周辺国に対する戦後処理 (10)

中国人の元労働者と遺族が「国の加害責任を問う」訴訟を大阪で起こしました。 ただ、花岡鉱山の民事では和解が成立していますので、さらなる訴訟でどのような対応がなされるのか分かりませんが、政治問題化を避ける上でも、先ず司法の場で判断するのは賢明なことでしょう。

中国人強制労働で遺族ら 13 人提訴 首相謝罪文を要求

第 2 次大戦中、日本政府の労働政策で強制的に日本へ連れて来られ働かされたとして、中国人の元労働者と遺族計 13 人が 26 日、国に慰謝料など約 7,100 万円の賠償や総理大臣名の謝罪文の交付を求める訴訟を大阪地裁に起こした。 戦後 70 年を迎え、原告たちは「国の加害責任をはっきりさせたい」としている。

原告は元労働者 2 人と、亡くなった元労働者の遺族 11 人。 1943 年ごろから終戦間際の 45 年までに、中国・華北地方で日本軍やその協力者らに拘束されるなどして日本へ連れて来られ、秋田県大館市の花岡鉱山や大阪港周辺の荷役現場などで働かされたという。 花岡鉱山では 45 年 6 月、労働者らが虐待に蜂起し、多数の犠牲者が出る「花岡事件」が起きた。 90 年代、生存者や遺族は当時の使用企業・鹿島組(現・鹿島)に損害賠償を求めて提訴。 2,000 年、鹿島が 5 億円を信託して救済基金にあてることで和解が成立した。 (太田航)

- 朝日新聞 2015 年 6 月 12 日 -


三菱マテリアルが米の元捕虜らに謝罪 戦時中に強制労働

三菱マテリアル(本社・東京都千代田区)は19日、第2次世界大戦中に日本の鉱山で強制労働をさせられた米国人の元捕虜や家族らと面会し、公式に謝罪した。 元捕虜の支援団体によると、日本企業が戦時中の強制労働について公式に謝罪するのは初めて。

同社の木村光常務執行役員や岡本行夫社外取締役らが、米ロサンゼルス市内で元捕虜や家族らと面会した。 木村常務は、同社の前身の三菱鉱業が戦時中、国内4カ所の鉱山で米軍の捕虜約900人を強制労働させたことを認め、「労働環境は非常に厳しく、大変なご苦労をおかけした。 過去の不幸な出来事を反省し、よりよい未来に向けて一層の努力を重ねる。」と謝罪した。 (ロサンゼルス = 宮地ゆう)

- 朝日新聞 2015 年 7 月 10 日 -


中国人強制連行、1 人 200 万円で和解へ調整

【北京 = 竹内誠一郎】 戦時中に中国から強制連行されたとして中国人元労働者らが三菱マテリアル(旧三菱鉱業)に損害賠償を求めた問題で、1 人当たり 10 万元(約 200 万円)を支払うなどの条件で和解に向けて最終調整が行われていることがわかった。 関係者によると、和解条件として同社が謝罪の意を表明するとともに、記念碑を建立することなども盛り込まれるという。 交渉では、8 月中の和解成立を目指している。

- 読売新聞 2015 年 7 月 25 日 -


国人強制連行、三菱マテリアルが和解提案 昨年示す

戦時中に強制連行され過酷な労働を強いられたとして中国人元労働者らが日本企業に損害賠償を求めている問題で、三菱マテリアル(旧三菱鉱業)が 2014 年 1 月、「戦後 70 年近くが経つ中、終局的な解決を図りたい」として和解交渉に応じる姿勢を元労働者と遺族側に示していたことが分かった。 同社や元労働者側の関係者が明らかにした。

同社が戦中に使っていた中国人労働者は 3,700 人を超えるとされ、同様の問題を抱える企業の中でも大規模だが、戦後 70 年の節目を迎えることも念頭に歴史問題の清算を目指している。 日中間の戦争賠償問題は「解決済み」との政府の立場を超え、独自に和解を実現させれば、ほかの企業に与える影響は大きい。

関係者によると、同社は昨年末までに、使用者としての「歴史的責任」を認めて謝罪し、元労働者 1 人当たり 10 万元(約 200 万円)を支払うことなどを柱とした和解案を提示。 元労働者側は、中国の裁判所に提訴して受理された 1 団体を除く 5 団体は基本的に受け入れる姿勢だが、支払金を管理する委員会の構成などを巡り各団体の調整が続いている。 (林望 = 北京、伊沢友之)

- 朝日新聞 2015 年 8 月 4 日 -


遺骨 115 人分、韓国に返還へ 戦時下の北海道で労働

戦時下の北海道内で過酷な労働を強いられた朝鮮半島出身者 115 人分の遺骨について、道内の市民らが 12 日、韓国・ソウルまで届ける旅に出発した。 韓国人の遺族 7 人も来日し、同行している。 政府レベルで民間人の遺骨の韓国返還は実現しておらず、民間レベルでもまとまった数の遺骨を返還するのは珍しいという。

遺骨を届けるのは、北海道深川市の浄土真宗本願寺派・一乗寺住職の殿平善彦さん (70) ら約 30 人。 殿平さんは 1976 年、深川市に隣接する幌加内町の廃寺で 70 余りの位牌(いはい)を発見。 戦時下に町内のダムや鉄道の建設に従事した朝鮮人や日本人のものだとわかり、遺骨の発掘を始めた。 道内の別の場所にも発掘を広げ、日韓の若者が一緒に発掘する取り組みも続けてきた。

