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北朝鮮の生活と経済 (37)

平壌郊外の養豚場でブタが大量死、アフリカ豚コレラに感染か

韓国の漣川(ヨンチョン)で 27 日に発見されたイノシシの死体から、家畜伝染病「アフリカ豚コレラ」のウイルスが検出されたと 29 日、国立環境科学院が発表した。 これでウイルスへの感染が判明したイノシシは 16 頭になる。 韓国で猛威を振るっているこのウイルス、公式な感染ルートは確認されていないが、感染はいずれも北朝鮮に面した軍事境界線に近い地域で起きていることから、イノシシが媒介となっているものと推測されている。 そのため、韓国当局は野生のイノシシの駆除に乗り出している。

感染源と目されている北朝鮮では、慈江道(チャガンド)で今年 5 月、アフリカ豚コレラの発生が確認された。 その勢いは止まっていないようで、平壌のデイリー NK 内部情報筋は、平壌郊外のブタ牧場(養豚場)でブタの大量死が発生したと伝えている。 平壌郊外の寺洞区域の徳洞里(トクトンリ)にあるブタ牧場(養豚場)では 9 月初旬、13 の豚舎のうちの 1 つで、ブタが大量死した。 この養豚場全体では 1 万頭のブタが飼育されていたことから、700 頭から 1,000 頭のブタが死んだと思われる。

ここ以外でも 2 - 3 ヶ所の養豚場で数千頭が死んでいるが、外部にはいっさい告知されておらず、診断と防疫当局への報告、防疫作業を内密に済ませた模様だ。 そのため、市民は当局の豚肉販売禁止令を通じて、何かが起きたことを察するしかない。 平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、防疫所から係官がやってきて豚肉販売を取り締まったことで、「病気が流行っている」との噂が立っているが、依然として売買は行われていると伝えた。 黄海南道(ファンヘナムド)の情報筋も、現地の市場では表立って販売していないものの、商人が「豚肉は要らないか」と客引きをする形で販売が続けられていると伝えた。

米政府系のラジオ・フリー・アジア (RFA) は、豚肉販売禁止措置により、市場での豚肉の値段が高騰していると報じた。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)の情報筋は、市内のすべての市場で豚肉が高騰し、また、「中国から輸入された豚肉で感染が広がった」との噂が立ち、輸入が中止されたことで、品薄になったことも影響していると見ている。 禁輸措置は夏から始まったが、商人は命令に従わず豚肉を売り続けていたため、価格は比較的安定していた。 豚肉販売に必要な「防疫検査確認証」はワイロさえ払えばいくらでももらえるため、感染が拡大した模様だ。

9 月初旬までは 1 キロ 1 万 2,000 北朝鮮ウォン(約 156 円)で売られていたが、今では 2 万北朝鮮ウォン(約 260 円)まで高騰した。 アフリカ豚コレラウイルスはブタやイノシシの病気であるため、感染した豚肉を人間が食べても感染しないが、流通はウイルス拡散に繋がる。 当局は豚肉販売の全面禁止措置を取ったものの、すでに手遅れだった。 豚肉価格の高騰に連動して、他の物価も上がっていると別の情報筋が伝えている。 コメの価格は、秋の収穫に向けて上昇し、収穫が終われば下がるというのが例年の値の動きだが、今年は高止まりしており、ただでさえ不況に苦しむ商人や庶民を苦しめている。 (高英起)

- Daily NK 2019 年 10 月 31 日 -


平壌も暖房ストップ、寒さに震える北朝鮮

北朝鮮で電力難と食糧難が深刻な水準にあることが 3 日までにわかった。 先月の朝鮮労働党中央委員会全員会議で金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は「難関」や「困難」などの言葉を複数回使うなど経済難を訴えていたが、これが本当の話だったのだ。 最近は北朝鮮のエリート層が集まる平壌でさえ、電力がまともに供給されていないこともわかった。 北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋は 3 日「北朝鮮における発電の 50% 以上を占める水力発電所は冬に稼働せず、石炭不足や設備の故障などで火力発電所の稼働率も低下し、影響で電力不足が深刻になっている」、「平壌でも 12 月から 1 日 3 - 5 時間以上にわたり停電が続いている」などと伝えた。

この消息筋によると、北朝鮮では火力発電の際に温水を同時に生産し、これを暖房用に使用しているが、最近は発電所の稼働率が低下しているため暖房もストップすることがあるという。 また国連制裁の影響で北朝鮮では石炭輸出がストップしたため石炭を火力発電用に回しているが、価格は輸出時の 10 分の 1 にもならないことから、石炭採掘に使う設備の購入も必要な時にできないという。 この消息筋は「影響で生産性も低下を続けている」と明らかにした。

さらに干ばつやアフリカ豚コレラ対策の失敗により食糧難も深刻な状況にあるという。 韓国統一研究院の趙漢凡(チョ・ハンボム )研究員は「最近は市場での物価や為替が安定する傾向を示しているが、これは当局の介入と住民の購買力低下によるものだ」と指摘した。 その上で趙氏は「干ばつの被害で農産物の生産もふるわないため、北朝鮮では今年中にも経済危機が表面化するだろう」と予想した。 これと関連して米国の政府系放送局「ラジオ自由アジア (RFA)」は 2 日、ある中国筋の話として「1 日から丹東と新義州を結ぶ中朝鉄道を通じ、北朝鮮への大規模な食料支援が始まった」と報じた。

