義理と人情、敬意 … あなたが思う「日本の精神」ってなんですか?
東京の声とシンクロする TOKYO FM の番組「シンクロのシティ」。 ボイス収集隊が東京の街に繰り出し、さまざまな人々に声をかけ、ひとつのテーマについてその人の意見や思いを聞き出します。 その声を聴き、リスナーと共に考えるのはパーソナリティの堀内貴之。
8 月 8 日(水)放送のテーマは「日本の精神ってなんだと思いますか?」でした。 2020 年の東京五輪・パラリンピックの開会式・閉会式のチーフ・エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターに、狂言師の野村萬斎さんが就任。 野村さんは会見で「良質なる、日本の精神に則ったものにしたい」と語りました。 よく耳にする "日本の精神" という言葉。そのイメージを、街の人たちに聞いてみました。
日本の精神って何だと思いますか?
着物にも表れる「削ぎ落とされた美」
「日本人として伝えたいことは、着物を着る風情です。 着物を着るのは大変なんだけど、着物を着た動作には無駄なものがひとつもなく、無駄なことをしない方は綺麗に着られている。 お茶のお作法も実は無駄なことが一切なく、削ぎ落とされた美というところでも美しい。 そういう、盛らずに削ぎ落とされた美しさというのを出せたら、日本らしいのかもしれないなと。」
「着物は、決められたことを守りながらも自分で遊べるところもありますし。 日本の文化とされているものは、作法とか決められたことを守らないと繋がっていかないものだと思いますが、生き延びるためには多少振り幅があると、もっと楽しく続けていけるんじゃないかなと思います。」 (50 代/女性/主婦)
和を大事にするコミュニケーション能力
「人の和ですかね! コミュニケーション能力、空気を読むっていう力が特に日本人にはありますので、オリンピックの期間中もお互い助け合ってやっていけたら素晴らしいオリンピックになるんじゃないかなと思いますね。 少し視点を変えてみると、ひとつの考えとして、天皇陛下がいて、万民の私たちがいる。 その点では平等であるとされたから、お互いを頼るっていう部分が生まれたのかなって思います。」
「海外の人たちの場合だと、一神教や自分のなかに神様をさまざまに持っているので、自立心が強いんですけど、日本はあまり宗教色が強くないので和を大切にするって部分が発達したのではないかと思いますね。 オリンピックやさまざまな国際交流の場面においても、自立心が強い外国の人と交わって、さらに『和の精神』を発達していけたら。」 (30 歳/男性/医師)
敬意を払い、相手を重んじる
「やっぱり物事に対して敬意を払うってことが一番大事だと思います。 挨拶から始まって、些細なことでも礼儀を持って接することが大事かなと自分は思います。 なにかをやってあげたりなにかをしてもらったりした際には、感謝の言葉を込めるとか。 勝っても負けても相手を重んじる。 相撲は日本の国技ですから、日本の礼儀作法の鏡とならないといけない。 なので、自分もしっかりしていきたいと思います。」 (10 代/男性/力士)
義理と人情が日本の精神
「やっぱり、人と人との繋がり。 義理と人情! 義理と人情で、お互いに助けあってやってあげる。 『人生劇場』という曲に "義理がすたればこの世は闇" ってあったでしょ? 直接じゃなくてもいいから、第三者を通してでもいいから、お返しするという気持ち。 気持ちと気持ち。 それが自然体でできれば。 気持ちのやりとりですね。」 (75 歳/男性/酒屋)
八百万の神が生み出した多様性
「日本っていろんな神社があって、ひとつの宗教ではなくまわりの現象ひとつひとつに神様が宿っている。 いろんな神様がいて、どれも正しくて、そういう日本のなんでもありという部分が、何千年という歴史の中で神社というかたちで残っていて。 それが日本らしさかなと思います。」
『日本の文化』って、ひとつじゃないと思うんですよ。 100 人いたら 100 通りの文化があるので、それを尊重するというか。 善と悪がない。 自立的に分かれるものじゃなくて、すべてのものに理由があって。完全にこうだよ! っていう文化じゃなくて、多様性というか。 だからこそ、ほかの国から見ると、あの国はよくわからんと言われるんだけど、そこが良いとこなんじゃないかな。 ありのままといっても、みなさんが好き放題するわけではない。 ちゃんと、奥ゆかしくて、良い国だから。」 (40代/男性/公務員)
白黒はっきりさせない、あいまいさが日本の良さ?
堀内貴之は「いろいろな文化を取り入れるだけでなく、自分たちなりにカスタマイズするのも日本の特徴ですよね。 そしてそれが長い間残って、伝統となっていく。 白黒つけないあいまいな部分も、日本人の優しさなんじゃないかな。 どちらを悪だと決めつけない部分を大切にしているし、それが "和" ということなのかも。」とコメント。 2020年、東京五輪・パラリンピックでどんな「日本の精神」が表現されるのか、楽しみになるオンエアでした。