夏以降も今夏のように、2010 年夏比で 10% 減の節電「要請」が行われた場合、企業としては「その節電要請に対して」どのような対応を取る、取らざるを得ないと判断するだろうか。 特に対策は取らない、つまり今夏の節電を経験した上で、新しいアクションを起こすほどのものではないと判断によるもの。 これが 29.3%。

一方で何らかの行動を検討する企業では、人件費以外のコスト削除を選ぶところが多くなる。 大きな問題となるのは、「他電力管轄での生産実施・拡大(国内他地域への移転)」、「海外生産の実施・拡大(海外移転)」を検討する企業が 18.3%、14.6% にも達している。

さらに「海外からの部品調達比率拡大」、「国内他電力管轄からの部材調達比率拡大」まで合わせると、「検討」段階ではあるものの、少なからぬ企業が全体、あるいは一部を関西電力管轄外に移動させることを考えている結果となる。 店舗・工場移転はもちろん、調達元を関電管轄から別管轄に移動しただけでも、関電管轄内の経済には打撃となる。

当然至極の話ではあるが、(移動などの対応が可能な体力のある)大企業・(大きな影響を受けやすい)製造業者ほど積極的な「避難」行動を模索しているのが分かる。 企業規模別では中小企業の 2 - 3 倍ほどの値が大企業につけられているし、製造業には非製造業と比べ大きな違いを見せている。 特に製造業では「引っ越し」先が国内外を問わず、(一部)移転を 4 割近い企業が考えており、同地域内の製造業が危機的な状況にあることが理解できる。

今件はあくまでも「検討」であり、「絶対に実行する」ではない。 一方で節電要請の内容次第で、大きく値は上下していくことは間違い無い。 中には「地域密着型の業態なので移転は無理」とする企業もあるだろうが、「18% が国内他地域への移転・依存度拡大」、「15% が海外への移転・依存度拡大」を考えているという事実は、特に製造業に対する「節電」の影響力の大きさを改めて認識するのには、十分すぎる値といえよう。 (Garbagenews.com、サーチナ = 9-8-12)

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大学・大学院生、原子力離れ 産業先細りで就職に不安

東京電力福島第一原発事故の影響で、原子力を専攻する学生が減っている。 朝日新聞が、専攻のある全国の大学と大学院に調査したところ、入学志望者数が全体で約 1 割減った。 事故による原子力へのイメージ悪化に加え、原子力産業の先細りで就職に不安を感じている側面もあるようだ。

朝日新聞は「原子」という単語が入る学科、専攻のある全国 3 大学と 7 大学院に事故前の 2011 年度と事故後の 12 年度の入学志望者数を取材した。 結果、新設を含む 3 校が増加、7 校が減少し、全体では 804 人から 1 割以上減って 713 人になった。 特に、13 基の原発が立地する福井県にある福井工業大は、志望者数が 11 年度の 60 人から、12 年度は 24 人に激減。 入学者数も設置当初の 10 人から 11 年度は 34 人にまで増えたが、12 年度は 10 人だった。 (asahi = 6-1-12)

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暑さに強いコンピューターサーバーで 15% 節電 NEC

NEC は 16 日、周囲の気温が 40℃ でも正常に動くコンピューターサーバーシステムを企業向けに売り出した。 従来製品は 35℃ までだったが、風が通り抜けやすい構造にして冷却能力を高めた。 サーバーは高温になるほど動作が不安定になるため、夏場もエアコンで室温をより下げる必要があった。 新製品は、最大で 15% の節電が可能になるという。 (asahi = 5-16-12)

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電力不足、ガス給湯に追い風 リンナイが最高益

ガス給湯器大手リンナイ(名古屋市)が 11 日発表した 2012 年 3 月期決算は、営業利益が前期比 5.5% 増の 266 億円、純利益が同 8.4% 増の 168 億円で、ともに過去最高となった。 電力不足でガス給湯器の販売が大きく伸びたため。 13 年 3 月期も最高益の更新を見込む。

東京電力福島第一原発の事故以降、ライバルである電気給湯器の拡販にブレーキがかかり、「その分の需要も取り込めた(内藤弘康社長)」という。 また、新型ガス給湯器「エコジョーズ」の工場を愛知県瀬戸市に、35 億円を投じて新設する計画も発表。 10 月から稼働させて、生産能力を現在の 2.5 倍にあたる年 70 万台まで順次引き上げていく方針。 (asahi = 5-12-12)

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節電の夏へ走り出す企業 自家発電・作りだめ … 対策次々

大阪市淀川区の武田薬品工業大阪工場。 大型連休で多くの製造業が休む中、5 日も製造ラインを動かした。 休むはずだったが、関西電力大飯原発 3、4 号機の再稼働の見通しが不透明になった 4 月上旬、「連休返上」を決めた。 今のうちに「作りだめ」しておけば、真夏の操業を減らして電力を抑制できる。

