Back

日、中、韓の近代史観 (1)

韓国ソウルの博物館を訪れた時、壁に掲げられていた半島の歴史を説明する大きな年表が目に留まりました。 そこに「弥生時代」という表記を見つけ、ちょっと驚くとともに、1945 年 8 月 15 日迄、ここは日本であったことを改めて思い知らされました。 ということは、日本人と半島に住む人々の歴史観に決定的な違いは無いと考えられます。 すると、中国人も根本的には変わらないのではないかと考えたいところです。

ところが、どうも問題をややこしくしているのが、「中国は中国共産党により統一が達成された」との大前提から近代史が始まっているのではないかと、筆者には思えてなりません。 実際には、南京にしろ重慶にしろ、日本軍の相手は国民党軍であり、中共人民軍と戦ったとの意識はありません。 日本人から見ると、政治的に現実がすり替えられているのではないかとの思いが、何ともうっとおしいのです。

「五族共和」の名の下に、日本軍が大陸を侵略したのは確かな事実であり、残虐行為も行われたことを否定するわけではありません。 中国人に被害者意識があり、加害者に対して厳しい目を向けるのは十分理解できるのですが、その相手である日本人も、今となっては、戦争で 310 万人の命を奪われた戦争被害者とその子孫であることを知って欲しいと願うばかりです。

しっかりした歴史資料が、三国共同で整えられるのは大歓迎なのですが、何とも「白髪三千丈」的表現にはもううんざりですし、冷徹に事実を検証したものでなければ、互いの理解と和解への道を辿ることが出来ません。

「東アジア歴史読本」編集終了 5 月に中日韓で発行

中国人民の抗日戦争勝利 59 周年を記念する座談会が 15 日に開催された。 出席した中国社会科学院・近代史所の歩平・常務副所長は、「東アジア歴史共同読本」の編集作業がこのほど終了したことを明らかにした。 同書は中国、日本、韓国の専門家が共同で編集した中学生・高校生向けの副教材。 来年 5 月に中日韓 3 国でそれぞれ共同発行される。

同書の編集は「歴史知識と東アジア平和フォーラム」に参加する学者 30 数人が提起した。 うち中国人学者は 10 数人。 同書には大量の写真とともに、1840 年 - 1945 年に起きた重大な歴史事件が記録されている。 歩平常務副所長は「日本の右翼勢力が編集した教科書は歴史的事実を一部ねじ曲げている。 一方、今回編集された『東アジア歴史共同読本』により、日本の若者は近代史や旧日本軍の中国侵略時のさまざまな罪行を知ることができる」と述べた。 (編集 KS)

- 中国、人民網 2004 年 8 月 16 日 -

◇ ◇ ◇

韓中日、共同歴史教材を初製作へ

韓中日 3 国の歴史学者らが初めて 3 国の近現代史に関する共通の歴史副教材を製作する。 中国社会科学院近代史研究所の歩平・副所長は 15 日、北京で開かれた人民抗戦勝利の 59 周年記念座談会に出席し、「韓中日 3 国の歴史学者 30 人余が共同で、東アジアの近現代史に関する 3 国共通の中学校歴史副教材を作成、出版する計画だ」と明らかにした。

この歴史副教材は、日本の右翼団体が進めている歴史教科書の歪曲に対応するためのものだ。 韓国と日本では「日本教科書を正すための運動本部」など市民団体が中心となっており、中国では社会科学院など政府傘下研究機関の学者らが参加している。 歩平・副所長は「3 国の歴史学者が 2002 年から 3 国共通の近代史教材の作成作業に着手し、これまで 7 回の討論を経てすでに草稿の執筆まで終えた」とした。 この作業には日本側からも執筆陣をはじめ 10 人余が参加している。

この副教材は 19 世紀末から現代に至るまでの歴史を扱っており、中学校用歴史副教材として出版される予定だ。 3 国の学者たちは、3 か国が複雑に絡み合っている近現代史の史実を討論のうえで客観的に記述しており、最終の修正作業を経て来年 5 月頃出版する計画だ。 韓国委員であるシム・ギュベク韓国教員大学研究員は、「近代史部門の共通教材の出版作業が終わると、時期を前近代史に拡大して進めることも検討している」とした。 - - - - - 北京 = チョ・ジュンシク特派員

- 朝鮮日報 2004 年 8 月 16 日 -

◇ ◇ ◇

中日韓共同編集の東アジア歴史教科書、来年刊行

中日韓 3 カ国の学者による「東アジア歴史共通教科書(仮名)」の共同編集作業が現在進められている。 この教科書の中国側メーン執筆者である中国社会科学院近代史研究所の歩平研究員(東北アジア国際関係史専攻)に話を聞いた。

歩研究員によると、中日韓 3 カ国の学者は 2002 年から「東アジア歴史共通教科書」の編集を準備してきた。 この教科書は現在、7 回にわたる討論を経て、初稿がすでに完成している。 3 カ国の学者は 9 月 18 日から 20 日まで、北京で 8 回目の研究討論を行う。 日本の右翼による「新しい歴史教科書」改訂版が来年 5 月、日本・文部科学省の検定を通ることが予想される。 このため、この教科書も 2005 年 5 月前後に中国、日本、韓国の 3 カ国で中国語、日本語、韓国語の 3 カ国語による同時刊行を計画している。

