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豊 か さ と 幸 せ の 基 準 - 核廃絶へ - 貢献する日本人、貢献しない日本政府

核兵器の開発や保有、使用などを法的に禁止する初めての国際条約が、ニューヨークの国連本部で開かれていた交渉会議で賛成多数で採択されました。 同条約には 100 を超える国が参加するとのことですが、真に残念ながら、そこに日本の姿がありません。 世界で唯一の核被爆国であり、1994 年以降、23 年連続で核兵器廃絶に関する国連決議を提案し採択されてきた実績を持っているにも関わらず、この条約推進には、何ら貢献していないのは本当に残念です。

「核兵器は法律にも反する」 被爆者の願い、世界動かす

核兵器の使用や保有を法的に禁じ、その非人道性を問う核兵器禁止条約が 7 日、採択された。 多くの被爆者たちが待ち望んできた国際ルールだ。

採択後、広島で被爆した女性が会場で核廃絶への願いを改めて訴え、感動を呼んだ。 「亡くなった数十万の人々。 彼らはみな、それぞれに名前を持っていました。 そして、みな誰かに愛されていました。」 7 日午後(日本時間 8 日早朝)、条約採択の興奮の余韻が残る米ニューヨークの国連本部。カナダ在住の被爆者、サーロー節子さん (85) は広島、長崎で被爆した人々への思いを、ゆっくりと力強い声で語った。

「私はこの日を 70 年以上待ち続けていました。」 明瞭で訴えかけるような英語のスピーチに、各国代表や NGO 関係者らがじっと耳を傾ける。 これまでの核抑止政策を失敗と断じ、「我々は取り返しのつかない環境汚染を繰り返しません。 将来世代の命を危険にさらすことを続けません。 世界各国の指導者たちに懇願します。 もしあなたがこの惑星を愛しているのなら、この条約に署名してください。」

そして 4 分ほどのスピーチをこう締めくくった。 「核兵器はこれまでずっと、道徳に反するものでした。 そして今では、法律にも反するのです。 一緒に世界を変えてゆきましょう。」 会場はほぼ総立ちとなり、盛大な拍手が送られた。 目に涙をためる人、嗚咽する人 …。 感極まったのか、抱きしめてきた人も。サーローさんの胸に去来したのは、思いを受け入れてくれたという、深い満足感だった。 取材にこう答えた。 「やっとここまでこぎ着けた。」 (ニューヨーク = 久保田侑暉)

- 朝日新聞 2017 年 7 月 8 日 -


核廃絶決議、問われる整合性 核禁条約に賛同しない日本

日本が提出した核兵器廃絶決議が 144 カ国の賛成で採択された。 核兵器禁止条約に触れず、核兵器の非人道性の表現を弱めたことなどから、核保有国である米英仏の支持を得られた半面、賛成は昨年から 23 カ国減った。 被爆国として核廃絶を訴えながらも、核禁条約に賛同しない日本の核政策は、今後も国際社会で整合性を問われる。

27 日の国連総会第 1 委員会。 日本の決議案には多くの批判が出た。 「2017 年は核軍縮の転換点。 核禁条約ができたことは、無視できない画期的な出来事のはずだ。 今年は賛成できない。」 昨年は賛成したコスタリカの代表はこう述べ、棄権に回った。 今年の決議案が、7 月に国連で採択された核禁条約に触れていない点を問題視した。 コスタリカは条約をまとめる交渉で議長国を務めた。

同じく昨年は賛成したニュージーランド。 デル・ヒギー軍縮大使は「今年の決議案には過去の決議からの根源的な逸脱があり落胆している」と述べ、やはり棄権を宣言した。 今年の決議案が、「核兵器の使用による壊滅的な人道的結末についての深い懸念」とした点などを指している。 昨年は「核兵器のあらゆる使用による壊滅的な人道的結末についての深い懸念」と、「あらゆる」という言葉が入っていた。 「あらゆる」という言葉がないと、核使用を完全に禁じることにはならず、核使用を容認するような解釈を生む - - というのが専門家の共通見解とされる。