工場や研究所には、50 億円を投じて自家発電機を夏までに設置する。 大阪工場で作っている薬を、夏までに中国電力管内の山口県光市内の工場でも作れるよう検討を始めた。 「医薬品の品切れは、患者の生命に関わる可能性もある。(広報)」

▽ 操業時間を昼間から夜間にずらす(新日本製鉄)、▽ 勤務時間を 1 時間前倒しするサマータイムを実施(ダイエー) - -。 経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)は原発の再稼働を強く政府に求めているが、「原発ゼロ」が視野に入り、企業は限られた電力を有効に活用する方法を模索し始めている。 (asahi = 5-6-12)

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節電効果あり 始業時間早める企業、相次ぐ

2 日午前 7 時過ぎ。 東京都港区の森永乳業本社では、通常より 1 時間早い午前 8 時の始業時間に合わせ、社員らが続々と出社してきた。 同社は、東電が企業向け料金を今月から平均 17% 引き上げる措置を受け入れる。 これに伴って節電のため、夏場の始業を早める「サマータイム」の導入を決めた。 昨年も 3 月下旬から 9 月まで本社と一部事業所の約 700 人を対象に実施。 約 2 割の節電効果があったことから、今年は全国の支店を含む約 1,300 人が対象になった。

「初日だから緊張して、目覚まし時計を三つ用意した」という内田弘昭さん (39) は「体が慣れるまでは大変だけど、昨年は仕事の効率が上がったから導入に賛成」と話す。 (asahi = 4-2-12)

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「電気、一方的停止ダメ」 東電に経産省が行政指導へ

東京電力が企業向け料金を平均 17% 引き上げることに企業の 9 割が同意していない問題で、経済産業省は 28 日、東電に対して、同意しない企業への電気を一方的に止めないよう行政指導する方針を固めた。 企業の活動に影響が出ないようにするためだ。

枝野幸男経産相は 28 日の参院経済産業委員会で、東電が電気を止めることについて「機械的な対応は社会的に許されない」と述べた。 「(東電の)原発事故と、その後の値上げの対応が適切でないことが結果として今日の段階にきている」とも批判した。 みんなの党の松田公太氏の質問に答えた。

企業向け料金は家庭向け料金と違って国の認可が必要なく、東電が自由に決められる。 東電は毎年、企業ごとに契約を更新していて、今回、4 月 1 日以降に更新がくるごとに平均 17% 値上げしていく。 (asahi = 3-29-12)

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東電の企業料金値上げ、同意わずか 1 割 反発根強く

東京電力は 27 日、企業向け料金を 4 月 1 日以降に平均 17% 引き上げることに対して、値上げ対象の 24 万事業所のうち、同意したのが 1 割余りの約 3 万事業所にとどまっていることを明らかにした。 東電は説得を試みているが、一方的な値上げに反発は収まらない。

福島第一原発事故を起こしたため、原発の代わりに火力発電を使い、その燃料費がかさんでいるため、今回、平均 17% 値上げする。 東電は毎年、企業ごとに契約を更新しており、4 月 1 日以降の更新に合わせて、各企業の料金を順々に値上げする。 ところが、東電によると、まず 4 月 1 日付で更新を迎える約 5 万事業所のうち、同意したのは 1 割未満の約 3,300 事業所しかないという。 4 月 2 日以降に更新を迎える約 18 万 7 千件でも約 2 万 6,850 件しか同意していない。 (asahi = 3-28-12),/p>

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東電値上げ、4 月 1 日実施は企業全体の 25%

東京電力が計画する企業向けの電気料金の値上げで、予定する 4 月 1 日に始められるのは、契約件数の 4 分の 1 程度にとどまるという見通しが 21 日、わかった。 値上げの同意取り付けが難航しているためだ。 値上げで年 4 千億円の増収を見込んでいるが、ずれ込めば、増加する火力発電の燃料費をまかなえなくなる可能性も出てきた。

値上げ対象は契約電力が 50 キロワット以上の工場や事務所で、24 万件ある。 契約は 1 年ごとに更新するが、そのうち 4 分の 3 は更新日を 4 月 2 日以降に迎える。 契約期間途中の値上げは、同意が必要。 東電は 3 月から 10 万程度の契約者と連絡を取ったが、ほとんどが同意していないという。

また、東電が十分な説明をしていなかったことも明らかになった。 東電は 2 月初旬に契約者に「値上げのお願い」を発送し、「現在のご契約期間にかかわらず、4 月 1 日以降は新しい電気料金でお願いしたい」と説明。 ただ、契約更新日までは現行料金を適用できることにはふれなかった。 (asahi = 3-21-12)

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東電の企業向け値上げ「契約途中なら了承必要」 経産相

東京電力が 4 月 1 日から予定する企業向けの電気料金値上げについて、枝野幸男経済産業相は 21 日の閣議後の記者会見で、「契約途中の値上げには利用者の了承が必要なのに、東電からの説明が徹底されていない」と批判した。 契約更新の月までは値上げ前の今の料金のままにできることを、東電から企業側に十分に説明するよう指示した。

