共存への努力、海外で評価


パレ・ロワイヤルの、セルジュ・
ルタンスの香水を売る店




新ブランド「イアンクス」の
ショップ

イメージ作り、地道に パリの資生堂

外国ブランドの隆盛で、日本のファッション産業は超輸入超過状態が続いている。 しかし地道な努力を重ねて海外で成功しているブランドもないわけではない。 その代表例である資生堂は、海外でも老舗(しにせ)ブランドとしての評価を獲得している。 パリでの取り組みの現状を探ってみた。

パリ 7 区、オルセー美術館裏の通りに今年 3 月、香水の新ショップが開店した。 約 290 平方メートルと香水店としては広め。 パリでは珍しいほどモダンな高級感がある内装も、ファッションやアートにうるさいパリ人たちの話題になった。 この店は資生堂が欧州を中心に販売を計画するフレグランスの新ブランド「イアンクス」の直営店だ。 製品開発と店のデザインを担当したクリエーターの一人、フランシス・ジャコベッティは「最も先端的な現代性と詩的感性の融合をめざした」という。 優れたクリエーターたちを起用するイメージ作りは、資生堂が海外で試行錯誤しながら最も重視した点だった。

1963 年のイタリアに続き、パリに進出したのは 80 年だった。 映画や写真などの特異な作風で知られるセルジュ・ルタンスを起用。「真っ赤な太陽を抱いて泳ぐ女性」というポスターなどで強烈な印象を与えた。 90 年には、パリの中心部パレ・ロワイヤルにルタンスが制作する香水サロンをオープンさせた。 紫を基調とした独特な内装のこの店は、女優カトリーヌ・ドヌーブなどもごひいきの高級店だ。 ここで毎年 6 月第 2 木曜日に開かれる新作発表会は、パリのアートとモード界の夏の最初のイベントとされている。

ファッションの中心街サントノレ通りには、メーキャップの巨匠ステファン・マレーが制作した化粧品の直営販売店(02 年開店)がある。 文化的活動の重視も、ブランドイメージ確立の一環だ。 パリ進出に先立つ 77 年、パリの新進デザイナー 6 人を日本に紹介したファッションショーを開催。 その後もパリの若手デザイナーを援助したり、各種の美術展の開催や協賛などにも力を入れてきた。 02 年にマドレーヌ寺院の近くに設けたアンテナショップ「資生堂ラ・ボーテ」では、フランスの若手芸術家を支援する展覧会を 2 カ月ごとに開催している。

化粧品メーカーとして資生堂の売り上げは世界第 4 位、フランスでは第 8 位となっている。 海外戦略を指揮してきた福原義春名誉会長は「特にフランスでは、独自の商品を作り、社会の中で文化的にも共存していくことが必要だった」と話している。 こうした姿勢は、国内でも企業のデフレ克服へのヒントになるのでは? (上間常正)


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