戦争の大義と人間の叡知 (8)

先の戦争で無条件降伏した日本ですが、それでも天皇家を守った日本です。 中国の一通信社の主張でどうなる、という問題ではないと思います。 日本の天皇家は世界でも稀有な存在で、過去 1,000 年近く天皇家にとって代わるだけの権力を持つ幾多の人物が現れたにもかかわらず、天皇家が排除されることはありませんでした。 歴史に仮定はありませんが、おそらく織田信長が殺されなかったら、唯一その可能性があったかもしれません。 いずれにせよ、日本の人々は間違いなく「天皇を日本の象徴」として祭り上げる道を選んでいるのです。 即ち、維新以降の限られた期間だけが、「象徴天皇」の位置を逸脱してしまった、と考えてもいいのでしょう。

〈追記〉 オバマ大統領の折り鶴は本当に綺麗です。 千羽の鶴を折った佐々木禎子さんの願いは叶えられなかったけれど、今や折り鶴は「世界平和の象徴」になりました。 日中もきっとかような形で和解が進んで欲しいと心から願っています。

安倍首相のパールハーバー訪問 遠藤 誉さん - 12-28-16 / オバマ大統領の広島訪問 遠藤 誉さん- 5-30-16

中国新華社、歴史巡り陛下に謝罪求める記事配信

【北京 = 五十嵐文】 中国国営新華社通信は 25 日、歴史問題をめぐり天皇陛下に謝罪を求める記事を配信した。 記事は、「昭和天皇は中国への侵略戦争と太平洋戦争を指揮、発動した侵略戦争の張本人だ」とした上で、「昭和天皇は亡くなるまで日本が侵略した被害国と国民に謝罪を表明したことはなかった。 その皇位継承者は、謝罪で氷解を、ざんげで信頼を手に入れなければならない」と主張している。 配信された記事は 26 日付中国紙・光明日報が掲載したが、中国共産党機関紙・人民日報などは掲載していない。

- 読売新聞 2015 年 8 月 28 日 -

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「陛下に礼を失している」 官房長官、新華社報道を批判

菅義偉官房長官は 28 日午前の記者会見で、中国の国営新華社通信が天皇陛下の戦争責任について謝罪を求める評論を配信したことについて、「天皇陛下に対する礼を著しく失している」と批判した。 そのうえで、「改善基調にある日中関係にも水を差しかねず、全く好ましくない」と述べた。 同通信が 25 日に配信した論評を受け、日本政府は 27 日、外務省局長と在北京大使館の公使がそれぞれ中国側に電話で抗議している。 同通信は論評の中で、「昭和天皇は亡くなるまで被害国とその国民に謝罪を表明したことはなく、その皇位継承者は謝罪で雪解けを、悔いることで信頼を手に入れなければならない」と主張していた。

- 朝日新聞 2015 年 8 月 28 日 -


オバマ氏「実は折り鶴を持ってきました」 原爆資料館で

被爆地・広島を訪れたオバマ米大統領は、「サプライズ」の贈り物を残した。 大統領手作りのカラフルな 4 羽の折り鶴。 原爆投下の 10 年後、白血病で亡くなった少女にまつわる「平和のシンボル」だ。 核廃絶の願いを世界へ広げようと、託された広島平和記念資料館(原爆資料館)は公開の準備を始める。 週末の 28 日、館内は修学旅行生らで混み合った。

オバマ大統領は 27 日夕、広島到着後すぐに原爆資料館を見学した。 同行者らによると、オバマ氏は約 5 分間、数点の展示資料と向き合い、岸田文雄外相の説明に熱心にうなずいた。 なかでも関心を示したのが、佐々木禎子さんの折り鶴。 アクリルケースを特別に外すと、オバマ氏は顔を近づけてじっと見ていたという。 「実は折り鶴を持ってきました。」 オバマ氏が突然そう切り出すと、随行スタッフがトレーに載せて運んできた。 梅や桜の花が彩る和紙を丁寧に折り、「少し手伝ってもらったけれど、私が作りました。」 白と淡いピンクの 2 羽を小中学生 2 人に 1 羽ずつ手渡した。

「私たちは戦争の苦しみを経験しました。 共に、平和を広め核兵器のない世界を追求する勇気を持ちましょう。」 芳名録にメッセージを書くと、その上に別の 2 羽をそっと置いた。 その後、原爆死没者慰霊碑への献花や演説を終え、原爆ドームを望む場所まで移動。 岸田氏が、禎子さんの像が空に手を広げる「原爆の子の像」も紹介すると神妙な面持ちで答えた。 「この一帯は、平和にとって大変重要な場所ですね。」