企業や工場など約 24 万件の料金は自由化されており、東電と利用者が期間と金額を契約する。 期間は 1 年が一般的だが、何月から始まるかは利用者によってまちまち。 このため利用者は、4 月以降でも値上げに同意しなければ、次の契約期間に入るまで今の料金を維持できる。 (asahi = 3-21-12)

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石巻工場の設備、2 台再開へ 日本製紙

日本製紙グループ本社は 8 日、東日本大震災で被災した石巻工場(宮城県石巻市)の印刷用紙をつくる設備 2 台の再開のめどがたったと発表した。 22 日と 3 月 9 日にそれぞれ生産を再開する予定。 また富士、吉永(いずれも静岡県富士市)、岩沼(宮城県岩沼市)の各工場で 3 月末に予定していた一部設備の停止を 2 月下旬 - 3 月初旬に早める。 (asahi = 2-8-12)

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成田の旅客数、外国人 3 割減 11 年、国内線は過去最高

成田国際空港会社 (NAA) は、2011 年の成田空港の旅客数が対前年比 579 万 9,968 人 (17%) 減の 2,806 万 8,714 人だったと発表した。 前年比割れは、リーマン・ショックの影響があった 2009 年以来、2 年ぶり。 減少は東日本大震災や原発事故、欧州の景気低迷、歴史的な円高が影響したと分析している。

国際線は、587 万 2,346 人 (18%) 減の 2,634 万 3,952 人。 日本人は 228 万 7,042 人 (13%) 減の 1,512 万 4,831 人で、外国人は 283 万 682 人 (32%) 減の 594 万 7,347 人。 通過客も 75 万 4,622 人 (13%) 減り、527 万 1,774 人だった。 国内線は、7 万 2,378 人 (4%) 増の 172 万 4,762 人となり、過去最高を記録した。 スカイマークが 10 月以降、旭川と札幌などの線を新規就航させ、利用者を掘り起こした。 (asahi = 1-29-12)

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外国人観光客、過去最大の減少幅に 震災・円高が影響

日本政府観光局は 20 日、2011 年に来日した外国人観光客が昨年より 27.8% 少ない 621 万 9 千人だったと発表した。 統計を取り始めた 1964 年以来最大の減少幅で、東日本大震災や欧州の政府債務(借金)危機による円高などが響いた。

震災後の昨年 4 月の外国人観光客は、前年同月比 62.5% 減と過去最大の落ち込みをみせた。 秋以降は中国、香港の観光客が増え、同 12 月は 11.7% 減と回復に向かいつつある。 観光業界へのダメージは大きかった。 東京商工リサーチによると、11 年の観光業者の倒産は 188 件で、リーマン・ショックのあった 08 年以来(204 件)の多さとなった。 (asahi = 1-20-12)

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原発再稼働ゼロなら電力 7% 不足 来夏、エネ研が試算

来年の夏になっても全国の原発が再稼働しない場合、国内全体で電力供給が 7.2% 不足するとの試算を、経済産業省所管の日本エネルギー経済研究所が 21 日、発表した。 電力不足で製造業が落ち込み、国内総生産 (GDP) も押し下げるとした。

来年 7 月以降に原発の再稼働が進む「電力制約なし」と、再稼働ゼロの「電力制約あり」に分けて試算。 「制約なし」では来夏、電力供給が需要を 5.1% 上回り、2012 年度の鉱工業生産は前年度比 5.0% 増、GDP 成長率は 1.9% 増と見込んだ。 これに対して、「制約あり」の場合、電力不足で海外に生産を移す動きも加速するとみて、鉱工業生産は前年度比 1.6% 増、GDP 成長率は 0.1% 増にとどまるとした。 (asahi = 12-21-11)

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塩害農地を 1 カ月で再生 大幅短縮、ベンチャーが開発

東日本大震災の津波による塩害で台無しになった農地を「最短 1 カ月間で再生できる」という土壌改良材を京都市のベンチャー企業「マイファーム」が開発した。 農地の再生を大幅に短くできるとして、NTT ドコモと NEC が復興支援の一環で、量産化の無償援助を決めた。

農林水産省によると、東日本大震災で津波による被害を受けた農地は青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の 6 県で計約 2 万 4 千ヘクタール。 政府は、十分な量の真水で塩分を流し出す除塩作業などで「おおむね 3 年間での復旧を目指す」としている。

これに対し、マイファームが開発した改良材は、数種類の微生物と有機堆肥(たいひ)を混ぜたもので、微生物が土に残った塩分を分解する。 「約 1 カ月で作付けができる土壌になり、3 カ月でほぼ元通りの土壌になる」という。 6 月から宮城県岩沼市の被災農地で使ってみたところ、2.9% だった塩分濃度が 2 カ月間で 0.8% まで下がり、8 月末にはトマトを収穫できた。 (asahi = 10-29-11)

