応仁の乱勃発で「西陣」の呼称が生まれ 550 年記念事業スタート
五輪参加国イメージの着物展示も
西陣織会館(京都市上京区)で 3 日、応仁の乱が勃発して「西陣」の呼称が生まれ、今年で 550 年の記念事業がスタートした。 会場では 2020 年東京五輪・パラリンピックの参加予定国をイメージした華やかな振り袖や帯などの展示が行われ、来館者らが "奇抜" なデザインに見入っていた。
今月 11 日の「西陣の日」に合わせ、西陣織工業組合(理事長 = 渡辺隆夫・渡文社長)が主催。 12 日まで西陣織の技法で約 7 年かけて制作された「風神雷神図」を展示するほか、12 日午後 3 時にはモデルが東京五輪参加予定国をイメージした振り袖を着用して披露する「きものショー」も行う。 同組合は西陣地域の活性化を図ろうと、名所旧跡や飲食店などを案内する地図の無料配布も始めた。 詳細は西陣織会館 (075・451・9231) まで。
安心の着物と帯へ 生産加工履歴を公開
京都の和装 8 社 ウェブサイト開設
消費者に安心して着物や帯を買ってもらうため、京都市内の京友禅や西陣織など和装関連 8 社が、自社製品の生産・加工履歴(トレーサビリティー)を購入者が調べられるウェブサイトを共同で開設した。
製品ごとに主な素材や各製造工程の加工業者などの情報を提供しており、和装各社にも参加を呼び掛けている。
西陣織製造の織彦(右京区)や友禅染メーカーの京染せい山(中京区)など製造、加工、卸の 8 社。 価格設定や品質が分かりにくいことが消費者の着物離れの一因とみて、2 年前に日本伝統産業染織工芸協会を設立。 府中小企業団体中央会の補助金を受け、需要調査やシステム開発を行ってきた。
「はんなり京都きもの博士」を開いて商品タグの番号を入力すると、製造や販売の「責任企業」をはじめ、各工程の加工業者や主な素材などが表示される。 また、工程などの専門用語の解説も掲載。 情報内容は、中小企業が参加しやすいように、新たに開発した生産管理システムを導入すれば自動的に作成できるようにした。
8 社は今秋から履歴を公開した和装製品を順次出荷しており、今後、全製品に番号付けをするという。 和装業界では、不透明な価格設定や一部業者による強引な販売手法が消費者の不信を招いてきたといわれ、信頼回復に向け、西陣織工業組合などの業界団体も従来の証紙発行に加え、生産履歴の開示を検討している。
同協会の樋口恒樹理事長(織彦社長)は「流通や小売り、和装以外の伝統産業でも活用できる情報公開システムなので、広く参加を呼び掛けたい」と話している。