折り鶴 4 羽はすべて資料館へ寄贈された。 志賀賢治館長 (63) は「オバマさんは禎子さんの話を米国で知り、折り鶴を準備されたのかもしれない。 なるべく早く公開したい。」と話す。 禎子さんの同級生で、被爆証言を続ける川野登美子さん (73) は「空に向かって大きく手を広げるさだちゃんの思いが、ついに米大統領にまで届いた。 さらに多くの人に思いが広がるよう願っています。」と喜ぶ。

オバマ氏の折り鶴は海外でもさっそく報じられ、米紙 USA トゥデー(電子版)は「象徴的な振る舞い」と紹介。 禎子さんの折り鶴は「核戦争の痛切さの重要な象徴」と伝えた。 英 BBC (電子版)は「サダコと折り鶴」と題する記事を掲載。 作り方の動画を添え、「今、折り鶴は平和の象徴」と報じた。(岡本玄、宮崎園子、平井良和)

佐々木禎子さんと折り鶴〉 平和記念公園に立つ「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんは 2 歳の時、広島の爆心地から 1.6 キロの自宅で被爆。 小学 6 年の時に白血病と診断され、闘病の末に亡くなった。 鶴を千羽折ると願いがかなうとの言い伝えを信じ、薬の包み紙などを使って 1,300 羽以上を病床で折り続けた。 原爆の悲劇として国内外で広く語り継がれ、実物の一部は原爆資料館に展示されている。

- 朝日新聞 2016 年 5 月 28 日 -


「かつての敵、和解の力示す」 ホワイトハウス声明

首相の真珠湾訪問

【ワシントン = 吉野直也】 米ホワイトハウスは 5 日、安倍晋三首相の今月下旬のハワイ真珠湾訪問を歓迎する声明を発表した。 「(オバマ大統領と首相は)共通の利益や価値で結び付いて、かつての敵が緊密な同盟国となった和解の力を示す」と指摘した。 今年は旧日本軍の真珠湾攻撃から 75 年の節目に当たる。 オバマ氏は首相に同行し、真珠湾にある慰霊施設のアリゾナ記念館を訪れる。

- 日経新聞 2016 年 12 月 5 日 -


国連軍縮会議、長崎で始まる 「核なき世界へ行動を」

核兵器廃絶に向け、米国やロシアなどの核保有国を含む約 20 の国と国際機関などから約 30 人が参加し議論する国連軍縮会議が 12 日、長崎市で始まった。 核軍縮へのアプローチの現状や 2020 年の核不拡散条約 (NPT) 再検討会議の運用プロセスなどについて 2 日間議論する。

会議は国連と外務省が共催。 今回 26 回目で、長崎での開催は 1998 年以来 3 回目。 開会式で国連のキム・ウォンス軍縮担当上級代表は「核なき世界の実現をどう達成するかには大きく意見が分かれる。 相違をどう解決するか。 直ちにすべての国が行動しなければならない。」と述べた。 その後、米国、ロシアのほか、オーストリア、マレーシアなどの非核保有国の軍縮担当者らが参加し、核軍縮や核兵器禁止条約に関する議論が始まった。 オーストリアなどの非核保有国は核兵器禁止条約の速やかな成立を求め、米国の核の傘に頼る日本とドイツは NPT 体制を損なうことにつながるなどとして「現実的なアプローチ」を主張した。

会議に先立ち 11 日には、日米ロの若者らによる「ユース非核特使フォーラム」があり、原爆の悲劇を二度とくり返さないよう被爆者の思いを受け継ぐ決意を示し、すべての国に核廃絶に向け努力するよう訴えた。

長崎原爆をテーマにした映画「母と暮せば」の上映もあり、監督の山田洋次さんと主演の吉永小百合さんが出席。 山田さんは映画について「こういう悲劇が、戦争で亡くなった一人ひとり、世界中にあった。 母と息子が願っていたささやかな幸せの願いがつぶれてしまった。 僕のような戦争を体験した世代が伝えていかないといけないと思った。」 吉永さんは「核兵器廃絶のために、日本に住んでいるものとして世界に向かって声を出してアピールしなければと思った」などと語った。 (山野健太郎)

- 朝日新聞 2016 年 12 月 12 日 -


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