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日立、震災後の早期回復で上方修正 9 月中間決算

日立製作所は 26 日、2011 年 9 月中間連結決算を上方修正した。 売上高は 7 月時点の予想より 1,500 億円多い前年同期比 1.1% 増の 4 兆 5,500 億円に、営業利益は 700 億円多い同 22.0% 減の 1,700 億円に、純利益は 400 億円多い同 68.5% 減の 500 億円にそれぞれ見直した。

自動車の生産回復が早く、関連部材の落ち込みが想定より少なかったほか、海外の IT 関連事業も好調だった。 ただ、タイの洪水や円高の影響が読み切れず、通期の業績見通しは据え置いた。 (asahi = 10-26-11)

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節電の夏、企業経費が増 賃金増・自家発電 … 数十億円も

経済産業省は 14 日、今夏の電力使用制限令で工場や企業などに最大電力の 15% 削減を求めたことで、1 社あたり数億 - 数十億円の経費増があったと発表した。 夜間や休日に操業を移したことで賃金を割り増ししたり、自家発電で燃料費が増えたりしたためだという。

契約電力が 500 キロワット以上の大口利用者約 30 社を調べた。 ある素材メーカーは 40 億 - 50 億円増えたという。 一方、工場のない商業施設などは影響が小さかった。 経産省は「経済への影響を抑えるため、今冬はよりきめ細かな対応で節電を求めたい」としている。 電力制限令は東京電力と東北電力の管内で出され、工場や企業などの大口利用者に最大電力を 15% 減らすよう求めた。 (asahi = 10-14-11)

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ソニー仙台工場、一部を無償提供 宮城で被災企業に

宮城県の外郭団体「みやぎ産業振興機構」は 13 日、ソニー仙台工場(同県多賀城市)の一部を無償で借り、東日本大震災の被災企業・団体に貸す事業を始めると正式に発表した。 対象は、延べ床面積約 11 万 3 千平方メートルの仙台工場のうち建屋 7 棟約 3 万 9 千平方メートル。 家賃は無料とするが、固定資産税など実費として月額 1 平方メートル当たり 700 円を負担してもらう。

仙台工場は、磁気テープや光ディスクの生産・研究開発を担う国内主要拠点の一つ。 津波で 1 階部分が浸水するなど大きな被害を受け、生産態勢見直しによって空きスペースが出ていた。 (asahi = 10-13-11)

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原発再稼働、前倒しに言及 官房長官、来年 2 月めど

藤村修官房長官は 22 日の記者会見で、来年夏に向けて原発の再稼働を進めるとした政府方針について、来年 2 月をめどに前倒しする可能性に言及した。

藤村氏はこの日、首相官邸を訪れた森詳介・関西経済連合会会長(関西電力会長)から「もし原発が動かなかった場合、今年の冬の電力も厳しい。 できるだけ速やかに再稼働をやって欲しい。」と要請された。 関西電力のすべての原発が来年 2 月までに定期検査に入る見通しとなっているためだ。 管内は発電量の 54% を原発に頼っていて、電力各社の中で依存度が最も高い。

藤村氏はその後の記者会見で「数字を示して非常に説得力のある話だった」と指摘。 冬の電力は足りると判断していた政府見通しについて「認識を少し改めないといけない部分がある」と述べ、野田佳彦首相と協議し、再検討する考えを明らかにした。 (asahi = 9-23-11)

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電力安定供給を政府与党に緊急要望 関西財界 7 団体

関西や東北を中心に冬の電力不足が予想される中、関西経済連合会など関西の経済 7 団体は 22 日、政府・与党に対し、定期検査を終えた原子力発電所について早期に再稼働し、電力の安定的な確保をするよう緊急要望をした。 野田内閣の発足後、関西の財界がまとまって政府・与党に直接、要望するのは初めて。

要望したのは、関経連や大阪、京都、神戸の 3 商工会議所、関西経済同友会など計 7 団体。 要望では、電力不足の問題が続けば、企業は生産拠点の海外シフトを迫られ、国内のものづくり産業は「瀕死の状態になることは避けられない」と指摘。 定期検査を終えた原発について、政府が責任を持って地元自治体の理解と合意を得て、再稼働を実現するよう求めた。 (asahi = 9-22-11)

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トヨタ北米生産、震災前水準に戻る 新車販売、回復急ぐ

トヨタ自動車は 13 日、北米での自動車生産が東日本大震災以前の状態に 100% 戻った、と発表した。 今年 10 - 12 月期は年初の計画に比べて 15% 増産し、前年割れが続く米新車販売の回復を急ぐ。

