「きものの出張着付け」 元に戻る一覧に戻る(2515) ← (2514) → (2513)

世界各国をイメージした着物勢ぞろい 京都

世界 213 の国・地域をイメージした振り袖と帯計 426 点を集めた展覧会が 16 日、京都市京セラ美術館(京都市左京区)で始まり、来場者らがあでやかな世界に見入った。 東京五輪の参加予定国などを着物で表現しようと、福岡県久留米市の呉服店経営、高倉慶応(よしまさ)さん (52) らが企画。 西陣織や京友禅を中心に、全国 200 以上の作家らが 6 年かけて完成させた。

「日本」の着物は、古代文様の「束熨斗(たばねのし)」をモチーフに、各国との縁を結ぶとの願いが込められた。 高倉さんは「技術や色柄だけでなく、職人の人生を感じてほしい」と話した。 入場無料で 18 日まで(午前 10 時 - 午後 6 時)。 予約なしの入場も可能だが、予約を優先する。

(産経新聞 = 10-16-20)

五輪で世界の着物競演へ トリ飾る日本の着物は各国結ぶ「束ね熨斗」

新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された東京五輪・パラリンピック関連行事での「おもてなし」に活用しようと、福岡県の呉服店主らが世界の五輪出場国・地域をモチーフにした着物を制作する「KIMONO プロジェクト」で、最後の「日本」が 22 日に完成し、予定の 213 カ国・地域すべての着物がそろった。 五輪開会式が開催予定だった 24 日午後 8 時からホームページ (http://www.piow.jp/) でオンラインお披露目会を行う。

このプロジェクトは平成 26 年、福岡県久留米市の呉服店「蝶屋(ちょうや)」の高倉慶応社長の呼びかけでスタート。 全国の織物・染色職人が計 200 万円の予算で各国・地域の自然環境や文化施設などをモチーフにした着物と帯を制作した。 最後に完成した日本の着物は京友禅の染元「千總(ちそう)」が、帯は西陣織の老舗、龍村美術織物が担当した。

着物で日本の国柄を表現する際、デザインとして選んだのは富士山や伝統芸能などではなく、吉祥文様として礼装などで広く使われてきた「束ね熨斗(のし)」だ。 高倉氏は「プロジェクトで制作するすべての国・地域のトリを飾る着物として、世界を結ぶ日本であってほしいという願いを込めた」と語る。 一流の職人の細やかな仕事が施された着物はまさに芸術品だ。 刺繍(ししゅう)もあえてミシンを使わず、一針一針、手縫いで仕上げるなど、こだわった。

帯は、初代龍村平蔵の名作とされる円文白虎(えんぶんびゃっこ)に用いられた技術をベースに、当代の 4 代目龍村平蔵氏が改良を加えた。 経糸には金糸、銀糸に加え、白の絹糸の 3 種類を使い、さらに 5 色の箔で彩った。 全制作費用の約 4 億円は全国の企業や企画に賛同した個人からの寄付でまかなった。 平成 30 年 1 月には、九州経済連合会会長の麻生泰氏を会長とする「KIMONO プロジェクトを応援する会」が発足し、九州経済界が一丸となってバックアップしている。

着物と帯は東京五輪を前に、多くの国際会議などで披露され、各国・地域の首脳らからも高い評価を受けている。 駐日サンマリノ大使で、「駐日外交団長」を務めるマンリオ・カデロ氏は、初期段階からプロジェクトを支援してきた 1 人。 カデロ氏はプロジェクトの成功と、五輪関連行事での採用に向けた各国大使への紹介や、大会組織委員会、日本オリンピック委員会 (JOC)、東京都への働きかけなどを続けてきた。

213 カ国・地域の着物と帯の完成について、カデロ氏は「プロジェクトのすべての着物がそろったことは素晴らしい。 来年の五輪で披露されることを切に願っております。」とエールを送った。 高倉氏は「これだけの作品がそろったのは胸を張っていい。 世界は一つになれるというメッセージを着物を通じて訴えていきたい。」と語った。(中村雅和)

(IZA = 7-22-20)

inserted by FC2 system