フランスの元外交官でシンクタンク「ジュネーブ安全保障政策研究所」のマルク・フィノー氏は「自衛のためなどの場合、合法的に核兵器を使用できうるという意味になる」と解説する。 別の国際法専門家は「核攻撃に対して、核による『報復攻撃』の可能性を残しておくというのが日本の立ち位置ではないか」と指摘した。 また今年の決議案で批判が集まった中に、昨年の「核兵器の完全な廃絶を達成」という「明確な約束」を再確認する文言が、「達成」部分が削除され「核不拡散条約 (NPT) の完全履行」に後退した点がある。 NPT は核の使用を禁じていない。 日本政府関係者によると、安保環境が厳しくなる中、核保有国の支持を得るため交渉を重ねた結果、この表現でしか折り合えなかったという。

唯一の戦争被爆国の日本は 1994 年以来、毎年、国連総会に核廃絶決議案を提出し、核軍縮を世界に呼びかけてきた。 決議には加盟国に対する「勧告」程度の強さしかないが、それゆえ、核を巡る立場の違いを超えて、多くの国々の賛同を得ることができる。 昨年は 167 カ国から賛成を取り付け、日本政府が世界の核軍縮分野の「橋渡し役」としての存在感を発揮することを可能にした。 今年の決議案に賛成した国からも、批判の声は上がっている。 スイスとスウェーデンの代表は「再解釈や書き直しのいかなる試みにも断固として反対する。」 同じく賛成したある国の関係者は取材に対し、「来年も同じ決議案なら、投票行動の変更を検討する」と述べた。 (ニューヨーク = 金成隆一、ジュネーブ = 松尾一郎)

- 朝日新聞 2017 年 10 月 29 日 -


日本の高校生の演説見送り、中国の反対が背景 軍縮会議

[北京] 2014 年から毎年 8 月、国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)の軍縮会議で、日本の高校生が政府代表団の一員として演説してきたのが今年見送られた問題で、背景に中国による強い反対があったことが複数の日本政府関係者の話でわかった。 中国は国連などの場で日本が第 2 次世界大戦の被害を強調することに反発を示しており、こうした異論も踏まえて判断したという。 高校生は、外務省からユース非核特使として委嘱された「高校生平和大使」。 14 年から 16 年まで計 3 回、代表が軍縮会議本会議で演説する機会を与えられてきた。 日本政府関係者によると、今年に入って、演説を問題視した中国側がやめるよう要請してきたという。

同関係者は「ここ数年、日本だけ特別な対応が認められていることに核保有国を含む各国から異論があった」と指摘。 「軍縮会議では全会一致で議決するのがルールなので、全員に納得してもらわなければ通らない。 最終的に政府として判断した。」という。 15 年に米ニューヨークでの核不拡散条約 (NPT) 再検討会議でも、核軍縮を扱う最終文書案で、日本が世界の指導者らに被爆地を訪ねるよう提案した部分をめぐり、中国が日本の歴史認識を理由に反対し、見送られた経緯がある。

中国外務省の耿爽副報道局長は 16 日の定例会見でこの問題について、「調べてはみるが、高校生の発言がなくなったのかということも含め、会議の主催者に聞くべきだ」と述べた。 中国は、第 2 次世界大戦終結から 70 年たった 2015 年を「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利 70 周年」と位置づけて大規模な記念式典を開催。 国連代表部や各国に置く大使館などを通して、中国側の歴史認識を国際的にアピールする取り組みを強化した。 (北京)

- 朝日新聞 2017 年 11 月 17 日 -


外務省、2 日後に「喜ばしい」 核廃絶 ICAN に平和賞

外務省は 8 日夜、核兵器禁止条約の採択に貢献した核兵器廃絶国際キャンペーン (ICAN) が 6 日にノーベル平和賞の受賞が決定したことについて、「国際社会で核軍縮・不拡散に向けた認識が広がることを喜ばしく思う」との外務報道官談話を発表した。

談話は「核兵器廃絶に向けた被爆者・被爆地の長年の努力に対し、改めて敬意を表したい」と受賞決定を歓迎しつつ、「ICAN の行ってきた活動は日本政府のアプローチとは異なる」とも指摘。 ノーベル委員会が受賞発表で北朝鮮の核開発に言及したことについて触れ、「あらゆる手段により圧力を最大限まで高める必要がある」と日本政府の立場を改めて強調した。 コメント発表は 8 日午後 11 時 32 分。2 日遅れになった理由について、外務省関係者は「省内の調整に時間がかかった」と説明した。

- 朝日新聞 2017 年 10 月 9 日 -

◇ ◇ ◇

ノーベル授賞式、大使欠席は「大人げない」 日本被団協

ノルウェー・オスロで 10 日にある国際 NGO 「核兵器廃絶国際キャンペーン (ICAN)」へのノーベル平和賞授賞式と晩餐会に招待された、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員 (85) と藤森俊希事務局次長 (73) が 4 日、渡欧を前に都内で会見した。 2 人は核廃絶の機運の高まりへの期待を話した。