主力の「カムリ」や「カローラ」の生産は 6 月に復旧していた。 13 日、残っていたスポーツ用多目的車などの生産が元に戻った。 震災発生直後、同社は北米生産の完全復旧は今年 11 - 12 月になる見通しだとしていた。 日本からの部品供給の回復が見通しより早く進んだようだ。 (asahi = 9-14-11)

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ソニー被災工場の一部、無償提供へ 研究開発など想定

ソニーは、東日本大震災で被災した仙台工場(宮城県多賀城市)の生産態勢の見直しに伴って生じた遊休地などを、地元の中小企業や研究機関に無償で貸し出す。 対象は、工場の延べ床面積の 3 割強にあたる約 4 万平方メートル。 被災工場を地元の復興に役立たせようというねらいだ。

仙台工場は、磁気テープや光ディスクの生産や研究開発をしている国内主要拠点の一つで、延べ床面積は約 11 万 3 千平方メートル。 震災による津波で 1 階部分が水没するなど、大きな被害を受けた。

その後の復旧作業で、主力製品の生産は継続することになったが、電池の部品やプロジェクター用偏光板の生産は福島県や宮城県内の別の工場に移管。 4 月末現在で約 1,400 人だった従業員数は、正社員の配置転換や期間社員の雇い止めなどで、約 1 千人規模にまで縮小した。

その結果、工場建屋やオフィス棟、倉庫など 10 棟が空き、全体の 35% にあたる約4万平方メートルを無償で貸し出すことにした。 入居する企業や研究機関の募集を年内にも始める方向で宮城県などと協議しており、政府も必要経費の一部を第 3 次補正予算で支援することを検討している。

具体的には、震災で工場を失った地元の中小企業に仮工場の場所として貸し出すほか、地元の東北大学と連携し、IT やエレクトロニクス関連の研究開発拠点を設けることを想定。 宮城県の外郭団体が窓口になる案も浮上している。 (福間大介、中村靖三郎、asahi = 9-1-11)

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日本製紙、震災がれき受け入れ開始 石巻工場で燃料に

日本製紙グループ本社は 22 日、東日本大震災で被災した石巻工場(宮城県石巻市)で、周辺市町のがれきの受け入れを始めたと発表した。 ボイラーの燃料に使う。 8 月中に宮城県と正式契約を結び、年間 12 万トンのがれきを焼却する予定だ。

受け入れるのは石巻市、東松島市、女川町のがれき。 石巻市では 540 万トンと、県内自治体で最も多いとみられている。 工場は津波で設備が被害を受けており、9 月中旬の生産再開をめざして復旧中。 20 日からボイラーの連続運転と自家発電を再開した。 がれきは、これらの燃料となり、21 日から始めた東北電力へ最大 4 万キロワットの電力供給にも一役買う。

宮城県は県内のがれきを最大 1,800 万トンと推計し、3 年以内に処理するのが目標。 民間企業と震災のがれき処理契約を結ぶのは初めてで、合板大手セイホクの石巻工場(同市)とも同時に契約し、少しでも処理ピッチを上げる考えだ。 (asahi = 8-22-11)

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電気代上乗せ、大口企業は軽減 再生エネ法修正案

太陽光や風力で発電した電気を電力会社がすべて買い取る「再生可能エネルギー特別措置法案」の与野党修正案が 12 日、明らかになった。 買い取り費用を広く電気代に上乗せする一方、鉄鋼や化学など電力消費が多い企業だけは、負担を 8 割以上減らす。 自然エネルギーの種類によって買い取り価格に差もつけるが、価格設定によっては上乗せ額が増える可能性もある。

民主、自民両党は 12 日、再生エネ法案を 19 日に衆院を通過させることで合意。 26 日成立の見通しだ。 施行は来年 7 月。 東日本大震災の被災地の企業や家庭には、復興が妨げられないように電気代の上乗せを 2013 年 3 月まで免除する。 経済産業省の試算によると、再生エネ法が施行された場合、20 年度時点で企業、家庭とも電気代が 1 キロワット時あたり 0.5 円高くなる。 標準世帯では月額 150 円が上乗せとなる。

修正協議では、産業界への対応が問題となった。 電力消費量の多い企業ほど上乗せ額が大きいため、経団連は「企業の競争力に悪影響を与える」と批判。 修正案では、製造業平均の 8 倍を超えて電力を使う企業は電気代の上乗せを 8 割以上割り引く。 鉄くずを電気で溶かす電炉メーカー、ソーダ製造の化学メーカーなどが対象とみられる。

一部企業の負担軽減分の財源は、電力会社などが払う石油石炭税が有力。 「石油、石炭は原発停止で需要が伸び、税収が増える(自民党衆院議員)」という。 エネルギー特別会計からの支出とすることで、ほかの電気利用者の上乗せ額の増加を避ける。 (asahi = 8-13-11)

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震災影響で経営破綻、306 件に 最多は東京の 59 件

