憲法 9 条と国防、そして軍縮 (24)

今日本は、「戦争をしない特別の国」から「戦争をする普通の国」へ驀進中といったところでしょうか? 確かに、世界各国が、無政府状態の国の治安維持に躍起となっているのに、はたして日本だけ「特別な国」であることができるのか、と問われれば心穏やかでいられるわけもありません。 厳しい原則を前提に、他の国の同意を取った上で行動すべきでしょう。

離島防衛を日米協力に明記 新ガイドライン 5 分野に拡大

日米両政府が今月末に改定する「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の概要が分かった。 「切れ目のない日米協力」をうたい、日本防衛のために日米が協力する分野を、これまでの 3 分野から、5 分野に拡大する。 尖閣諸島を念頭に「離島防衛」を明記し、日本が攻撃の阻止や奪還作戦を行い、米軍は支援するとの役割分担も明らかにする。

新ガイドラインは、日米が 27 日にニューヨークで外務・防衛担当閣僚会合(2 プラス 2)を開き、正式合意する。 与党が安全保障法制の見直しで基本合意した内容に基づくが、安保法制が国会で審議されるより前に、日米防衛協力の具体像が決まることになる。 1997 年に作った今のガイドラインは、@ 平素、A 日本が危なくなりそうな「周辺事態」、B 日本が戦争状態になる「日本有事」の三つの分野で協力事項を定めている。 新ガイドラインでは「平素から武力攻撃事態に至るまで切れ目なく協力、共同で対処する」と明記する。

そのうえで、これまでの 3 分野を撤廃し、@ 平素からの協力、A 日本の平和と安全に対する潜在的な脅威への対応(重要影響事態)、B 日本に対する武力攻撃事態への対処行動、C 集団的自衛権行使を前提とした日本以外の国への武力攻撃に対する行動、D 日本での大規模災害での協力、の 5 分野に作り直す。 (今野忍)

- 朝日新聞 2015 年 4 月 24 日 -


集団的自衛権行使を規定 = 安保法制、政府が条文 - 与党協議、27 日に決着

政府は 24 日、新たな安全保障関連法案の主要条文を自民、公明両党に提示した。 武力攻撃事態対処法を改正し、集団的自衛権を行使する要件として「存立危機事態」を追加。 他国軍を後方支援するため自衛隊の海外派遣を随時可能にする「国際平和支援法」で、「例外なき国会の事前承認」を規定する。 自公両党は 27 日に関連法案の内容について合意する運びだ。

関連法案は 11 本。 条文は、衆院議員会館で開かれた安保法制に関する与党協議会で示された。 与党から異論は出なかった。 政府は 5 月 11 日の与党協議会に法案の全文を提示。 与党の了承を経て、同15日前後に閣議決定し、国会に提出する。

- 時事通信 2015 年 4 月 24 日 -


元法制局長官「国民危険にさらす」 憲法解釈変更を批判

安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会は 22 日、参考人を呼んで質疑を行った。 野党推薦で、元内閣法制局長官の阪田雅裕氏と宮崎礼壹氏は、法案が従来の政府の憲法解釈からみて問題があるとして、法案の根幹にあたる集団的自衛権の行使容認に疑問を呈した。 与党推薦の西修・駒沢大名誉教授(憲法)らは法案への理解を示した。

2004 - 06 年に小泉内閣で長官を務めた阪田氏は、「従来の政府解釈と集団的自衛権の行使を整合させようという政府の姿勢は一定の評価ができる」と述べた。 その一方で、政府が集団的自衛権の行使容認の根拠とする 1972 年の政府見解の結論部分「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」を変え、行使を容認した点を「憲法を順守すべき政府自ら憲法の縛りを緩くなるように解釈を変えるということだ」と問題視した。 さらに、集団的自衛権の行使は「進んで戦争に参加することで、国民を守るというより国民を危険にさらす結果しかもたらさない」と結論付けた。

06 - 10 年に安倍、福田、麻生、鳩山内閣で長官を務めた宮崎氏は、集団的自衛権の行使について「憲法 9 条の下で認められないことは、我が国において確立した憲法解釈で、政府自身がこれを覆すのは法的安定性を自ら破壊するものだ」と批判。 「法案は憲法 9 条に違反し、撤回されるべきだ」と語った。 政府が解釈変更の論拠の一つに挙げる 59 年の砂川判決についても、「他国防衛たる集団的自衛権の話が入り込む余地はない」と述べた。 政府が 72 年見解の基本的論理を維持している、と主張していることに対しては「黒を白と言いくるめるたぐいだ」と断じた。

野党推薦の小林節・慶応大名誉教授(憲法)も「憲法に違反し、政策としても愚かで廃案にするべきだ」と批判した。 与党推薦で、首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」メンバーだった西氏は「戦争法案ではなく、戦争抑止法案だ。 (集団的自衛権の)限定的容認で明白に憲法の範囲内だ。」と理解を示した。 与党推薦の森本敏・元防衛相は安保環境の変化を理由に「安保法制は極めて重要だ」と述べた。(小野甲太郎)

- 朝日新聞 2015 年 6 月 22 日 -


元首相 5 人、安保法案反対を表明

今国会で審議中の安全保障関連法案をめぐり、首相経験者 5 人は 11 日、違憲の疑いや立憲主義軽視の観点から、法案に反対する考えをそろって表明した。 「歴代首相に安倍首相への提言を要請するマスコミ OB の会」が回答を受け、都内で記者会見して発表した。 提言は同日、安倍首相宛てに発送された。