ICAN は 7 月の国連での核兵器禁止条約採択に貢献したことが評価された。 条約の前文には「ヒバクシャ」の文言が盛り込まれている。 長崎で被爆した田中さんは「日本被団協は核廃絶を 60 年言い続け、いま条約として実を結び始めている。 (50 カ国の批准で)確実に発効させ、核保有国も加盟せざるを得ないような国際世論をつくりたい。」と今後の抱負を述べた。

広島で被爆した藤森さんは「条約に対して核兵器保有国がそっぽを向いている中で ICAN を選んだノーベル委員会の決意は相当なもの」と評価。 ただ、保有国の米英仏の駐ノルウェー大使が授賞式に欠席の意向であることについて、「大人げない。 出席して ICAN をたたえ、ともに核兵器のない世界をつくろうと言えばいいのに」と訴えた。 授賞式では、広島で被爆し、現在はカナダに住むサーロー節子さん (85) がスピーチをする予定。 このほか、広島や長崎、熊本、神奈川などに住む被爆者 23 人も現地を訪れる。(宮崎園子)

- 朝日新聞 2017 年 12 月 4 日 -

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「被爆ピアノ」の音色、オスロに響く 平和賞記念演奏会

国際 NGO 「核兵器廃絶国際キャンペーン (ICAN)」のノーベル平和賞受賞を記念したコンサートが 11 日、ノルウェー・オスロであり、広島から運ばれた「被爆ピアノ」が米人気歌手によって演奏された。 日本から訪れた被爆者や ICAN 関係者をはじめ、アリーナ会場に詰めかけた大勢の観客がその音色に聴き入った。

コンサートはノーベル委員会が開いた。 授賞式で講演した ICAN 事務局長のベアトリス・フィンさん (35) と、被爆者のサーロー節子さん (85) = カナダ在住 = らが出席。 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員 (85) と藤森俊希事務局次長 (73) も舞台上に招かれ、被爆者として紹介された。

冒頭に司会者から原爆の被害を乗り越えた被爆ピアノの来歴が紹介された。 授賞式でも歌声を披露した R & B の米人気歌手ジョン・レジェンドさんが被爆ピアノを弾き、スウェーデンの女性歌手ザラ・ラーソンさんとビーチ・ボーイズの「ゴッド・オンリー・ノウズ」をデュエットすると、盛んな拍手が送られた。 (オスロ = 松崎敏朗、田部愛)

- 朝日新聞 2017 年 12 月 12 日 -


被爆者尽力で核禁止条約生まれた ICAN フィンさん、長崎で感謝の講演

昨年のノーベル平和賞を受賞した非政府組織 (NGO) 「核兵器廃絶国際キャンペーン (ICAN)」のベアトリス・フィン事務局長 (35) は 13 日、長崎市で講演し、核の非人道性を訴え続けた被爆者の証言活動を高く評価した。 「被爆者なくして核兵器禁止条約は生まれなかった」と振り返り、尽力に感謝した。 核禁止条約をテーマにした長崎大主催のシンポジウムでの基調講演。 フィンさんは、日本政府の安全保障政策について「(米国の)核の傘に進んで入ることは受け入れられない。 長崎、広島の価値観と大きな隔たりがある」と苦言を呈し、日本の核禁止条約参加を求めた。

「(長崎への原爆投下以降に)核兵器が使われなかったのは、幸運だったからにすぎない」とも語り、北朝鮮の核・ミサイル開発を巡る米朝関係の緊迫化を踏まえ「使用の可能性は高くなっている」と警鐘を鳴らした。 講演後のパネル討論で外務省の今西靖治(のぶはる)軍備管理軍縮課長は、北朝鮮の動向を念頭に「厳しい安全保障環境にある。 条約への参加は、米国による核抑止力の正当性を損なう。」と主張した。

ベアトリス・フィンさん> 1982 年 11 月 7 日、スウェーデン・イエーテボリ生まれ。 2010 年、スイス・ジュネーブに国際本部がある非政府組織 (NGO) 「婦人国際平和自由連盟」に入り、軍縮問題を担当。 14 年に移籍し現職。 英国の大学院で国際法の修士号を取得している。

- 東京新聞 2018 年 1 月 14 日 -

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