東京商工リサーチは 11 日、東日本大震災の影響で経営破綻した企業が、震災発生から 5 カ月間で 306 件に達したと発表した。 自らは被災しておらず、東北地方にある取引先が被災して売り上げが減ったり、部品調達が難しくなったりしたことによる破綻が、91.2% を占めたという。

東北 6 県の合計は 59 件。 全体の 19.3% だが、今後さらに増える可能性がある。 都道府県別で最多は東京都の 59 件だった。 法的整理などの「倒産」 266 件を業種別にみると、震災後の顧客減少に苦しんだ宿泊、飲食などのサービス業が 68 件で最多。 製造業 64 件、建設業 44 件、卸売業 41 件だった。 (asahi = 8-11-11)

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被災地の 2 千社、営業再開できず 帝国データバンク調査

東日本大震災で被害を受けた岩手、宮城、福島 3 県の沿岸部に本社を置く企業や事業所 5,004 社のうち、2 千社以上が事業を再開できていないことが、帝国データバンクの調査で分かった。

6 月 6 - 30 日、現地入りしたり、取引先も含めて電話で問い合わせたりして調べた。 集計が間に合った 4,280 社のうち、事業休止中は 438 (10.2%)。 社屋が消えたり、取引先からも連絡が取れなくなったりしている企業が 1,632 社 (38.1%) にのぼり、計 2,070 社が事業を再開できていないという。 再開は 2,210 社 (51.6%)。 それでも、大半は建物に被害を受け、携帯電話を使い避難所などで仕事をするケースが多かった。 (asahi = 7-8-11)

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「宅配便 1 個で 10 円寄付」ヤマトの支援活動に税制優遇

財務省は、東日本大震災の復興支援のために、ヤマトホールディングスが今年度に行う「宅配荷物一つあたり 10 円」の寄付について、法人税を軽減する優遇税制の対象とする方針を固めた。 24 日付の官報で告示する。 一企業が中心となる寄付活動を、税制で後押しするのはきわめて異例だ。

ヤマトによると、寄付の総額は 130 億円になる見通し。 同社は全額を関係の深い公益財団法人「ヤマト福祉財団」に寄付し、財団が被災地の地方自治体や団体の申請を受けて、水産業や農業などの復興事業に助成する予定だ。 ただ、通常の税制だと、寄付のうち、ヤマトが「経費」として課税所得から除外できるのは約 20 億円まで。 それ以上の部分では数十億円の法人税がかかる。

このため、ヤマトは財務省に、財団への寄付を全額経費扱いできる「指定寄付金」に認定するよう求めた。 財務省は従来、この制度が企業の課税逃れに悪用されないよう、対象を中央共同募金会や教育機関への寄付などに限っていたが、ヤマトの震災復興支援は公益性が高いと判断し、認めることにした。 震災関連で、個別の団体を指定寄付金の受け皿として認定するのは、中央共同募金会に次いで 2 例目。 (五郎丸健一、asahi = 6-24-11)

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オムロン、海外にも本社機能 災害に備え 社長が言及

制御機器大手のオムロン(本社・京都市)は、地震などの災害に備えて、海外の拠点にも本社機能を持たせる方向で検討を始める。 作田久男社長が朝日新聞の取材に対して明らかにした。 日本企業の危機管理のあり方に一石を投じそうだ。

同社の工場や研究開発拠点は西日本が中心で、東日本大震災の影響は少なかった。 ただ、発生が予想される東海、東南海、南海地震では西日本への影響が見込まれるため、作田社長は「本社機能がまひするのは目に見えている。 意思決定ができる拠点の複数化に取り組む。」と話した。

本社機能を重複させる対象の候補に挙げたのは、アジア・太平洋地区でグループ会社を管理するシンガポールの現地法人。 日本国内で災害が起きた場合でも、全社的な判断を速やかにできる態勢を目指し、経営戦略や財務の機能を強化し、役員の駐在などを検討していくとみられる。 (asahi = 6-17-11)

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スマートフォン向け素材、三井金属が海外に予備ライン

三井金属は 7 日、スマートフォン(多機能携帯電話)向けの半導体材料に使われる特殊銅箔について、国内生産が滞った場合に動かす製造ラインをマレーシアの子会社に新設すると発表した。 東日本大震災の影響で供給が停止した経緯があり、海外に予備のラインが必要と判断した。 (asahi = 6-7-11)

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ホンダ、一時帰休とりやめ休日短縮 部品供給にめど

ホンダは、国内の自動車工場で 6 - 8 月に最大 17 日間予定していた一時帰休を取りやめる。 部品の供給に徐々にめどがつき、いまのところ 5 割程度の稼働が、8 月には通常の態勢に戻る見通しとなったためだ。

また 6 - 8 月には、最大 14 日間の休日を年度後半から前倒しして取ってもらう方針だったが 4 日間に短縮。 生産回復のペースを従来の想定より引き上げる。 対象の工場は、車両組み立ての埼玉製作所(埼玉県狭山市)、鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)、部品の浜松製作所(浜松市)、栃木製作所(栃木県真岡市)。 (asahi = 6-1-11)