今回届けるのは、現在の韓国にあたる地域の出身者の遺骨。 殿平さんらが発掘したほか、旧三菱美唄(びばい)炭鉱(北海道美唄市)などでの労働に従事して死亡し、地元の寺に安置されていたという。 一行は 12 日朝、北海道浜頓別町の天祐寺で法要。 安置されていた旧陸軍の飛行場工事現場で亡くなった現韓国出身者 34 人分の遺骨を受け取った。

一行はさらに道内 3 カ所の寺を回って遺骨を受け取り、本州に移動。 東京や京都、大阪、広島などでの追悼行事に参加した後、山口県下関市からフェリーで韓国・釜山に渡る。 19 日にソウルで追悼行事を開き、20 日にソウルの追慕公園に遺骨を納めるという。

- 朝日新聞 2015 年 9 月 12 日 -


三菱マテリアルが中国人元労働者側と和解、1 人当たり 170 万円 4 千人の一部は署名拒絶

【北京 = 矢板明夫】 第二次大戦中、日本で過酷な労働を強いられたとして中国の元労働者らが日本企業に賠償を求めている問題で、元労働者側の多くが 1 日にも三菱マテリアル側と和解し、合意文書を交わすことがわかった。 元労働者を支援する関係者が明らかにした。 この関係者によれば、和解条件として、三菱マテリアルが責任を認めたうえで、元労働者と親族に謝罪し、1 人当たり約 10 万元(約 170 万円)を支払う。 また、三菱マテリアル側は被害者救済、記念碑の建設、失踪者調査などのために基金を設立することも合意事項に含まれているという。

ただ、三菱マテリアルに損害を求める元労働者は約 4 千人いるが、そのうちの一部は、謝罪文の文面や賠償金額などに不満があるため、今回の合意文章に署名しないという。 三菱マテリアルと中国側の交渉は今後も継続されるとみられる。 中国の元労働者たちは日本コークス工業(旧三井鉱山)などにも損害賠償を求める動きをみせている。 中国政府はこれを支持する姿勢を示している。 今回の合意を受け、日本企業や団体を訴える動きが加速する可能性もある。

- 朝日新聞 2016 年 6 月 1 日 -

☆ ★ ☆

三菱マテリアルの和解進む 中国人元労働者 8 人に謝罪金

戦時中の強制連行を理由に中国人元労働者らが日本企業に賠償を求めた問題で、新たに 5 人の元労働者が三菱マテリアルとの和解に同意し、これまでに計 8 人が 1 人あたり 10 万元(約 150 万円)の謝罪金を受け取ったと、関係者が明らかにした。 さらに 3 人の元労働者が近く和解する見通しといい、同社が和解交渉の対象として把握する生存者全員への謝罪金の支払いが、まもなく終了するという。

同社は元労働者や遺族ら千人を超える統一交渉団との間で、元労働者や遺族に対し「深甚なる謝罪」を表明した上で、10 万元を支払うことなどで合意。 6 月 1 日にまず元労働者 3 人と和解し、その後も、高齢となっている元労働者との和解を急いで進めていた。 今後、戦時中に働かせたとされる 3,765 人やその遺族を対象に和解を進める方針。 同社が拠出した資金を管理し、遺族の特定を進めて謝罪金を支払う基金会の設立準備を進めている。 (北京 = 西村大輔)

- 朝日新聞 2016 年 7 月 31 日 -


徴用めぐり、不二越に賠償命令 ソウル中央地裁が判決

日本統治時代に朝鮮半島から徴用されて働かされたとする韓国人の遺族が富山市の機械メーカー、不二越に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は 16 日、同社に対して 1 億ウォン(約 1 千万円)を支払うよう命じた。 同社や三菱重工業、新日鉄住金に損害賠償を命じる判決が出た裁判は確認されただけで 9 件目で、係争中は 13 件ある。 韓国大法院(最高裁)は 3 件を審理中で、損害賠償を命じる判決を支持して判決が確定した場合、韓国内の被告企業資産が差し押さえられる可能性がある。

日本統治時代に生じた被害や損失を巡る個人の請求権について、日本政府や企業側は 1965 年の請求権協定で解決済みとしているが、16 日の判決は、この主張を退けた。 「日本の国家権力が関与した反人道的な不法行為などに、個人が損害賠償を求める権利は協定の対象外」とした 2012 年の大法院判断にならった。 一方、被害者や遺族を支援する韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」は独自の支援策を継続するため、日韓の政府や関係企業に参加を呼びかけている。 (ソウル = 牧野愛博)

- 朝日新聞 2017 年 3 月 16 日 -


「徴用工像、大使館前などに設置」 韓国市民団体が発表

日本の植民地支配下にあった朝鮮半島から動員された「徴用工」の問題に取り組む韓国の市民団体は 28 日、国会で記者会見し、徴用工を象徴する像をソウルの日本大使館前と釜山の日本総領事館前に設置すると発表した。 それぞれ慰安婦を象徴する「少女像」の横に建てるほか、南西部の光州駅前の広場にも 1 体建てるという。

市民団体によると、徴用工像は高さ約 3 メートル、幅約 1.5 メートルの石像で、当時の苦痛などを表現する。 設置時期は今年 8 月 15 日を予定しているという。 団体の代表は記者団に「日本の蛮行が伝わるようにしたい」と述べた。 これに対し、韓国外交省は 28 日、徴用工像の設置について「外交公館付近に造形物を設置するのは、外交公館の保護と関連した国際礼譲と慣行の側面から望ましくない」とのコメントを出した。 (ソウル = 東岡徹)

- 朝日新聞 2017 年 4 月 28 日 -


inserted by FC2 system