憲法 9 条と国防、そして軍縮 (25)

安保法案の改定だけでは、やっぱり満足できないようで、またぞろ、憲法 9 条の改定、時の安倍首相にとっては悲願なのかもしれません。 ただ、自民党の中でも孤高の人のようにも見えます。

日本提出の核廃絶決議案、米英仏が棄権 国連で採択

国連総会の第 1 委員会(軍縮・安全保障)は 2 日午後(日本時間 3 日午前)、日本が提出した核兵器廃絶決議を 156 カ国の賛成で採択した。 だが、昨年まで共同提案国だった米国、英国に加え、昨年は賛成したフランスも棄権。 中国が反対するなど核保有国の賛成は得られなかった。 日本は被爆 70 年を機に「核保有国と非核保有国の橋渡し役(岸田文雄外相)」として、核廃絶に向けて国際社会で主導的な役割を果たそうとした。 核保有国の棄権や反対は、こうした日本の狙いが行き詰まったことを意味する。

日本の核廃絶決議採択は、1994 年以来、22 年連続。 今年は初めて「Hibakushas (被爆者たち)」という表現を使って世界の指導者らに被爆地訪問を促し、核の非人道性を強調した。 一方、廃絶時期を示さない穏健な内容で、核廃絶は安全保障を考慮して段階的に進めるべきだ、と主張する米国など核保有国の賛同も目指した。 日本外務省が特に衝撃を受けているのは、同盟国・米国の棄権だ。 米国は「核なき世界」を提唱するオバマ政権になった 2009 年以降、毎年、共同提案国に加わっていたためだ。 (武田肇、ニューヨーク = 金成隆一)

- 朝日新聞 2015 年 11 月 3 日 -


九条の会が緊急アピール文 安倍首相の改憲発言に抗議

安倍晋三首相が 9 条を含む憲法の改正について積極的に発言していることに対し、護憲派の文化人らでつくる「九条の会」は 8 日、東京都内の参院議員会館で記者会見し、安倍首相の発言に抗議する緊急アピール文を発表した。

アピール文では、国会答弁で憲法 9 条改定に言及したことに、「9 条の意義を正面から否定する考えの持ち主」と批判。 昨年の安全保障関連法案の採決や憲法への「緊急事態条項」創設の主張については「解釈変更と法律制定による憲法破壊に加え、明文改憲の主張を公然とするに至った」と強調。 「自らの憲法尊重擁護義務をわきまえない安倍首相の明文改憲発言に断固抗議します」と訴えた。

呼びかけ人の作家、澤地久枝さん (85) は「安倍さんは憲法 9 条 2 項を変え、殺し、殺される交戦権を認めようとしている。 戦死者を出さなかった歴史が終わり、『絶対にやらない』と 70 年余り前に誓った戦争がよみがえる。 命がけで反対しなければ、日本は戦争をする国になる。」と語気を強めた。 憲法学者の渡辺治・一橋大名誉教授は「安倍首相は戦争法(安保関連法)を強行可決して自衛隊を出そうとしたが、戦争をする国になるために憲法全体が大きな障害物になっていることが確認されたため、この最後のとりでを壊そうとしている」と語った。(佐藤恵子、編集委員・北野隆一)

- 朝日新聞 2016 年 2 月 8 日 -


改憲不要 55%、必要 37% 朝日新聞世論調査

憲法記念日を前に朝日新聞社は憲法に関する全国世論調査(郵送)を実施し、有権者の意識を探った。 それによると、憲法を「変える必要はない」が昨年の調査の 48% から 55% に増え、「変える必要がある」は昨年の 43% から 37% に減った。 大災害などの際に政府の権限を強める「緊急事態条項」を憲法に加えることに「賛成」は 33% で、「反対」の 52% が上回った。

憲法改正については、2014 年の郵送調査から「必要はない」が「必要がある」を上回っており、その差は今回さらに開いた。 憲法を「変える必要はない」と答えた人に理由を三つまで選んでもらったところ、「平和をもたらしたから」の 72% が最多だった。 「変える必要がある」理由では「国防の規定が不十分だから」の 52% が最も多かった。 憲法 9 条も「変えない方がよい」が昨年の 63% から 68% に増え、「変える方がよい」の 27% (昨年は 29%)を大きく上回った。 安全保障関連法に「賛成」は 34%、「反対」は 53% で、安保関連法に「反対」と答えた人の 93% が憲法 9 条を「変えない方がよい」と答えた。

緊急事態条項については、安倍晋三首相が「極めて重く大切な課題だ」と強調。 熊本地震を受けて菅義偉官房長官も同様の主張をしている。 調査では、緊急事態条項を「憲法に加えるべきだ」という意見と「法律を充実すれば対応できる」という意見があることを紹介した上で賛否を尋ねると、内閣支持層や自民支持層では「賛成」がそれぞれ 50%、51% だったが、無党派層では「反対」が 61% に上った。

さらに、「賛成」と答えた人に盛り込んでよい内容を複数回答で選んでもらったところ、▽ 「首相や内閣の権限を強める」 48%、▽ 「国や自治体の指示に従うように、国民に義務をかす」 40%、▽ 「国会議員の任期を延長できるようにする」 20% の順だった。

国民の間で憲法を変えるかどうかの議論がどの程度深まっているか尋ねると、「深まっている」は、「かなり」 1% と「ある程度」 15% を合わせて 16%。 「深まっていない」は、「あまり」 57% と「まったく」 25% を合わせて 82% に達した。 安倍政権のもとで憲法改正を実現することには、「賛成」 25%、「反対」 58%。 第 1 次安倍内閣時代の 2007 年 4 月に電話調査で同じ質問をした際は「賛成」 40%、「反対」 42% でほぼ並んでいたが、今回は「反対」に大きく傾いた。

- 朝日新聞 2016 年 5 月 2 日 -


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