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着物スタイリスト直伝! 素材別ゆかた選びのコツ

ワンピース感覚で気軽に楽しめるゆかたは、夏の遊び着になくてはならないファッションアイテムのひとつ。 毎年新柄が発売されるので、「今年はどんなゆかたを?」と楽しみにしている人も多いのでは? 着物スタイリストの山崎真紀さんが、素材別の特徴や魅力を踏まえたゆかた選びのコツをお届けします。

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ゆかたといえば、綿コーマと呼ばれる平織(ひらお)りが一般的でしたが、それ以外にも綿紅梅(めんこうばい/綿勾配、綿高配)、綿絽(めんろ)、綿縮緬(めんちりめん)、麻(あさ)、絞(しぼ)りなど、さまざまな生地があります。 生地の種類によってゆかたの表情が変わり、コーディネートの幅も広がります。

綿縮緬

木綿の生地の表面にしぼをつけた素材。 生地を織るときに、横糸(よこいと)に強いよりをかけた糸を用いることで、縮緬独特のしぼが生まれます。 平織りの生地と違って、全体に凹凸があるため、汗をかいても素肌にまとわりつきません。 さらに、着ると奥行きが感じられる。 朝顔模様のゆかたに縮みのへこ帯の組み合わせは、お祭りから近所のお出かけまで。

絞り

絞りは布の一部を糸でくくったり、縫ったり、あるいは板で挟んだりして防染し、染め液に浸して模様を染める方法。 和装ではゆかたのほか、着物や帯、長襦袢(ながじゅばん)、帯揚げなどに用いられています。 絞りのゆかたは表面の凹凸が素肌に気持ちよく、生地に厚みがあるので体のラインが強調されにくいという特徴があります。 写真のゆかたは伝統的な愛知県の有松(ありまつ)・鳴海(なるみ)絞り。 クラシックな地紙(じがみ/扇に貼る紙)模様が優雅。

綿紅梅

細い糸と太い木綿糸を組み合わせて、縞(しま)や格子柄を表現したもの。生地の表面に凹凸があり、着ると立体感が出て体形カバーにもなります。絹糸を使って織った絹紅梅もあり、透け感があるので、こちらは夏の着物として人気。 白地に大輪の菊を紫のグラデーションで表現したゆかたは、大人の女性向き。 同系色の麻の半幅帯で引き締めて。

ゆかたや夏の着物用に使われている麻は、苧麻(ちょま/イラクサ科の多年草)を原料にしたラミー糸が主流。 写真は夏の着物地として人気の高い小千谷縮(おぢやちぢみ)で、新潟県小千谷市で織られています。 表面のしぼと麻独特のしゃり感がマッチして、着ると体の中を風が吹き抜けていく感じ。 淡い色のものは透けるので、肌襦袢を着るなど、下ごしらえをきちんとしましょう。 半襟を付けて足袋を履くと、夏の着物としても着られます。

『NHK趣味Do楽 京都で磨く ゆかた美人』より

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