提言は存命の首相経験者 12 人に要請し、回答したのは非自民政権だった細川護熙(もりひろ)、羽田孜(つとむ)、鳩山由紀夫、菅直人各氏と自社さ政権だった村山富市氏。 このうち現職国会議員は菅氏のみ。 他に小泉純一郎氏は事務所を通じ「回答しない」とした。 中曽根康弘、海部俊樹、森喜朗、福田康夫、麻生太郎、野田佳彦の各氏は無回答。

細川、羽田両氏は「日本の発展と国際的地位は平和憲法のたまもの(細川氏)」と現行憲法の意義を強調した上で、「集団的自衛権は、絶対に認められない(羽田氏)」と主張。 細川氏は「(安保法案は)国益を損なう」と指摘した。 細川、村山、菅の 3 氏は解釈改憲などの一連の手続きを「立憲主義を無視(村山氏)」と批判。 鳩山氏は「国民の理解が進むほど反対が増えると理解すべきだ」と訴える一方、菅氏は「直ちに首相を辞任されるよう求める」と迫った。

同会は「マスコミ九条の会」と日本ジャーナリスト会議 (JCJ) が事務局を務める団体で安保法案に反対の立場。 今回新聞、雑誌、放送などの OB ら 51 人が呼びかけ人となり先月、要請文を発送した。

- 東京新聞 2015 年 8 月 12 日 -


防衛省内に「安保法案成立用」極秘文書があった

安全保障関連法案の審議が行われた 11 日の参院特別委員会で、共産党の小池晃議員が、法案の成立を前提にした行動計画を記した「内部文書」が、防衛省内で秘密裏に作成されていると指摘した。 中谷元防衛相はしどろもどろの答弁を繰り返し、質疑は紛糾。 打ち切られる事態になった。 文書を入手した小池氏は「防衛省幹部の暴走。戦前の軍部と同じ」と批判、中谷氏の監督責任を追及する構え。 法案成立を目指す安倍政権には想定外の「小池爆弾」となった。

文書は「『日米防衛協力のための指針(ガイドライン)』および平和安全法制関連法案について」。 今年 5 月末、統合幕僚監部が作成。 当時は閣議決定を受け、衆議院の審議が始まった時期だ。 「今後の進め方」では、法案成立や法施行の時期に言及しているほか、南スーダンでの国連平和維持活動 (PKO) に関し、現法下で認められていない「駆け付け警護」の任務を付与する検討に触れた部分もあった。 防衛省幹部は内部資料と認めた。

中谷氏は当初「いかなるものか承知していない」と答弁し、「法案を先取りするようなことは控えるべき」と釈明。 小池氏は「国会審議の真っ最中に、法案成立を前提とした計画が議論されている。 大臣が知らないとは大問題だ」と指摘した。 同日夜の党インターネット番組では「文書の存在を知っていても知らなくても、中谷さんは大変」と指摘。 入手の経緯に関し「防衛省でも法案への怒りが広がっている」と話した。 国会は 12 日から「お盆休戦」に入るが、今後の審議の混乱は避けられない。

- 日刊スポーツ 2015 年 8 月 12 日 -


安保法案反対、全国で一斉デモ 国会取り囲み廃案訴え

参院で審議中の安全保障関連法案に反対する市民によるデモが 30 日、東京・永田町の国会議事堂前や周辺を埋めた。 主催者発表によると、参加者は 12 万人で、安保法案をめぐる抗議行動では最大。 参加者が歩道からあふれて、警察側が車道を開放した。 市民らは国会議事堂を真正面に見据えた車道に帯のように広がり、雨の中、「戦争法案廃案」、「安倍政権退陣」と叫び続けた。

国会だけでなく、霞が関や日比谷周辺まで、プラカードやのぼりを持った人たちであふれた。 警察関係者によると、国会周辺だけで約 3 万 3 千人。 主催したのは、平和運動を続けてきた市民らでつくる「戦争させない・9 条壊すな! 総がかり行動実行委員会」。 5 月に立ち上がった都内の大学生らがつくる「SEALDs (シールズ)」のほか、大学教授や研究者らの「学者の会」、子育て世代の母親の「安保関連法案に反対するママの会」など、この夏に次々と出来た団体が加わり、ともに声を上げた。

- 朝日新聞 2015 年 8 月 30 日 -


シールズ「諦めない」 安保成立 1 カ月、渋谷で抗議活動

集団的自衛権の行使を容認した安全保障関連法制が成立してから 19 日で 1 カ月。 国会前で抗議のうねりを巻き起こした大学生や高校生らが 18 日、日曜日の渋谷・ハチ公前広場で抗議行動をした。 若者や子どもを抱いた家族連れ、高齢者までが広場を埋め尽くした。

主催した学生団体「SEALDs (シールズ)」の大学生らは「9 月 19 日の強行採決の日、何かが終わったのではなく、何かが始まった」、「諦めることなく、民主主義のために行動し続けましょう」と声を上げ、来年参院選に向けて、今後も安保法制に反対する学者らと連携しながら、活動を続けると宣言した。 野党各党の党首らも登壇し「野党は共闘!」のコールが巻き起こった。 ヒップホップグループ「スチャダラパー」もゲストで登場した。

- 朝日新聞 2015 年 10 月 18 日 -


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