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ホンダの北米生産、8 月復旧 日本からの部品調達にめど

ホンダは、北米と中国での生産が、8 月には東日本大震災前の水準に戻ると発表した。 日本からの部品調達のめどがついたためだ。 ホンダは現在、北米、中国での生産を震災前の 5 割近い水準に落としている。 北米では元の水準に戻すには「年末までかかる」としていたが、スケジュールを前倒しした。 震災で打撃を受けた日本の部品メーカーの生産が想定より早く回復。 代替部品の調達も進めたという。

ただ、4 月に米国で発売したばかりの主力車種「シビック」の新型車だけは、新しい部品を搭載しているため、計画通りの生産に戻るのが数カ月遅れる見通しとしている。(ニューヨーク = 山川一基、北京 = 吉岡桂子、asahi = 5-27-11)

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ホンダ、一時帰休を検討 国内従業員の一部 最大 15 日

ホンダが、国内の自動車工場の従業員の一部を 7 - 9 月に一時帰休させる検討に入った。 東日本大震災で部品が不足し、生産ペースが通常の半分ほどにとどまるためで、最大 15 日ほど休ませる方向だ。

対象の工場は、車両組み立ての埼玉製作所(埼玉県狭山市)、鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)、部品製造の浜松製作所(浜松市)、栃木製作所(栃木県真岡市)。従業員数や時期は、労働組合と今後詰める。 一時帰休では従業員の給与が目減りするため、ホンダは「なるべく休業しなくても済むように(部品調達などを)努力していく」としている。 ホンダはすでに、期間従業員を削減する方針を明らかにしている。 (asahi = 5-22-11)

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震災関連の倒産、100 社超す 「阪神」の 2 倍の速さ

帝国データバンクの調査によると、東日本大震災の影響で倒産した企業数は 17 日までの集計で 102 社(負債総額約 602 億円)になった。 震災から 67 日目の 16 日に 100 社を超え、129 日目だった阪神大震災の約 2 倍の速さという。

被災など直接的な被害で倒産したのは 13 社、取引先が被災して販売が減ったといった間接的な影響で倒産した企業が 89 社。 都道府県別では東京が 15 社で最も多く、岩手、宮城、福島の 3 県は計 20 社だった。 業種別では、消費自粛のあおりを受けた「旅館・ホテル」が 13 社で最も多く、「金型製造」など自動車関連企業も 10 社にのぼった。 (asahi = 5-21-11)

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「半導体、6 月から供給困難」 ルネサス社長が見通し

半導体大手ルネサスエレクトロニクスの赤尾泰社長は 18 日、那珂工場(茨城県ひたちなか市)の在庫が 5 月中になくなり、6 月以降は供給が難しくなるとの見通しを明らかにした。 同工場は東日本大震災で被災し、生産が止まっている。

赤尾社長は 18 日の記者会見で、「震災前の完成品在庫や生産途上品で、5 月まではある程度カバーできるが、6 月以降は那珂工場の製品は供給不足にならざるを得ない」と語った。 同社は自動車や電機などに使われる制御用半導体「マイコン」生産の最大手で、6 月以降、幅広い業種の生産に影響が出そうだ。

同工場は 6 月に生産を再開するが、その製品の供給は 8 月末になるという。 それまでは他工場への生産委託でしのぐが、震災前に比べた供給力は 6 月が 1 割程度、7 月が 4 割程度、8 月が 5 割程度にとどまる。 9 月は 7 割程度になり、完全復旧は 10 月末の見通しだ。 (asahi = 5-19-11)

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トヨタの欧州生産、6 月中に正常化 減産の英工場など

トヨタ自動車ヨーロッパは 17 日、東日本大震災に伴う部品不足で停滞している欧州での生産を、6 月中に正常化させると発表した。 震災後、欧州 9 工場のうち 5 工場で減産していたが、フランスは 16 日から通常生産に復帰。 英国、トルコ、ポーランドの 3 カ国 4 工場も 6 月中に正常化できる予定。 欧州での昨年の生産台数は約 48 万台。 震災による 5 月末までの減産台数は 4 万台で、その 1 割弱に達する見通し。 (asahi = 5-18-11)

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日産、福島・いわき工場の態勢復旧 エンジンを生産

日産自動車は 17 日、東日本大震災で被害を受けたエンジン製造のいわき工場(福島県いわき市)の生産が、昼夜 2 交代勤務の通常ペースに戻ったとして、報道陣に公開した。 6 月の月間生産量は 3 万基と、震災前の水準になるという。 同工場を訪れた日産のカルロス・ゴーン社長は「地震のリスクを最小限に抑える」として、今年度中に 30 億円を投じて地盤強化などを行う方針を示した。 設備の完全復旧までに不足するエンジン部品は当面、米国の工場から輸入する。