- 韓国・朝鮮日報 2020 年 1 月 4 日 -


新型コロナか … 北朝鮮「大爆発事故」現場で疑惑渦巻く

北朝鮮では、新型コロナウイルスの感染が広がっているとの話が絶えない中、中国との密輸に関わっていた北朝鮮の 50 代男性が死亡した。 新型ウイルスに感染していたのではないかとの疑いが浮上し、当局が確認に追われれていると現地のデイリー NK 内部情報筋が伝えた。 北朝鮮は 1 月 28 日、中国で拡大する新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」の国内流入を防ぐために、中国との貿易を全面的に停止する措置を取ったが、新義州の南隣にある龍川に住む 50 代男性は、それ以降も船に乗って中国の業者から品物を受け取る形で密輸を続けていた。

ちなみに龍川は、2004 年春に起きた爆発事故の現場だ。 中国を訪問した金正日総書記が特別列車での帰路上で、小学生ら 1,500 人を巻き込んだ謎の大爆発が起きたのだ。 この出来事はいまもって、「暗殺計画」の可能性をはらむミステリーとして語られている。 50 代男性は今月第 2 週に体調を崩し、発熱、咳などのインフルエンザの症状が出た。 風邪薬を飲んで自宅で休養していたが、一向に良くならず、結局発病から 1 週間後の 16 日に亡くなった。

町では「新型コロナウイルスに感染して亡くなった」との噂が立ち、朝鮮労働党龍川郡委員会と防疫委員会が調査に乗り出した。 「気管支喘息を長年患い、免疫力が低下した状態でインフルエンザに罹患し、肺炎で死亡した」との調査結果を発表した。 しかし当局は男性が亡くなってわずか 5 時間後に遺体を火葬し、家族も病院に入院させたことから、むしろ噂が広まる結果を生み出した。 龍川と国境の川を挟んで向かい合う中国の遼寧省では、24 日の時点で 121 人の感染者が報告され、うち 7 人が丹東市での報告だが、すでに 6 人が完治して退院している。 また、省内では 17 日以降新たな感染者は発生していない。

龍川に隣接する新義州と義州では、先月末から今月初めにかけて、5 人が原因不明の高熱で死亡している。 北朝鮮は今のところ、自国で新型コロナウイルスの感染者が発生したと認めていない。 国営メディアは、韓国でのウイルス拡散について報じているものの、自国で発生している死亡事例については一切触れていない。 (高英起 = デイリー NK ジャパン)

- Yahoo! 2020 年 3 月 1 日 -


「焼くには数が多すぎる」北朝鮮軍、新型コロナで 180 人死亡の衝撃

<北朝鮮当局は、新型コロナウイルスの自国での感染者発生を一向に認めようとしないが ......>

北朝鮮では、新型コロナウイルスによる肺炎と思われる症状で 23 人が死亡したとの情報があるが、当局は自国での感染者発生を一向に認めようとしない。

そんな中、衝撃的な情報が伝えられた。 新型コロナウイルスにより朝鮮人民軍(北朝鮮軍)で兵士 180 人が死亡したというのだ。 北朝鮮の軍内部では物資の横流しや虐待が横行し、栄養失調の兵士も少なくない。 免疫力も低下していると見られる。 北朝鮮軍の内部情報筋が伝えたところによると、軍医局は 3 日、1 - 2 月に 180 人が死亡し、3,700 人を隔離しているとの情報を最高司令部に報告した。 死者は、中国と国境を接する平安北道(ピョンアンブクト)、慈江道(チャガンド)、両江道(リャンガンド)、咸鏡北道(ハムギョンブクト)に駐屯する国境警備隊に集中している。

軍医局は各部隊に対して「肺炎、結核、喘息、風邪の患者のうち、高熱で死亡したり治療を受けている者の数を一人残らず把握して報告せよ」との指示を下していた。 2 カ月で 180 人が病死したという報告を受けて軍は上を下への大騒ぎとなった。 軍当局はまず、「遺体を徹底的に消毒せよ」との指示を下した。 今まで保健当局は、新型コロナウイルスで死亡したと思われる人の遺体を火葬するよう指示を下していたが、それとは異なる内容だ。

これについて情報筋は「あまりに死者の数が多すぎて、隠したい情報が漏れるかもしれないと判断したもの」だと述べた。 今まで軍病院では、遺体を火葬したことがなく、急に多くの遺体を火葬すれば「軍で何かが起きた」と気づかれる可能性があると考えたようだ。 また、「隔離患者の入院したところは毎日消毒せよ」との指示も下した。 軍病院はメタノールを噴霧して消毒を行っている。

さらに追跡予防治療の重要性も強調し、「既往歴のある者や免疫力が落ちている者は集中管理せよ」との指示を下した。 続けて、今後の死者数を戦闘力総和に反映するとの方針を示した。 これは、死者を多く出した部隊の責任者には責任を取らせるという意味合いがある。 各部隊では大慌てで対策に乗り出した。 まずは食事だ。 補給を担当する後方総局は、規定通りに兵士 1 人あたり 800 グラムの食糧を供給せよとの原則を強調し、1 日 1 回しか出ていなかったおからを 3 回出すという規定を定めた。

しかし、国際社会の制裁に加え、度重なる自然災害で農業生産はひどい有様で、農場では食糧を確保しようとする軍の担当者と、出すまいとする農民の間でトラブルが発生するなどの状況だ。 末端の兵士にまで充分な食糧を行き渡らせようとすると、今度は民間人の間で食糧不足が発生しかねない。 (高英起)

- Daily NK 2020 年 3 月 11 日 -

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