歩研究員は「日本の右翼による歴史教科書を批判しなければならないのはもちろんだが、しかし戦争をまったく経験していない若い世代、特に日本の中学生に語る上で最も重要なのは、侵略の歴史的事実を彼らに伝えることだ。 これは正しい歴史観を形成する基礎である。 日本の進歩的学者と教師の努力で『東アジア歴史共通教科書』を副教材として日本で刊行し、それによって右翼の「新しい歴史教科書」を排斥していきたい。」と語る。

歩研究員は次のことを特に強調したいと言う。 「中国と韓国の若い世代の戦争に対する歴史認識も視野を広げたい。 『東アジア歴史共通教科書』は歴史的事実の基礎を尊重した上で、戦争中の加害者と被害者のさまざまな状況に対して客観的かつ全面的な記述を行った。 中国の普通の読者にとっては、この教科書を通して侵略戦争の歴史を新しい角度から見ることができる。 この教科書に掲載された少なくとも 2 分の 1 以上の歴史資料と絵や写真は初めて公表するものだ。」 歩研究員はさらに「『東アジア歴史共通教科書』は未来に向けた歴史教科書であり、新世紀に向けて歴史の共通認識を作り上げる試みなのだ」と指摘した。 (編集 ZX)

- 中国、人民網 2004 年 9 月 14 日 -


日本僑報出版社「反戦平和・世代友好」シリーズ出版

日本僑報出版社は中国の抗日戦争勝利 59 周年に合わせ、日中友好軍人会が編集した「8.15」関連の刊行物をまとめ、「反戦平和・世代友好」と題したシリーズ形式で日本で出版することを決めた。 来年 8 月 15 日の抗日戦争勝利 60 周年までに全シリーズを出版する予定。

日中友好軍人会は 1961 年に設立された民間反戦平和団体。 43 年間に計 410 余りの「8.15」関連刊行物を編集、出版してきた。 中国への侵略戦争に参加した元日本軍人の証言を掲載し、中国を侵略した旧日本軍の犯罪を詳細に記録してきた。 これらを歴史資料として永久保存するため、またより多くの日本の青少年に軍国主義の罪悪を知ってもらうため、同社がこれまでの刊行物をまとめて出版し、読者にシリーズとして提供することを決めた。 (編集 ZX)

- 中国、人民網 2004 年 8 月 17 日 -


ソウル大教授「日本による収奪論は作られた神話」

日本による植民地時代に韓国が土地と食糧を収奪されたという韓国史教科書の著述は歪曲されたものだという主張が提起されている。 韓日問題を論じるシンポジウムでソウル大学の李栄薫(イ・ヨンフン)教授が発表した内容だが、李教授は過去の「従軍慰安婦は売春業」発言に続き、再び論争を呼び起こしている。

「1910 年に日本は大韓帝国を強制的に併合した」、「日本は韓国が植民地だった 35 年間に、韓国の土地の 40% 以上を収奪し、膨大な米を略奪していった。」 これらが韓国が独立後、40 年以上にわたり中学・高校の国史教科書に記載されている内容だ。 しかしソウル大学経済学科の李栄薫(イ・ヨンフン)教授はこうした収奪論が歪曲された神話だと主張した。 収奪という表現は太平洋戦争末期を除き、被害意識から出てきた言葉だと李教授は話している。

以下は YTN によるインタビュー。

李教授 「日帝(日本帝国主義)が韓国の米を供出、強制徴収したとされているが、実際には両国の米市場が統合されたことにより、経済的『輸出』の結果だった。」 客観的数値で見ても、奪われた土地は 10% に過ぎなかったと説明している。 李教授は韓国の歪曲された教科書で学んだせいか、反日感情の根がかなり深くなっていると話した。

李教授 「私たちが植民地時代について知っている韓国人の集団的記憶は多くの場合、作られたもので、教育されたものだ。」 こうした主張について市民団体は植民地状況自体が不法であるという点を見過ごしていると反発している。

李教授 「植民地時期全体を見れば、労働力搾取だとか、状況が ・・・ その中に不法もあり、そうでなかった場合もあり、様々な次元があるため ・・・ こうした状況を通称し収奪と表現するのでしょう。」 李教授の主張がメディアを通じ知れ渡るとインターネットの各掲示板でも熱い討論が展開された。 植民地史観の先兵と変わりがないと非難する書き込みが殺到した。 一方で李教授の理論にも一理あるとし、教科書を客観的に見るべきという声も少なくなかった。

李教授は 2 か月前にテレビの討論番組で従軍慰安婦を売春業と関連付けた発言を行い、物議を醸した人物だ。 日本による収奪論を否定する李教授の発言は、韓国で新たな熱い論争を巻き起こしている。 - - - - - チョソン・ドットコム

- 朝鮮日報 2004 年 11 月 20 日 -



- 朝日新聞 2004 年 11 月 24 日 -

inserted by FC2 system