工場は天井が落ちたり、床に段差ができたりした。 他工場から最大約 200 人の復旧要員が入ったが、余震の影響もあり、他工場よりやや遅れて 4 月 18 日に生産を一部再開した。 小沢伸宏工場長は「余震で作業が元に戻るなどしたが、工場を再生させるんだという社員の精神が復旧を早めた」と語った。 (宮崎健、asahi = 5-18-11)

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トヨタ国内生産、9 月に正常化 取引先に計画提示

トヨタ自動車が、東日本大震災の影響で停滞している国内生産を、9 月に「正常化」させる内部計画を部品メーカーに提示していたことが 12 日分かった。 11 日の決算にあわせて発表した見通しでは、正常化の時期を「11 - 12 月ごろ」と据え置いたが、2 - 3 カ月の前倒しを目指す。

内部計画によると、現在は 1 日あたり 6 千台余りにとどまる生産台数を 6、7 月は、通常の 9 割の 1 万 2 千台弱。 8 月は 1 万 2 千台強とし、9 月にはほぼ通常通りの 1 万 3 千台弱まで引き上げる。 11 日に発表した見通しでは、生産ペースを 6 月から通常の 7 割に引き上げるとし、その後の回復軌道は示していなかった。

ただ、内部計画は、被災した部品メーカーの復旧が想定以上に早く進んだ場合を見込んで、生産台数をやや多めに設定している可能性もある。 さらに、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)停止に伴う中部電力の電力供給の制約がないことを前提にしている。 トヨタの工場は中部電管内に集中し、不確定要素もある。

国内同様に海外でも、停滞している生産の回復を本格化させる。 北米では 3 割ほどの生産ペースを 6 月初めに 7 割まで引き上げる。 3 割にとどまっている東南アジアや豪州は 6 月中をめどに正常化できる見通し。 (asahi = 5-13-11)

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津波に耐えた木造 100 年工法 木材つなぐ金具に工夫

東日本大震災の大津波に流されなかった木造の建物があった。 建築会社「シェルター(山形市、資本金 5 千万円)」を営む木村一義さん (61) が、「100 年たっても大丈夫な木の建築を」と手がけた工法でつくった施設だった。

津波に耐えたのは、宮城県南三陸町の歌津公民館と同県石巻市の北上総合支所。 公民館は、周辺の建物のほとんどが流されたなかに、ぽつんと残る。 支所はコンクリート部分と比べて、木村さんの工法をつかった木の部分は傷みが小さかったという。

木村さんは大工の 4 代目として建築を学び、米国留学もした。 木材と木材をつなぐ金具の工夫で、木の強さを引き出す「KES 構法」と名付けた工法を編み出し、1974 年に会社を起こした。 柱の部分、つまり構造体だけの価格は、ふつうの木造より 5 - 10% 高くなる。 リフォームの際に導入できる場合もある。

建てた家が 100 年もてば、子ども、孫は住宅ローンから解放される。 そんな発想で、81 人の社員とともに木造の住まいを全国でつくり、中規模以上の建物には技術を提供してきた。 年商は 36 億円だ。

95 年の阪神大震災では、神戸市のある地域は壊滅的な被害を受けたが、KES 構法でつくった 3 階建ての木造家屋は残った。 震度 7 クラスまでの地震には自信があった。 大津波には不安がよぎったものの流されなかった。 「うれしかった。 でも、多くの建物ががれきになり、たくさんの命が奪われた。 複雑です。」

木村さんは、避難所になった山形市の市総合スポーツセンターに 80 世帯分の間仕切りを提供した。 プライバシー確保のためだ。 「これからも、できる支援をしていきます。」 (中島隆、asahi = 5-6-11)

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サッポロ仙台工場が生産再開 東北のビール工場で初

サッポロビールは 2 日、東日本大震災で被災した宮城県名取市の仙台工場で、ビール系飲料の生産を再開した。 まだ一部での操業だが、ビール大手 3 社の東北の工場での生産再開は初めて。 仙台工場は、揺れで天井や壁が壊れたが、津波からは免れ、ビールのタンクにも被害はなかった。

2 日は、タンクのビールから酵母を濾過(ろか)し、缶に入れる工程を再開した。 5 月末には飲食店向けの樽(たる)のラインを稼働し、仕込みも再開して、フル生産に戻る。 サッポロは 4 月、液状化の被害を受けた千葉工場でも仕込みを再開しており、国内の全主力工場での稼働態勢を取り戻した。

東北にはほかに、キリンビール仙台工場、アサヒビール福島工場がある。 キリン仙台工場は津波被害を受け、夏までの復旧は難しい。 5 月は他の 8 工場で生産を前年より 1 割増やして対応する。 アサヒ福島工場は夏までの再開を目指す。 (南日慶子、asahi = 5-2-11)

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